国の消費を減らして民間に消費を促す。ちぐはぐなアベノミクスの経済政策

5月16日、2018年1~3月期の国民所得統計1次速報が発表されました。

GDP1─3月期年率-0.6%、内需頭打ちで2年ぶりに成長後戻り

実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス0.2%、年率換算マイナス0.6%となった。15年10─12月期以来の9四半期ぶりのマイナス成長となり、これまでの高めの成長が一服した。内需がさえず、消費と設備投資の2本柱のほか、住宅投資もマイナス成長で、民間需要は総崩れとなった。他方で外需がプラス寄与度を維持し、下支えした。

近年は名目・実質GDPとも上昇傾向にあり、四半期のGDPの増減で一喜一憂する必要はありませんが、やはり消費設備投資の弱さが気になります。

ヤフコメをみても、「所得は増えない一方税負担が増える。これで消費を増やせるわけがない」との意見が主流になっています。失業率が改善し賃金の上昇の兆しがみえてきていますが、それが消費増につながっていないのが実情のようです。

賃金が上昇しても国民負担が増えれば消費を増やせない

名目賃金があがってきているとはいえ、リーマンショック前、ましてや20年前の水準まで回復していません。

名目賃金1990~2018年(2015=100) 出典:NIPPONの数字

政府は2%のインフレ目標を掲げ金融緩和をしていますが、思ったような成果が得られていません。このようなリフレ政策は、日銀がインフレ率2%を達成するまで金融緩和をするとコミットメントすることで、民間に「インフレ期待」が起こることで消費や投資が増えるとの触れ込みでした。2年で達成できるとの責任を伴うコミットメントしたにもかかわらず、5年を経た今でも失敗を認めていませんが、いくら言い訳をしようとも失敗でしょう。

民間が消費や投資を増やさないのは日銀のコミットメントとは関係なく、家計は所得が大して増えない中負担が増えるためで、企業は将来の需要増が見込めないから投資を控え、どちらも将来に期待できないから貯蓄しています。

そんな中、さらに安倍政権は消費増税をしようとしています。さらに消費は落ち込み、せっかく人手不足で設備投資をする条件が整ってきている企業も、積極的な投資をすることを控えるでしょう。

誰かが消費や投資を増やさないと経済成長はできず、インフレにはならない

政府は2%程度のインフレを伴う経済成長を目指しているのであれば、誰かが必ず消費と投資をしなければ達成できないことを認識するべきです。政府は民間が消費を増やすことを期待し、企業に賃上げ要請していますが、多少賃上げが実現したとしても税金や社会保障の負担が増えることが確実な中、大幅な家計消費の増加は期待できないでしょう。

一方民間企業は、ここ近年好調な世界経済がけん引し業績を伸ばしてきています。しかし今後も堅調に世界経済が伸びる保証はなく、むしろ不安材料の方が多いため積極的な設備投資を控えています。また、きまって支給する賃金をあげるのではなく、業績が良いときには一時金(ボーナス)の支給で対応しています。再び景気が落ち込むと、賃金は再び下げはじめるでしょう。

以上のことから、家計が消費を増やし、企業が設備投資を増やして内需が拡大する材料が乏しいのが現状なのです。

これは目新しい状況ではなく、消費税が3~5%に増税され、公共事業をはじめとする政府支出が削られる緊縮財政が本格化した1997年からの傾向なのです。その結果、日本では約20年間GDPがゼロ成長という異常事態にあります。

アベノミクスは当初、機動的な財政出動も経済成長のソリューションとして掲げていました。しかし実体は、社会保障関係費の支出を抑えるとともに、公共事業投資も低調なままなのです。金融緩和や失業率低下が実体経済に与えるインパクトの弱さが明確になった今、再び財政出動による官需の増加を検討すべきときです。

公共投資 1994~2018年 出典:NIPPONの数字

国債発行による公共事業には、財務省をはじめとする政府や国民の間に抵抗があります。とはいえ、公共事業には国民の利便性を高めるとともに、経済成長へ貢献するという役割があります。メディアで公共事業の負の面を強調してきたためか、公共事業の大切さが国民の間で忘れ去られてしまったかのようです。

この流れを変えるためには、「国の借金」問題がデマであり、自分たちだけでなく将来世代の明るい未来のために経済成長が必要なことを国民の多くが認識する必要がありそうです。

まとめ

  • 実質GDPが9四半期ぶりのマイナス成長に
  • 外需が好調な一方、家計の消費と企業の設備投資は低調に推移
  • 家計は税金などの負担が増え、企業は将来の需要が見込めない中、消費や投資は増えない
  • 世界経済の状況によっては、再び日本の景気が冷え込む可能性あり
  • 民需が低迷する中、官需で景気を支えるべき