労働力を外国人で補うことの愚。経済成長と賃金上昇に不可欠な生産性の向上

年々、日本で働く外国人労働者は増え続け、2016年には100万人を突破しました。

失業率は低下し続け、日本ではさまざまな業種で人手不足が深刻化しています。そのため、外国人労働者の受け入れは仕方がない、という風潮が主流になっています。

しかし本当にそうなのでしょうか?

人手不足は経済成長の最大のチャンス

経済が成長するということは、GDPが増えることを意味します。かつて日本の世界に占めるGDPは18%もありましたが、今では5%程度です。この20年間で他国が堅調に成長する中、日本だけがゼロ成長なので当たり前です。

人手不足は、経済成長の最大のチャンスになります。人手不足を解消するためには、設備投資などにより生産性を高める必要があるからです。同じ労働力で生産性を高めると一人当たりのGDPが上昇し、経済成長します。

しかし設備投資ではなく労働者を増やすことで生産を増やしても、経済成長しても一人当たりのGDPは増加しません。

GDPは生産面、支出面、分配面(所得)が等しくなりますので、生産性向上により一人当たりのGDPが増えるということは、所得が増えることを意味します。つまり、所得を増やしながら経済成長しようとすると、今ある労働力で生産性を高めるしかないのです。

設備投資も賃上げもしたくない経営者たち

今のデフレ傾向にある日本では、経営者は設備投資をしたくありません。今は人手不足ですが、将来の需要が見込めないのであれば設備投資のリスクが高まるからです。

また同じ理由で、従業員の待遇を良くして人を集めることにも躊躇しています。それより、一時的に人を増やして対応した方が得策と考えます。

そう考えると、この20年間で進められてきた雇用に関するの規制緩和が誰のためだったのかが理解できます。政府は口では、労働者の職業選択の自由を確保するためとは言いますが、実際は外国人や派遣労働者など、短期間だけの仕事をやらせる都合の良い労働力が欲しい経営者たちの要望なのです。

それでも人手不足は深刻で、派遣やパートの確保が難しくなった企業では設備投資をし、正社員の求人を増やそうとしています。一方で介護職など、外国人労働者に門戸を開く範囲を安倍政権は躍起になって広げています。せっかくの所得増加を伴う経済成長の芽を、自ら摘んでいるような虚しさを感じます。

外国人を雇う経営者や、外国人に看護してもらう人たちには抵抗はないのでしょうか?労働力不足だからといって、賃金を上げることで労働者を確保したり、設備投資をすることで生産性を高めたりする努力をせずに、海外の貧しい人たちを安く使うことに罪悪感はないのでしょうか?

戦時中の「アジアの人たちに多大なる苦痛を味合わせた」と反省するメディアたちから異論が聞こえないのが不思議です。

しかし日本にも誤算がありました。この20年間で日本が成長しない中、他国は着実に豊かになっていたのです。豊かになるとは所得が増えることで、相対的に日本で働くメリットが薄れていっているのです。

近年の外国からの観光客の増加も、日本が安い国になってきているのが大きな理由でもあるのです。外国人労働者からも見放されるのは日本人としては情けないことですが、因果応報なのかもしれません。

まとめ

  • 人手不足は経済成長のチャンス
  • 設備投資で生産性を高めることで、経済成長と所得の増加が可能
  • 低賃金の労働者で人手不足をカバーしても、労働者の賃金は上がらない
  • デフレ期の経営者は賃金上昇も設備投資も望まない
  • 日本では人手不足を外国人労働者で埋めようと規制緩和を進めている
  • 20年間経済成長ゼロの日本に対し、堅調に成長してきた他国は豊かに