いわゆる「国の借金」とは政府債務のこと。緊縮財政が政府債務を悪化する

2018年3月11日

いわゆる「国の借金」は政府債務のこと

いわゆる「国の借金」と呼ばれるものは、正確には政府債務のことです。

下は日銀HPからみられる政府債務の合計です。

今では1000兆円を超えています。

政府債務
1980年から2018年までの政府債務の推移 出典:日本銀行

マスコミが好んで国の借金という不正確な用語を使うのは、より悲観的でインパクトのある表現の方が注目されるから、だと個人的に感じています。

ある国によっては政府債務が外国からの負債の場合もありますので、その場合は確かに国の借金かもしれませんが、日本はそうではありません。

日本国債の外国人投資家の所有額は100兆円と高まりつつありますが、10%程度です。

緊縮財政が政務債務を拡大している

1995年に当時の大蔵大臣武村正義氏が、国会で「財政危機宣言」を出しました。

そして1997年に消費税が決まるなど、緊縮財政がはじまったのです。

このタイミングが非常にまずかった。

日本は実はこのころ、バブル崩壊後の「失われた10年」から脱却途上だったのです。

皮肉なことに、緊縮財政が始まってから政府債務の増加率が増えているのがグラフでわかります。

当然です。

緊縮財政とは政府支出を減らすことで、政府支出が減るとGDPがその分落ち込み税収も減るため、それをまかなうために国債を発行しなければならないからです。

景気が過熱しているときはインフレを抑えるために緊縮財政は効果がありますが、バブル崩壊後に民間の需要が回復しきっていないときにやってしまうのは間違った施策なのです。

ところで財政危機宣言が出されてから今日まで政府債務は増え続け、今では2倍超の1000兆超えなんですけど破綻どころか長期金利は下がり続けています。

これをどう捉えるべきなんでしょう?

もし財政危機が誤解だとしたら、今までその誤解に基づいた政策がとられていることになります。

その誤解のために国の成長が阻害されていたとしたら、腹が立ちませんか?

下が、国の成長を表す名目GDPの推移です。

名目GDP
1994年から2017年までの名目GDPの推移

見事に公的固定資本形成公共事業)が削られ、公務員給与や社会保障費の政府最終消費支出の伸びが抑えられています。

「もっと公共事業や公務員給与、社会保障費を削れ」との声をよく聞きますが、それが国の成長(GDP)を押し下げる効果があることに気づいていないのでしょうか?

もう一度いいますが、GDPが下がると税収が減り、減った分を国債で賄うので政府債務が増えるのです。

「じゃあ国債発行を減らせ」という問題でもありません。

国債発行することで民間需要が低迷しているときのGDPの下支え効果があったわけで、国債を減らすとさらにGDPが下がるという不況スパイラルに入るためです。

確かに政府支出で国の成長を促すのには抵抗があるかもしれません。

しかし、民間の需要が伸びない時期はそれしか方法がないのです。

政府主導の需要で民間に活力が戻り、景気が完全に回復軌道に乗れば政府支出を減らせばいいのです。

さらに政府債務の巨額な金額がインパクトがあり過ぎるのですが、実は国際的に政府債務が問題とされるのは合計額ではなく、GDP比なのです。

つまりGDPが政府債務の増加ペースより伸びていれば、政府債務が増えてもGDP比では下がるという健全な財政健全化が可能なのです。

そのことについて次回説明していきます。

まとめ

  • いわゆる「国の借金」とは政府債務(政府の借金)のこと
  • 1990年代後半の緊縮財政が、政府債務の悪化を拡大している
  • 緊縮財政はGDPの押し下げ効果がある
  • 政府債務の問題は、合計額ではなくGDP比
  • GDPの伸びが政府債務の伸びより早ければ、財政健全化が可能