デフレ期には供給を増やしても需要が増えない。GDPを左右するのは需要の大きさ

2016年の名目GDP(支出面)の内約をグラフ化しました。

2016年GDP内訳
2016年GDP内訳 内閣府データより作成

民間最終消費支出個人消費)、政府最終消費支出民間企業設備民間住宅公的固定資本形成公共事業)が主な構成要素で、他にも純輸出(約1%)と在庫品増加があります。

民間と企業の消費と投資は民需、政府の支出は官需、準輸出は外需ともいわれており、支出は需要を意味します。

デフレは民需が不足しているのが原因という意見もあれば、人口減少や成熟社会が原因とか、単なる貨幣現象、または供給側の問題と考える人たちがいます。

供給が需要を決めるというセイの法則

経済学者の多くが、デフレ現象を供給側の問題と考えているようです。

それは経済学が、「セイの法則」に基づいた学問だからです。セイの法則はWikipediaで、次のように説明します。

あらゆる経済活動は物々交換にすぎず、需要と供給が一致しないときは価格調整が行われ、仮に従来より供給が増えても価格が下がるので、ほとんどの場合需要が増え需要と供給は一致する。それゆえ、需要(あるいはその合計としての国の購買力・国富)を増やすには、供給を増やせばよいとする。

供給を増やせば需要が増えるという法則ですが、本当にそうでしょうか?

確かにモノやサービスの価値が上がり続けるインフレ期には成立するかもしれません。

それは多くの人がモノやサービスを欲しがっているインフレ期には供給力が不足しているので、生産量(供給)を増やせばそれだけ需要も増えるでしょう。

しかしデフレ期には、モノやサービスの価値が下がり続けています。確かに値段が下がれば買う人もいるでしょうが、待てばさらに下がるという状況なので、必要以上に買うことはないでしょう。供給量を増やしても値段は下がり続けるだけで、企業の利益は減り続けます。

経済学者が構造改革が好きなのは、構造改革で外資などの新規参入を呼び込めば供給力が上がり、経済成長すると考えるからです。実際にはデフレ期の構造改革は、供給力が増えると逆に値段を下げる圧力になってしまうのです。

そのため、経済学はインフレーションに対処するための学問だといわれています。セイの法則が通用しないデフレーションを、想定していないのです。

デフレ期にはGDPを左右するのは需要の大きさ

では、デフレ期にはどのような経済対策が必要になるのでしょうか?

需要には、民需と官需、そして外需があると説明しました。外需は1%程度と規模が小さく、他国の経済状況が大きくかかわるので、あまり対策のしようがありません。

民需は、デフレ期には横ばいか縮小傾向にあります。そのためインフレ率を高め経済成長させるためには、官需の拡大しか方法がないのです。

具体的には、政府による消費財への支出や社会保障費などの政府最終消費支出、そして公共事業の拡大です。

ところが1990年代後半の緊縮財政により、高齢化により自然に増える政府最終消費支出は上げ幅を抑えられ、公共事業は容赦なく削減されてきました。

そのような経済対策で、デフレから脱却できるわけがありません。

国の金利が高く、財政赤字を増やせない状況では官需を増やせませんが、日本では史上最低レベルの金利が続いているのです。民需不足のため、銀行に使い道のないお金が溢れているためです。

当然デフレ脱却のためのソリューションは、民需が回復するまで財政拡大をする、とうものですが、残念ながら日本で約は20年、逆のことをし続けてきました。

その理由は、以上述べてきたことを政治家や官僚、日本国民が理解できていないためだと思います。もっと悪いシナリオは、構造改革を進めたい人たちによる陰謀という可能性もあります。他国が成長する中、日本だけが成長から取り残されると外資の力が相対的に強くなり、弱体化した日本経済に参入しやすくなるためです。

まとめ

  • GDPは民需、官需、外需で構成される
  • 経済学者が考える、「需要は供給が決める」はデフレ期には通用しない
  • デフレ期には需要がGDPに大きく影響
  • デフレ期の構造改革による供給力増加は、デフレを深刻化する
  • デフレで低金利のときのソリューションは、官需の拡大による民需の回復