トヨタの借金は30兆円。成長の基本は借金による生産力の増強

日本を代表する企業トヨタの借金が約30兆円と聞いて、意外だと思う人は多いのではないでしょうか。

以下はトヨタのバランスシートです。

トヨタのバランスシート
トヨタのバランスシート 出典:ロイター

資産の約48兆円のうち、現金証券は5.9兆円と比較的少なく、一方で借入金などの負債が約30兆円もあり、その額は年々増えています。

こんなに巨額な借金がありながら、なぜ健全な経営ができるのでしょう?

借金による生産力の強化が売り上げ向上の基本

トヨタの負債が年々増えている一方で、バランスシートの他資産も毎年増加しています。他資産とは不動産や生産設備などのことで、毎年28兆円近くの売り上げを出すための有形資産になります。

工場の増設や生産設備の強化をしないことには、生産量を増やし売り上げを伸ばすことは難しいのです。そのため、土地を取得して工場を建てたり、既存工場の設備を更新したりするわけですが、そのための資金を自己資金で賄うには限界があります。

またそのような固定資産は長期にわたり使用するので、一般的に金融機関から借り入れて、減価償却で返済することになります。そうすることで無理のない返済と、大きな投資効果が得られるのです。

トヨタが優良企業とされるのは、巨額な借金を抱えていても巨額な売り上げを生み出せる生産設備を有しているからなのです。

誰かが借金をしないと経済は成長しない

日本経済全体で考えても、誰かが借金をしないと経済成長(GDPの増加)をするのは難しいのです。

日本では約500兆円のGDPがありますが、毎年500兆円の消費だけしていたらいつまでたっても500兆円のGDPは増えません。

ちなみに、日本のGDPが約20年間ほとんど成長していないのは、民間の消費と投資(借金)の落ち込みと、緊縮財政により政府の投資(借金)も減っているためです。

緊縮財政政策が続いている理由は、いわゆる「国の借金(正確には政府債務)」が1000兆円と巨額だから、減らさなければならないという財務省の警告が国中に浸透しているためです。

しかし実際のところ、トヨタの借金が30兆円でも優良資産を有しているため健全な経営ができているように、政府の借金は巨額ではありますが、一方でインフラなどの巨額な固定資産も有しています。たとえ政府債務が増えたとしても、それが公共事業などでインフラの強化に使われた場合、資産も増えるのです。

企業が借金をして設備を新設して生産力を強化するように、政府も借金をしてインフラを強化し、日本国の生産力を強化することで経済成長につながる。それが、国の本来の姿なのです。

それが理解できれば、「借金はすべて=悪」という財務省が喧伝する間違ったイメージから脱却できるはずです。

まとめ

  • トヨタは約30兆円の巨額な負債を抱える
  • 巨額な負債があっても、毎年28兆円近くを稼げる資産を有する
  • 企業は借金をして設備投資することで売り上げを伸ばせる
  • 日本政府も1000兆円の借金の一方で、巨額の資産を持つ
  • 日本もインフラ投資による生産力強化で経済成長できる