消費税増税の影響をダイレクトに物語る実質民間消費支出の落ち込み

日本経済に関しては、本当にさまざまな意見が報道で流されており、視聴者もどのように判断すべきかが難しいと思います。

消費増税ひとつをとっても、「あげるべき」、「あべるべきでない」と二分する有様です。

そこで客観的な事実をもって、どこまで現状認識を共有できるかを探っていく作業が必要になると思います。少なくとも消費増税が経済に悪影響を与えることは、国民すべてが共通認識してほしいところです。

消費増税は経済成長に悪影響

先日、以下の報道を目にしました。

消費増税の影響緩和を検討する会 反動減対策などを協議へ

政府は13日、平成31年10月に予定される消費税率10%への引き上げに伴う景気の悪影響を緩和するための対策を協議する検討会を立ち上げたと発表した。26年4月に消費税率を5%から8%へ引き上げた際に、増税前の駆け込み需要と、増税後の反動減が景気を大きく冷やしたため、消費の落ち込みを最小限に抑える方策を検討する。

だそうです。

できれば、「そこまでして消費増税しなくてもいいじゃん」と国民全体で認識してほしいところですが、とりあえず、消費増税は経済成長にとって悪影響ということを認識しましょう。

以下は、総務省のGDP統計から作成したグラフです。

民間消費支出推移(名目・実質)
民間消費支出推移(名目・実質)

名目値は物価変動も入っていますので、1997年に消費税が3%→5%、2014年に5%→8%へ増税されただけ無理やり上昇しています。

それに対し実質値は、2011年の物価を基準にどれだけ支出が増減したのかを表します。

実質値をみると、消費増税があった1997年と2014年に明らかに下がっているのがわかります。これが消費増税の実質的な影響なのです。

それでも慶應義塾大学経済学部教授の土居 丈朗氏は、消費が落ちても2014年の税収は伸びているので問題ないと言っているのです。

これが、代表的な経済学者の立場であることを認識しておきましょう。国民の消費が落ちても、税収があがればオーケーと考えているのです。

民間消費の実質値が大きく下がっているもう一つの崖が、2008年のリーマンショックです。

安倍首相は「リーマン級がなければ増税」と主張しますが、消費増税がリーマン級に経済成長にとって悪影響だったのです。

消費増税で財政健全化が可能?

インターネットで多面的なマクロ経済情報を発信する人が増えたため、以前より破綻論者の勢いは削がれてきたものの、いまだに根強く残っているのも事実です。

「消費が落ちたとしても日本は借金大国だから、税金をあげて財政健全化しなきゃ」との意見があります。

消費増税で民間消費が落ち込むことはご理解いただけたと思います。しかし、落ち込んだとしても税率があがるわけですから、増税した初年度は税収があがるのも事実なのです。

かといって、消費が落ち込むことで経済活動が低迷することで、法人税や所得税が落ちることも考慮する必要があります。

一般会計税収の推移
一般会計税収の推移 出典:財務省

実際に、1997年以降の法人税と所得税のダウンはひどいものでした。この事実からも、消費増税が決して財政健全化につながるわけではないとわかります。

じゃあなんで消費増税する必要があるのか?と誰もが思うはずです。

答えは意外と、「財務省の悲願だから」というくだらないものだとぼくは憶測します。

それぞれどんな思いを抱くのは自由です。大切なのは、メディアを鵜呑みにするのではなく客観的なデータから、自分で判断することなのです。

まとめ

  • 政府は消費増税の経済に与える悪影響を認識している
  • 悪影響を認識しながら、悪影響を抑えながら消費増税をしようとしている
  • 実質民間消費支出は、消費増税をした1997年と2014年、リーマンショックの2008年に腰折れ
  • 消費増税で消費に対する税収は伸びても、経済停滞により法人税と所得税が落ち込む可能性が高い