池田 信夫氏は根本的な経済の仕組みを理解していないのでは?その2

『アゴラ』というメディアで、池田信夫氏が日本の将来を悲観・絶望する記事を積極的に配信しています。

最近では、国の借金はこどもの負担にならないの?を投稿しています。

赤字国債による年金支出は、将来世代のツケになるのか?

お金、現金

池田氏は以下のように述べています。

いま安倍さんが発行する国債は、ほとんどが社会保障の赤字の穴埋めです。老人がもらう年金は老人が消費してしまう「赤字国債」なので、将来世代にインフラは残りません。今の老人は、こどものクレジットカードで買い物しているようなものです

まず細かいことですが、安倍さんは国債を発行していません。個人的に安倍首相が嫌いなのかもしれませんが、このような印象操作とも受け止められかねない表現は避けるべきだと思います。

赤字国債は将来世代のツケになる

この部分は、おそらくほとんどの日本人が共有する考え方だと思います。この考え方は、「借金は返さなければならない」という原則に基づいています。

確かに、家計や企業では当てはまります。または国債の場合でも、海外の投資家に買ってもらっている場合もそうです。しかし、円建て国内で消化される日本の国債と一般的な借金は、まったく性質が違うのです。

日銀が金融機関から国債を買い取ればチャラになるとか、日本政府は通貨発行権を有するのでお金を刷っていくらでも返済できるという話は正しいのですが、なかなか普通の感覚では「はいそうですか」と理解できないので、別の切り口から説明します。

まず重要なのは、国債が発行できるかどうかです。

当然金融機関が国債を買ってくれなければ、国債は発行できません。

池田氏が主張するように「発行する国債は、ほとんどが社会保障の赤字の穴埋め」だとしても、日本では現在、国債需要が旺盛(国債金利が低い)なので、余裕で消化できるのです。

国債で調達したお金は、年金などの形で国民に渡ります。

日本人の多くは、この段階でお金を受け取る人たちに対し不満を抱いているのです。

将来世代のお金を使うなと。

しかし説明した通り、国債が発行できたのは現世代で、調達したお金は現世代の人たちに渡り、その人たちが消費することで現世代の人たちの所得になり、またその所得が次の消費に回ることで経済が成長するのです。消費に回らなかったお金を現金で持つ人は少ないので銀行預金という形で貯蓄されます。その貯蓄は、次の赤字国債の原資になります。

つまり、赤字国債は将来世代のツケではなく、現世代の経済成長に寄与しているのです。

国債がなくなると銀行の運営ができない

でも、国債残高は増えるのではないかと思うでしょう。確かにその通りで、国債発行すれば残高は増えますが、それは国の借金が増えるのではなく単に政府債務残高が増え、金融機関の資産が増えるだけの話です。単なるデジタルデータに過ぎないのです。

デジタルデータだとしても、金融機関は利息が得られるため満期になっても国債を手放さすほとんどが借り換えられるので、ほぼ永久に保有することになります。そうでなければ安定した銀行の運営が行えず、日本の金融システムは崩壊してしまいます。銀行は国債を必要としているのです。

だからといって、いくらでも国債を発行できるわけではなく、インフレ率や金利をみながらの作業になりますが、ご存知のように、現在は史上最低の低金利、しかもインフレ目標2%も達成できない状況なので、まだまだ国債発行の余地があると判断できそうです。

このあたりは日本の特有の環境もあり、理解は難しく誤解されやすいので、池田氏やほとんどの国民が理解していないため「国債は借金なので、いつか返す必要がある」と考えてしまいます。

シンプルに説明すれば、現段階で国債が発行されるのはフローの話で、発行されてしまった国債はストックの話に変わるのです。フローとストックの関係がわかれば、今回の話も理解できると思います。

まとめ

  • 池田氏は、赤字国債は将来世代のツケと考えている
  • 赤字国債は発行した段階で、現役世代の消費や所得に回り経済成長に寄与する
  • 赤字国債発行により政府債務残高は増えるが、一方で金融機関の資産が増えるだけ
  • 今は国債需要が旺盛であり、出回る国債が減ると金融機関のビジネスにとって悪影響になる
  • 現段階の日本の国債金利とインフレ率を勘案すると、国債発行を増やす余地は大きい