国債は国民の資産ではない。国債発行でお金が生まれていた?

2018年3月13日

これまでの説明で、いわゆる「国の借金」問題は経済成長をすることで緩和されることを理解いただけたかと思います。

そして、民間の需要が低迷しているときは、政府しか需要の落ち込みをカバーできないことも。

言い換えれば、政府債務(国債発行)あったからGDPがゼロ成長で済んでいたという見方もできるのです。

政府債務は誰の資産か?

とはいえ、政府債務が1000兆超えというインパクトは絶大です。

マスコミは、1人あたりの借金○〇〇万円と必ず報じます。

経済論者の中には、1000兆円の政府債務は国家破綻レベルだと主張する人もいれば、政府債務は金融機関の資産であり、その原資は国民の預金通貨だから問題ないと、正反対のことを主張する人もいます。

確かに下のグラフのように、ここ20年で政府債務が増加の一途をたどる一方で、銀行の資産の増加ペースが加速しています。

どちらも現時点で1100兆円と同額で、銀行がすべての国債を引き受けているわけではありませんがバランスしているのがわかります。

ここで重要なのが、日本の国債は国内で消化され、しかも円建てでバランスしているということです。

債権者が海外の投資家の場合、負債が国内でバランスせず、純資産がマイナスとなってしまいます。

銀行資産
1993年から2018年までの銀行資産の推移 出典:日本銀行
政府債務
1980年から2018年までの政府債務の推移 出典:日本銀行

国債は国民の資産ではない

また、銀行にお金を預けているのは国民や企業なので、銀行は国や企業のお金で国債を買っているから、国債は国民の資産だと考えている人もいるようです。

でもこれはちょっと違うようです。

国民や企業の資産である預金は、あくまで金融機関の負債なのです。

下のグラフは、銀行負債の推移です。

民間の貯蓄は増え続けているため、こちらも増加の一途です。

銀行負債
1993年から2018年までの銀行負債の推移 出典:日本銀行

ここで矛盾を感じる人は鋭いです。

どうして国民の預金とは別に、銀行は巨額の資産を積み上げていけるのかと。

国債発行によりお金が生まれていた

実は銀行の巨額の資産は、信用創造によってつくられているのです。

信用創造とは簡単にいうと、元となる預金から数倍の金額を融資することができるシステムのことです。

一般的に融資といえば、民間企業に行うものと考えますが、国債の発行も銀行による政府に対する融資だとみなされるのです。

つまり国債発行によって、原資となる預金をもとに銀行にお金が生まれていたことになるのです。

新しく生まれたお金は政府の負債であり、銀行の資産として積みあがっているのです。

だから、巨額の政府債務は問題ないというつもりはありません。

ただ、経済の専門家を含む多くの人が「銀行預金で国債を買っている」と勘違いしているのが問題なのです。

日銀と銀行は政府の管理のもと、ある条件をクリアすればいくらでも国債を発行できる仕組みになっているのです。

インチキに聞こえるのも無理はありません。

しかし日本の金余りとデフレ、その他もろもろの条件がそろっているためにこのようなウルトラCとも呼べる金融の曲芸が可能になるのです。

きっと読まれている方の多くが納得できないと思いますので、徐々に理解できるように説明していこうと思います。

金融政策の曲芸といえば、日銀の量的金融緩和もそうです。

市中の銀行が所有する国債を日銀が買い取ることでお金を供給し、しかも政府の金利支払いを免れることができるわけですから。

これだって普通の家計感覚では理解できない仕組みでしょう。

このことについて、次回説明したいと思います。

まとめ

  • 1000兆円を超える政府債務は、1000兆円を超える金融機関の資産
  • 政府債務の債権者が国内の場合、負債と資産はバランスされる
  • 政府債務は国民の資産ではなく、国民の資産は金融機関の負債
  • 国債発行をすると信用創造によりお金がつくられる