金利は景気の調整弁、経済成長しているときは金利が上がる

経済状況を説明するために欠かせない指標、金利

経済について話すときにもっとも重要なことは、データに基づいて経済状況を語ることです。

そのためこのブログでは、さまざまな経済指標をグラフ化して、一般的に語られる経済とは違った視点から現状を説明しています。

あまりにもメディアでは、コメンテーターの私感や社会の雰囲気で語る言説に溢れているように感じます。

そのひとつが、日銀の異次元の量的金融緩和財政規律が緩み、金利が上昇するといったものです。

今ではその指摘の間違いが実証されたわけですが、量的金融緩和実施前にはそのような報道が溢れていたように思います。

インターネットでもいまだに、金利が上昇してハイパーインフレが起こるとの2013年ごろの間違った記事が検索すれば出てきます。

5年間の異次元の量的金融緩和でも起こらなかった金利上昇とハイパーインフレ

彼らは金利が上昇する経済状況をどのように考えているのでしょう?

単に財政出動をすれば金利が上昇するとの仮説「マンデルフレミングモデル」を信じているだけではないでしょうか?

金利が上昇するとは、民間の資金需要が増えてきていることを意味します。

金利の推移をみればわかることですが、バブル崩壊後から民間企業が銀行からお金を借りて設備投資をする正常な経済活動をしなくなったため、金利は下降の一途をたどっているのです。

金利
金利の1980年から2018年までの推移 出典:日本銀行

代わりに政府がお金を借りて財政出動すればよかったのですが、民間の資金需要不足を十分にカバーするだけの財政出動をしてこなかったため、民間の投資意欲を回復させるまで至っていないのです。

そのような状況で異次元の量的金融緩和をしたとしても、金利も上昇しないしハイパーインフレどころか2%のインフレ目標も達成できません。

景気が良くなれば金利も上昇する

金利と経済成長率には相関関係があります。

金利の推移とGDPの成長率を比べてみてください。

GDPと成長率
1980~2016年までのGDPと成長率

バブルで経済成長しているときは最高で9%まで金利が上昇していますが、平均5%で推移しています。

バブル期の経済成長率も、平均すると前年比5%程度です。

それがバブル崩壊後では、1%を下回るという世界史上最低レベルの金利が続いています。

もちろんGDP成長率も、年によって500兆円前後で上げ下げはありますが、約20年ゼロ成長です。

これは当然のことで、景気が上向いているときは民間企業が銀行から借金をして設備投資をするからです。

多くの企業が設備投資のために借金をすると経済が過熱するので、金利を引き上げて借金の負担を増やすことで景気を冷やす効果があるのです。

メディアでは金利がちょっとでも上昇すると、「国債が暴落してしまうー」と大騒ぎします。

でも金利があがるということは、民間に資金需要が出てきたことを意味し、めでたいことなのです。

「金利が上がると国債の金利負担で借金が増えるー」との声もありますが、借金が増える一方でGDPが成長すれば、政府債務のGDP比は下がるので問題ないはずです。

さらに日銀が量的金融緩和で国債を引き受けることで、金利の負担義務から免れることができるのです。

他国と比較し健全な資本主義が機能している日本

「金利がコントロール不能なほど上昇する」と騒ぐ人たちは(20年前から存在します)、どのようなシナリオを想定しているのでしょう。

バブル崩壊後20年も低金利が続いている状況が異常なのです。

日本のような健全な資本主義ができている国は、景気が上向けば金利も自然と上昇します。

ちょっとデータを分析すれば、ぼくみたいな経済素人でもわかることだと思うのですが。

とはいえ、これまで述べてきたことは健全な資本主義が機能している日本だから成立することなのです。

信じられないかもしれませんが、米国など先進国を含む多くの国では、国債の債権者の5割程度が外国資本です。

その場合は、ある程度外国に経済環境を委ねることになります。

国債の9割以上を国内で消化できる日本は、相対的に恵まれているのです。

正しい経済政策さえすればいいのですから。

まとめ

  • 民間の資金需要が低迷しているときは金利が低くなる
  • GDPの成長率と金利には相関関係がある
  • 5年間の異次元の量的金融緩和にもかかわらず、金利は上昇せずハイパーインフレも起こっていない
  • 健全な資本主義が機能している日本では景気が良くなれば、金利も自然とあがる
  • 金利が上昇しても政府負担は増えない