マネーストックを増やすという経済対策は効果があるのか?

2018年3月8日

アベノミクスの肝は、日銀の量的金融緩和による2%のインフレ目標の達成です。

その論理は、いわゆるリフレ派といわれる人たちが主張する「経済は貨幣現象」というもので、金融緩和によりマネタリーベースを増やすことで金利が抑えられ市中に出回るマネーストックが増え、インフレ方向に向かうというものでした。

バブル崩壊後のマネーストックの前年比の落ち込みをみれば、マネーストックと経済成長の相関関係があることがはっきりとわかります。

マネタリーベースを増やしてもマネーストックは増えない

しかし、約5年間の異次元の量的金融緩和の効果は、マネーストックを増やすという面ではあまりみられません。

 

マネタリーベース
マネタリーベースの1970年から2018年までの推移 出典:日本銀行
マネーストック
マネーストックの2003年から2018年までの推移 出典:日本銀行
マネーストック前年比
マネーストック前年比1980年から2018年までの推移 出典:日本銀行

その原因と考えられるのが、元から低金利状態であり資金需要がなかったのに、マネタリーベースを増やしてインフレ目標を掲げたとしても、企業がお金を借りて投資をはじめるといった資金需要が増えるとは考えにくいというものです。

金利
金利の1980年から2018年までの推移 出典:日本銀行

バブル期には自然とマネーストックが増えていた

そもそも、マネーストックが増えれば経済成長するといった、リフレ派が主張するような貨幣を主体とする経済動向は現実的なのでしょうか?

ちょっと考えればわかることですが、資金需要がないときに貨幣を供給し借りやすい状態にしたとしても、「じゃあ借りよう」という人は少ないでしょう。

金利の推移をみればわかりますが、バブルの時期は金利が平均5%で推移しています。

資金需要が旺盛だからです。

金利が高いときに貨幣を供給すれば金利が下がり、さらに企業はお金を借りようとするでしょう。

つまり貨幣の量による経済のコントロールが可能になるわけですが、そんなことをしたらバブルがさらに膨らんでしまうので間違った政策になるわけであり、実際にバブル期には金融緩和をしていません。

それでも下のグラフでみればわかるように、マネーストックはバブルが崩壊した1991年まで堅調に伸びていたのです。

マネーストック
1970年から1999年までのマネーストックの推移 出典:日本銀行

マネーストックは、企業の設備投資などに銀行が融資することで伸びます。

マネーストックの伸びと経済成長には相関関係があるのですが、マネーストックを増やせば経済成長するのではなく、経済成長するからマネーストックが増えるのです。

じゃあ日銀の量的金融緩和はいつすべきかということですが、政府と民間の資金需要が旺盛で金利が以上に高くなり、民間の投資が阻害されるクラウディングアウトが起きた場合などです。

 

まとめ

  • 金利が低いときはマネタリーベースを増やしてもマネーストックは増えない
  • 量的金融緩和はクラウディングアウトが起きた時に有効
  • 好景気の時は設備投資が旺盛になり、自然とマネーストックは増える

以上のことから、金利が低いにもかかわらず誰もお金を借りない状況ですべきことが見えてきます。

誰かの資金需要を高めなければなりません。

それが誰かなのかを、次回は考えていきましょう。