GDPから説明するインフレ・デフレになる仕組み

約20年間ゼロ成長の日本は、GDPをどのように増やせばよいのかを忘れてしまったかのようです。

GDP(名目・実質)の推移
1954~2016年のGDP(名目・実質)の推移

現在行われている日銀による量的金融緩和は、市中に出回るお金を増やすことで民間がお金を借りやすくし、借りたお金で投資をすることで経済成長させることを目的としています。

しかし5年にも及ぶ異次元の量的金融緩和でも、民間の資金需要が増えないためインフレ目標2%が達成できていません。

なぜこのような状況になっているのかを、GDPを使って説明したいと思います。

インフレが起こるとはどういうことか?

なぜ日銀は、2%のインフレ目標を掲げているのでしょう?

モノやサービスの供給力に対して民間需要が十分であれば、モノやサービスの価値が徐々に上がっていく状態がインフレであり、景気が上向いているバロメーターになるからです。

でも需要を増やすのではなく、インフレ率の上昇を目標にするのはなぜでしょう?

それは、日銀がインフレにするという強い意志を示すことで、民間に「インフレ期待」というものが生じ、将来のインフレに備えて設備投資をするという理論があるからで、いわゆるリフレ派と呼ばれる方が主張しています。

しかし5年間の異次元の量的金融緩和により約400兆円のベースマネーを供給したにもかかわらず、「インフレ期待」が民間投資を促すという状況にはなっていないようです。

GDPで説明するインフレ・デフレ現象

GDPでインフレ状態になるのは、生産面のGDPに対して需要の圧力があるときだけです。

日本はデフレ傾向が20年ほど続いています。民間の需要が不足する中、政府支出を減らしているのでインフレにならないのは当然です。

例えば100円のペンを10本つくる生産者がいたとします。デフレ時にはペンの需要が横ばい、または下がるため、毎年10本を作り続ければ需要を満たせます。この状態ではGDPは、毎年1000円を維持します。

あるとき100円では売れなくなり、90円に値下げして10本を売ったとします。この場合、実質GDPは1000円のままですが、名目GDPは900円になり、年率10%のデフレになります。

逆に110円に値上げして10本売った場合は、やはり実質GDPは変わりませんが、名目GDPは110円になり年率10%のインフレになります。

つまり、前年より高くても買いたいという人が増えることで、インフレになるのです。インフレになると企業は生産量を増やすことで儲けようとするので、設備投資をしようという気持ちになります。市中にお金が溢れて借りやすくなっても、実際の需要が高まらないと企業は投資を増やそうとしません。

普通に考えれば、インフレ2%目標を達成したいのであれば需要を増やせばよいため、民間需要が低迷しているときは政府支出を増やそうという話になるはずですが、日本では財政赤字拡大に対するアレルギーがあります。

日銀の量的金融緩和が良かったのは、日銀が国債を買い取ることで返済義務や利払い義務が消滅するとうい財政ファイナンスをしても、急激な金利上昇やインフレにならないことを証明できたことです。

今でも財政破綻を主張する人たちはいますが、以前ほど騙される人も減ったのではないでしょうか。

まとめ

  • 日銀による異次元の量的金融緩和でもインフレ目標2%は未達
  • インフレにするためには、供給力を上回る需要が必要
  • 20年近く日本がデフレ状態なのは、民間の需要低迷時に政府支出を減らしているため
  • 財政赤字が拡大しても、日銀の国債引き受けで政府の返済・利払い義務は消滅する
  • 財政ファイナンスしても、制御不可能なインフレも金利上昇も起こらない