消費増税に賛成する経団連は本格的な景気回復を望んでいないのでは

なぜか経団連消費増税に反対の立場ではなく、むしろあげるべきだと積極的に提言しています。

経団連、消費税10%超「有力な選択肢」 新財政計画へ提言

経団連は、先進国で最悪の財政状況を改善するため、消費税率を2019年10月に予定通り10%に引き上げた後、10%を超える水準への税率引き上げを「有力な選択肢」として議論するように促す提言をまとめた。政府が6月をめどにまとめる新たな財政健全化計画に反映させたい考えで、来週公表する。

日本の代表的な企業1350社などから構成される経団連は、なぜ消費を落ち込ませる消費増税に賛成するのでしょう?どうやら2000年頃まで経団連は消費増税に反対していたようですが、奥田碩氏が経団連の会長を務めていた2003年頃から賛成に回ったようです。

一方で経団連は、法人税の減税を求めてきました。

経団連会長、日本の法人税率「最終的には25%を要望」

経団連の榊原定征会長は8日午後の記者会見で、実効税率で29%台後半の日本の法人税について「最終的には25%の水準を主張しており、経済界の要望という形で提案していきたい」と述べ、さらなる引き下げを求めた。

つまり、「法人税の減税分で減少する税収は、消費増税で穴埋めすればよい」と考えていると解釈できそうです。

あくまで企業の利益を最優先する経団連

経団連は企業の立場を最優先しているため、普通の家計の負担が増えようとも企業が儲かればよいと考えるのは当然のことです。通常、家計の負担が増えると企業の売り上げも伸びないので企業にも悪影響があると思われますが、日本では家計の負担が増え所得も伸びていない中、企業の業績は堅調に伸びてきています。

以下は1990~2018年の名目賃金の推移です。

名目賃金1990~2018年(2015=100) 出典:NIPPONの数字

1997年頃をピークに下げ傾向にあり、やっと近年下げ止まりつつあるようです。

以下は1990~2016年の企業業績の推移です。

民間企業業績1990~2016年 出典:NIPPONの数字

経団連が消費増税賛成に転じた2000年代前半頃から上昇傾向にあり、リーマンショックの影響で一旦落ち込みましたが、その後も堅調に伸び、現在は過去最高水準の利益を得るまでになっています。

以下は1990~2016年の企業の売り上げです。

民間企業売り上げ1990~2016年 出典:NIPPONの数字

リーマンショック前は米国の住宅バブルの影響で急激に伸びていますが、現在は1990年とほぼ同水準なのです。売り上げが伸びない中、コストカットで業績を増やせる企業体制の構築に成功したといえそうです。当然、コストカットは賃金や仕入れ価格の抑制も含まれます。

大企業はデフレ状況で利益を拡大できる

消費増税は民間消費を落ち込ませ、企業の売り上げにも悪影響を与えるはずです。そんな状況ではインフレ上昇率も低迷し、デフレ傾向が続くことになります。しかし、経団連に加盟しているような大企業は、売り上げが低迷してもコストカットやコストカットによる価格競争力の強化で、グローバルで売り上げを伸ばすことができます。

むしろデフレ傾向にあるほうが賃金上昇も抑えられ、人手不足の中でも人材確保が容易になります。本格的な人手不足になると設備投資で対処しなければならず、コストがかかります。また本格的に景気が回復すると下請けからの価格上昇の圧力も強くなり、グローバルで売り上げを伸ばすことが難しくなります。

以上のことから、大企業はむしろ家計や中小企業が儲からないデフレ環境の方が利益を確保しやすいのではと推測します。そう考えると、なぜ経団連が消費増税に積極的なのかがみえてきます。

まとめ

  • 経団連は消費増税に賛成し、法人税の減税を提言している
  • 日本の名目賃金は、1997年をピークに下落傾向にあるにある
  • 日本の企業は2000年代初頭から利益を伸ばしてきている
  • 売り上げ低迷の中の企業の利益拡大は、賃金や仕入れ価格のコストカットが貢献
  • デフレの方がコストカットが容易なので、経団連は消費増税を望んでいるのでは?