家計の負担を増やしたら個人消費とGDPが落ち込み、税収の下げ圧力になる

安倍政権下で2回目の消費増税が実行されようとしています。

家計負担2・2兆円増と日銀試算

日銀は1日までに、消費税増税があった場合の2020年度の家計負担が、増税前より計2兆2千億円増えるとの試算をまとめた。過去2回の消費税率の引き上げ時と比べると4分の1程度の規模で、家計への打撃は「小幅なものにとどまる」と予測した。ただ、社会保険料の負担増などが考慮されておらず、悪影響が試算より大きくなるとの見方もある。

過去2回の消費税率の引き上げ時と比べると4分の1程度の規模というのは、軽減税率教育無償化による負担軽減だそうです。では、教育無償化の恩恵にあずからない人はより負担する必要があるということでしょうか?

悪影響を把握しながらどうしても増税をしたいようです。正直、消費増税したい人たちの執念には、呆れると同時に恐怖を感じます。

家計の使えるお金は年々減っている

安倍政権以前の流れですが、税金や社会保険料の負担増加により、国民負担率は年々高まっています。さらに追い打ちをかける消費増税になりそうです。

国民負担率(対国民所得比)の推移
国民負担率(対国民所得比)の推移 出典:財務省

消費増税は家計の可処分所得を減らします。日本では20年前から可処分所得が減少傾向にあり、すでに年々貧しくなりつつある一般国民に負担を強いる政府のやり方は感心しません。一方で過去最高益をあげている企業や、株高などで資産を増やしている資産家に対しては増税しているのでしょうか?

実収入と非消費支出・可処分所得の推移(月額)(円)(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(2001年~) 出典:不破雷蔵氏ブログ
実収入と非消費支出・可処分所得の推移(月額)(円)(二人以上世帯のうち勤労者世帯(人口5万人以上の市)(2007年までは農林魚家世帯を除く))(2001年~) 出典:不破雷蔵氏ブログ

増税は個人消費とGDPを落ち込ませ、税収の下げ圧力になる

はじめて消費税が導入された1989年はバブルの真っただ中で、個人消費に与える影響はほとんどありませんでしたが、1997年の消費増税は個人消費に甚大な影響を与え、消費税の徴収額自体は増額しましたが、1998年以降は景気減速による法人税所得税の落ち込みが顕著でした。1997年の増税ほどではありませんが、2014年の消費増税後も個人消費は落ち込んだまま回復していません。

一般会計税収の推移
一般会計税収の推移 出典:財務省

グラフをみれば明らかですが、消費増税により長期的に一般会計税収が改善していません。税収は名目GDPと相関関係があり、さらに税収弾性率が働くためGDPの約6割を占める個人消費が増えれば税収はGDPの伸び率より増加し、逆に個人消費が落ち込めばGDPの減少率より減ってしまいます。

なぜか日本では財政健全化を目指すために増税などで歳入を増やし、緊縮財政により歳出を減らす選択肢しか検討されません。1997年の消費増税からその方向性できたにもかかわらず、財政は悪化するばかりです。

家計の負担を増やすと個人消費が減るので当たり前なのですが、安倍政権下でも方向転換するつもりはないようです。デフレ下でしかも増税する環境では、家計や企業はお金を使いません。そんな状況で政府支出まで減らしているのですから、結果は明らかでありソリューションも明らかです。

デフレから脱却し財政健全化するためには、個人消費を増やしてGDPを成長させ税収を増やすか、債務残高対GDP比を下げるしかないのです。ここにきて景気回復してきたとの声もありますが、実際は輸出企業が最高益を挙げても利益は株主や役員報酬にとられるか、内部留保に貯まるだけです。

本来であればアベノミクスで大儲けしている企業や資産家に課税をし、国民に分配すべきだと思いますが政策的に難しいので、国民の利益になるインフラ投資を増やすことで内需拡大の呼び水にすることが解決策のひとつになるはずです。

まとめ

  • 消費税増税をした場合、2020年度の家計負担が増税前より計2兆2千億円増えると試算
  • 増税と社会保険料の負担増で家計の可処分所得は年々減少している
  • 可処分所得の減少は個人消費とGDP落ち込ませ、税収の下げ圧力になる
  • 日本では20年前から、財政健全化策として増税による歳入の増加と緊縮財政による歳出の削減を慣行
  • 本来は、個人消費を増やすことによる経済成長で財政健全化を目指すべき