新自由主義が日本を豊かにするのか?小さな政府と規制緩和で成長が止まった日本

1990年代後半から現在まで、日本では一貫して新自由主義的な政策がとられてきました。

新自由主義とは、日本総研が以下のように定義します。

新自由主義(しんじゆうしゅぎ、英:neoliberalism、ネオリベラリズム)とは、 国家による福祉・公共サービスの縮小(小さな政府、民営化)と、大幅な規制緩和、市場原理主義の重視を特徴とする経済思想。

日本では約20年、新自由主義に基づく政策が行われている

日本では1990年代後半から、国家による福祉・公共サービスの縮小を進めてきました。つまり、社会保障費や公共事業の削減、郵政民営化などです。そして市場原理主義を重視する名目で、大幅な規制緩和が実施されてきました。

2000年6月1日、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律が廃止さたのもその一環です。

同法律は、「消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業者の事業活動の機会を適正に保護し、小売業の正常な発展を図ることを目的」とした法律です。

当然、新自由主義においては政府の関与をできるだけ小さくしようとしますので、自由な競争を阻害してきた悪法として廃止されたのです。

当時は「政府の無駄づかい」が国民の間で怒りの対象になっており、「官から民へ」のスローガンは大いに受け入れられました。

大型ショッピングセンターは大きな駐車場があり、ひとつの場所で何でも揃うということで、近隣の商店街などからお客さんが流れていき、廃業に追い込まれる中小小売業者が続出し、シャッター街化が問題化されました。

しかし顧客の利便性は高まり、被害者が限定されていたので深刻な問題として捉えられていないようです。「魅力的なサービスの提供ができない商店街が悪い」との声も聞こえたほどです。

とはいえ、本当に資金力のない中小小売業者が、世界的なフランチャイズフードショップや映画館を抱える大型ショッピングセンターに対抗できるのでしょうか?

ショッピングセンターは全国展開する店舗が多いため、売り上げの地元還元率が地元商店街より当然悪くなります。日本人が地域の経済活性について、無関心になってきたのも問題のひとつだと思います。

規制緩和の被害者が土木建設業や中小小売業者と特定の人たちであることも、国民から規制緩和に反対の声が上がりにくい要因かもしれません。

自由競争は格差を拡大する

新自由主義はその名前が示すように、自由競争を是とします。政府が特定の産業を保護することで競争が阻害され、産業の技術の進展や成長が止まってしまうと主張します。

確かにそのような分野もあるでしょう。特にインフレでモノやサービスの供給が不足しているときは、他の産業分野から参入することで供給力は高まり、経済成長が加速します。

競争に負けて廃業する企業も出ますが、好景気のときは新たに仕事を始めるのも苦労が少ないはずです。このようなときは、新自由主義政策でも問題は顕在化しません。

しかし現在のようにデフレ傾向が続き、民需が低迷しているときでも適切な経済対策といえるでしょうか?実際に日本では新自由主義的な政策がとられて以来、20年間成長が止まっているのです。

GDP(名目・実質)の推移
1954~2016年のGDP(名目・実質)の推移

需要が少ないときに供給力を上げても、パイが大きくならないので競争が激化し、資金力のある勝者と敗者の格差が広がるだけなのです。「自由競争はいいことだ」となんとなく賛成したくなりますが、当事者のことや将来の国民全体にどのような影響があるのかについて、少しは想像力を働かせるべきではないでしょうか?

まとめ

  • 日本では、約20年間新自由主義的な政策が進められてきた
  • 新自由主義は、小さな政府と民営化、規制緩和を常に求める
  • 規制緩和をすることで大規模事業体にとって有利に
  • 新自由主義はインフレ期には生産力が拡大するので適切な政策になる
  • 新自由主義はデフレ期には、成長を伴わない過当競争を招く