いわゆる「国の借金」1000兆円超をどのようにとらえるべきか

これまでの記事では、「借金1000兆円で国が破綻する」と思考停止するのではなく、いわゆる「国の借金」とは正確には政府債務であり、政府の負債が1000兆円を超える一方で、銀行の資産が1000兆円を超えているなど、あまり知られていない(というか報道されていない)実態を説明してきました。

政府債務
1980年から2018年までの政府債務の推移 出典:日本銀行
銀行資産
1993年から2018年までの銀行資産の推移 出典:日本銀行

誰かの負債は誰かの資産であり、巨額なお金は単なる負債と資産の情報でしかないのです。

借金1000兆円という感情的インパクト

でも政府債務1000兆円は途方もなく巨額であるため、国民にはこれ以上借金を増やしたくないという感情もあると同時に、国を運営する政治家や官僚にも、同じ思いを抱く人は多いため、緊縮財政の政策が進められているのが実情なのです。

なぜ、経済に精通している人たちが経済成長を阻害し政府債務拡大につながるにもかかわらず、「政府の借金を減らそう」という政策で一致するのでしょう。

専門家なので、単に国民の「借金は悪」とのイメージで国の行く末を決めているとは考えたくないのですが、おそらく大学教授などの経済学の学者の意見が彼らの政策をバックアップしているのだと思います。

とにかく経済の権威に従えばいい、という日本に蔓延る「権威主義」が今の日本の失われた20年間を導いてきたと思うのです。

政府債務を削減しようともがいた結果、政府債務の増加ペースが増えるというオチになったのだと思います。

経済学の間違い

なぜ、人生をかけて経済を学んできた人たちが間違えるのかというと、経済学はインフレを抑えるために組み立てられた学問だからです。

日本のバブル崩壊まではそれでよかったのですが、バブル崩壊後のデフレ状況では通用しない学問だったのです。

そう考えると、これまでの経緯がすっと理解できるようになります。

政府債務が増えても金利が上昇しないのはデフレだから

まず経済学の代表的なモデルとして、「マンデルフレミングモデル」があります。

マンデルフレミングモデルとは、財政出動して政府債務を増やすと金利が上昇し、民間の投資が阻害されるのと同時に円高になり、輸出産業が打撃を受けるというものです。

経済学は国の介入を嫌うので、公共事業を否定し、自由経済グローバリズムを肯定します。

確かにインフレ期にはそれでもいいのですが、デフレ期に国が介入せずに景気回復するのは普通に考えれば無理だとわかるはずです。

民間に資金需要がないのに、誰が借金をして経済成長させようと考えるのでしょう?

マンデルフレミングモデルが成立しないのは、政府債務が増え続ける中、金利が史上最低レベルの低さが約20年続いていることから明らかです。

金利
金利の1980年から2018年までの推移 出典:日本銀行

今では信じられませんが、行動成長・バブル期の金利は平均5%でした。

ピークは9%で、こんなときに財政出動すると政府と民間が資金を奪い合うクラウディングアウトが起き、マンデルフレミングモデルが成立するでしょう。

でも、デフレ期には通用しないのです。

しかし数十年も経済学を学んできた人たちに、経済学を否定することは、決してプライドが許さないのでしょう。

現役の経済学の教授たちも、まだ生き残っている先輩たちを否定することもできないのでしょう。

日本社会では十分ありえる話です。

そんなプライドのために日本経済が低迷しているとしたら、ほんとに馬鹿馬鹿しいことです。

まとめ

  • いわゆる「国の借金」は政府の借金のこと
  • 政府の借金である国債は銀行の資産
  • 経済学はインフレを抑えるための学問
  • マンデルフレミングモデルはデフレ期には通用しない