アベノミクスの成果とされる就業者数増加は、医療・福祉関係で働く女性がけん引

アベノミクスへの評価が割れています。

当然自民党は、道半ばといえどもアベノミクスの効果をアピールしています。

以下の図は、昨日自民党のHPで発表された「数字で見るアベノミクスの進捗状況」の一部です。

数字で見るアベノミクスの進捗状況 出典:自民党HP

アベノミクスを評価できない人が主張するのが、実質賃金の低下です。実質賃金に関しては、251万人が新たに雇用されたため、「新規雇用者は賃金が低い傾向にあるので実質賃金が下がるのは当たり前」との声もあり、それは事実です。

実質賃金指数
平成19~29年の実質賃金指数 出典:厚生労働省

一方で、アベノミクス以前からの傾向ですが、全雇用者に占める非正規雇用者の割合が高止まりしており、人手不足のわりに一人当たりの賃金があがっていないもの事実です。

正規雇用と非正規雇用労働者の推移
正規雇用と非正規雇用労働者の推移 出典:東洋経済

そして、増税と保険料のアップのため可処分所得は伸び悩み、2016年ではリーマンショック以前にも戻っていません。

実収入と非消費支出・可処分所得の推移(月額)(円)(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(2001年~) 出典:不破雷蔵氏ブログ

自民党が就業者数の増加に関しては成果とする一方、給与に関してはだんまりなのもそれを自覚しているからでしょう。

企業の営業利益が31兆円も増えているのに、十分に労働者に還元されていないのが現実なのです。

安倍政権で女性の就業者数が201万人増

数字を細かく見ていくと、「おや?」と感じませんでしょうか?

251万人が新たに雇用されたうち、女性就業者が201万人ということは男性は50万人で、あまりにもアンバランスに感じませんか?

その理由を、総務省統計局の「第1 就業状態の動向 1 就業状態別人口」から紐解きたいと思います。

主な産業別就業者・雇用者の推移
主な産業別就業者・雇用者の推移 出典:総務省統計局

アベノミクスといえば、円安により輸出企業の業績が回復し、製造業が雇用を引っ張っているとのイメージがありますが、製造業の就業者は2017年は1052万人で上昇傾向にあるとはいえ2007年の水準にも回復していないのです。

一方で医療・福祉の就業者の伸びが目立ちます。2007年から10年で233万人(安倍政権では約106万人)も増えています。高齢化が一因ですが、すざまじい伸び率です。また意外なのが、少子化も進んでいるのに教育・学習支援も伸びていることです。

アベノミクスは女性の就業者の増加を成果としていますが、それは高齢化のため比較的女性が多い医療・福祉関係への求人が増える自然の流れで、アベノミクスとは関係ないように感じます。しかも、業績が回復しているはずの製造業で雇用が十分に回復していません。

女性は家庭環境も影響し、非正規・低賃金になる傾向があり、このあたりがアベノミクスの効果が感じられない、との声が多い理由ではないでしょうか?

アベノミクスで日本の8割が貧しくなる理由

世論調査においてはおおむね、景気回復を「実感している」と答えた人々が2割、「実感していない」と答えた人々が8割、という結果が出ているのです。

とりあえずヤフコメを寄せておきました。

アベノミクスを支持する人たちは、「まず企業業績が回復してから賃金があがる」といいますが、正直その言葉は聞き飽きました。

アベノミクスは完全に失敗というつもりはありませんが、リフレ政策や増税をはじめとする緊縮財政など経済政策としてまずい点も多く、自民党も安倍首相を熱烈に支持する人たちもそれを認めることが必要なのではと思います。

それがないことには、このままずるずる低空飛行で景気回復したとしても、将来の正しいソリューションは導き出せませんから。

まとめ

  • 安倍政権になり、景気の良さを表す経済指標が増えている
  • 一方で、アベノミクスの効果を実感できないとの声が根強い
  • 就業者の増加は、医療・福祉関係で働く女性がけん引
  • 企業の利益と就業者は増えているが、可処分所得が十分に増えていないのが景気の良さを実感できない理由の一因