プライマリーバランスの黒字化は常に求めるべき目標なのか?

2018年3月30日

日本政府は、プライマリーバランスの黒字化を目標に掲げています。

プライマリーバランスとは基礎的財政収支のことで、税金などによる歳入歳出が均衡していればバランスしており、財政が健全であるとされます。

プライマリーバランスが目標に取り上げられた歴史は古く、財政破綻を阻止する目的で1999年の小渕内閣で2008年度までにプライマリーバランスの赤字をゼロにする目標が決められていました。

現在では目標達成時期が幾度か先延ばしされ、2027年度にずれこむと試算されています。

皮肉なことに、プライマリーバランスの黒字化を目標にしてから政府債務の増加ペースが早まるという結果になっています。

プライマリーバランスの黒字化のために緊縮財政に突入

プライマリーバランスという考え方が登場した1999年は、まさに財政拡大から緊縮財政に舵を切った年になります。

1991年にバブルが崩壊してから民間消費が激減したため、1998年までは財政拡大で景気を下支えしていました。しかし財政赤字が拡大し続けていたため、財政破綻論が現実味を帯びて政界や世論で信じられるようになったのです。

バブルが崩壊してから約10年間の財政拡大で、「失われた10年」から脱しようとしていた日本経済は、財政均衡という目標のため実施された消費税増税緊縮財政により再び停滞しました。

経済成長による財政健全化という正攻法から、民間の投資が低迷している時期の緊縮財政による財政健全化という間違った政策に転換してしまったのです。

緊縮財政は景気が過熱してインフレ率が高いときに、インフレや金利を抑える効果はありますが、景気が低迷しているデフレ期、低金利時にはデフレや不景気を加速させます。

プライマリーバランス目標を掲げて以来、20年もゼロ成長が続いているのは当然の結果なのです。むしろ、経済が縮小し続ける恐慌にならないだけましだったとも言えそうです。

名目GDPと税収の関係

以下のグラフは、名目GDPと税収の相関性を表したものです。

名目GDPと税収の相関性
名目GDPと税収の相関性

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、名目GDPが下がれば税収が下がり、名目GDPが上がれば税収が上がる傾向があります。

税収の原資は、国民の稼ぎであるGDPなので当然そうなります。

ここで注目したいのは、経済成長によって税収がどれだけ増えるかを表す税収弾性値です。例えば名目GDPが1%増えたとき、税収が1.1%増えると税収弾性値は1.1になります。

近年の税収弾性値は高くなる傾向にあります。

これは、景気が回復すると法人税や所得税を払える人と額が増えるためです。逆に景気が冷え込み名目GDPが下がると、税収もGDPの下げ率より大きく減少してしまします。グラフをみても、名目GDPが下がるとその下げ率より大きく税収が落ちているのがわかります。

つまり、財政健全化のためには税収を上げる必要があるので、名目GDPを増やす政策が正しいことになります。しかし実際には、日本がこの20間進めてきたのが、増税と緊縮財政という名目GDPの押し下げ効果のある政策であり、今後も継続する可能性が高いのです。

まとめ

  • 1999年にプライマリーバランス黒字化が目標になってから、逆に財政は悪化
  • 日本では、財政健全化のために増税と緊縮財政政策がとられている
  • 増税と緊縮財政はインフレ率が高すぎるときに、に景気を冷やす効果がある
  • 名目GDPと税収には相関性がある
  • 税収弾性値により名目GDPの上昇率以上に税収は伸び、名目GDPの下降率以上に税収は減る