国債を発行するとは?国債発行でお金が生まれていた

引き続き、いわゆる「国の借金」が1000兆円超えについて、どのように理解すべきかを考えていきます。

テレビや新聞では、とにかく「国の借金」は莫大で、なんとか返さなければならないとの論調で一色です。

なぜ、1000兆円を超えるまで膨らんだのか、それが何を意味するのかを冷静かつ丁寧に説明を試みるメディアはあまりみかけません。

そもそも返す理由だって、「だって借金だから返すのが当たり前」との認識で止まっているのが実情ではないでしょうか。

借金とは悪なのか

国債を発行する状況とは、歳入だけでは歳出を補えず、政府が金融機関などを通じ不足分のお金を調達しなければならないときです。

具体的にどのような使用目的で借金をするのかといえば、大きなものが道路や公共施設の建設などの公共事業、そして公務員給与や医療費、年金などの社会保障費です。

「借金=悪」とのイメージを持つ人たちは、このような理由で公共事業や社会保障費の削減を叫ぶのだと思います。

下の表は、最近10年の国債発行額の推移です。

国債発行額の推移
最近10年間の国債発行額の推移 出典:財務省

バラツキはあるものの、借金を減らそうとの声を反映して年々縮小されています。

日本では少子高齢化が進み、医療費や年金などの社会保障費が自然に増加する状況にある中、国債の発行量を減らす緊縮財政政策を促進しています。

GDPが成長し税収が増えていることも国債発行量を削減できる理由の一つですが、他国と比較し低い成長率の中、国債発行量を減らすことはGDPの成長抑制効果があるため、個人的には反対です。

国債の発行量が増えたとしても、GDPが成長すればGDP比で政府債務負担が軽減されるのですが。
このあたりは以前の記事でも説明しています。

国債が国の経済成長に寄与する

国債で調達したお金は公共事業や社会保障費に使われるため、GDPの成長につながる支出になります。

政府の借金による経済成長に抵抗があるのかもしれませんが、その根拠は何でしょう?

バブル崩壊後の財政出動によって経済を下支えしていた1990年代、マスコミでは無駄な公共事業キャンペーンを大々的に繰り広げました。

そのころに洗脳され、いまだに公共事業にネガティブなイメージを持つ人は多いように思います。

しかし公共事業は民間の建設業や土建屋が仕事を請け負うわけですから、ダイレクトにGDPに加算されます。

さらにそれらの企業が投資をしたり、雇用を増やしたりすることでGDPのさらなる拡大効果があるのです。

きっかけは政府の借金かもしれませんが、そのお金が民間で回ることで経済成長につながるのです。

しかも道路などの交通インフラが整うことで、国民の利便性も高まります。

社会保障費だってそうです。

医療費は医療従事者の給与になり、その後貯蓄されるお金もあれば、消費に回るお金もあります。

公務員の給与や年金だってそうです。

もとは政府の借金ですが、そのお金は経済成長につながるのです。

とくに経済成長が鈍化している今、国債発行を削減することの経済成長に与えるネガティブ効果は大きいのです。

国債を発行することでお金が生まれる

「国民の貯蓄を使って勝手に国債を買うのはおかしい」、との意見もあると思います。

もしそれが誤解に基づくものであれば、ぜひ考えを改めてほしいのです。

その誤解とは、「国債発行量の分だけ国民の貯蓄が使われる」とうものです。

銀行がお金をつくる?お金が増える仕組みとは」の記事で説明しましたが、企業などが金融機関から融資を受けたとき、そのお金は銀行で新たに作られることになるのです。

銀行預金という融資のための原資はそのまま残り、融資のお金は金融緩和の資産として新たにつくられるのと同時に、そのお金は企業の負債になります。

お金が生まれるとは、その金額分のデジタルデータが現れるという仕組みです。

これが信用創造で、ずっと昔から人の知恵で生み出された経済が成長するためのシステムなのです。

複雑なので具体的な内容は触れませんが、元となる預金現金から莫大な新たなお金を生むことができる資本主義にはなくてはならないシステムなのです。

同じ事が政府と金融機関の間でも起こり、国債を発行すれば金融機関にその分の資産が生まれことになります。

でも、「政府は銀行に国債金利を支払う必要があるので、国債発行額が増えると政府の負債がどんどん増えていく」と反論する人がいますが、確かにその通りですが今は超低金利で、負担が非常に低くお金を借りられます。

しかも、日銀が量的緩和で国債を引き受けると、政府は金利の支払い義務から解放されるのです。

さらに国債発行した分の金額は企業や国民に渡るので、GDPの成長に寄与します。

以上が日本の国債にまつわる現状ですが、これは常に成立するケースではなく、バブル崩壊の後遺症による民間の資金需要の低迷、そして超低金利の日本だから成立することなのです。

どうでしょう?

理解できたでしょうか。

これが理解できたとき、今のマスコミの論調や緊縮財政政策の馬鹿馬鹿しさ、経済学者のでたらめさに腹が立つようになります。

そもそもシンプルな経済理論として、「金利が低いときは投資のチャンスであり、それでも民間が資しないときは政府が代わりに投資をしてお金を増やす」ということが成立すると思うのですが。

なぜ、そのような考え方が主流にならないのか不思議ですが、多くの人が現状を知ることで政治を動かしていけるのかなと思います。

まとめ

  • 歳入を超える歳出が必要なとき、国債(政府の借金)で不足分をまかなう
  • 日本では国債発行高を減らす緊縮財政がとられている
  • 国債による出回るお金は、経済成長に寄与する
  • 国債で調達するお金は信用創造でつくられたもので、国民の貯蓄からの負担ではない
  • 国債は金融機関への金利支払い義務が生じるが、日銀が買い取ることで義務から免れられる