人口減少は悪いこと?人口に応じた国の形を模索するべきでは

日々、人口減少に向かう日本を悲観する報道であふれています。

典型的なのがこれで、結論もだいたい同じです。

日本人は「人口減少」の深刻さをわかってない

移民の受け入れは、治安悪化、賃金下降を招きデフレを強める、神社がモスクに変わったり、日本の文化を守ることが難しくなったりする、といったデメリットがあることは間違いない。しかし、コンピューターなどの才能や知識を持った高度人材を受け入れるためには、どうしても移民規制を緩和するしかないだろう。

個人的に、神社がモスクになるのは嫌です。

先日のエントリーで紹介しましたが、同じ東洋経済オンラインで ”2020年代に「AI大量失業時代」が到来する理由”という記事がありました。大量失業時代がくるなら、人口減少も悪くないと思うのですが。

そもそも理想的な人口ってあるの?

以下のグラフは、長期的な日本の総人口の推移です。

「我が国の総人口は、2004年をピークに、今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準
に戻っていく。この変化は、千年単位でみても類を見ない、極めて急激な減少。」だそうですが、1800年代後半から2004年に至る人口変化が、千年単位でみても類を見ない、極めて急激な増加だったのです。

人は忘れやすい生き物です。現在から前後5年ほどが、普通の状態だと感じてしまうものです。人口が減少に転じ、日々メディアで人口減少のデメリットが報じられれば、誰だって悲観的になります。そして、「人口が増えていた時代は良かったなあ」なんて考えてしまいます。

しかし、人口が増えていた時代だって人口増加問題があったのです。Wikipediaには次のような記述があります。

江戸時代の中期から後期(幕末)には3000万人前後と長く抑制されてきた人口が、開国後に急増を始める。間引きが厳しく罰せられることで4-7人兄弟の家族が普通になり、公衆衛生の発達や近代医療の導入により新生児・児童の生存率が向上したこともあって、人口は昭和初期には幕末の3倍にまで膨れ上がり、人口過剰は重大な社会問題となっていた。特に都市人口の増大は急激だった。この頃、この人口増加が続いたままでは20世紀末に人口は2億5000万になると考えられていたが、政府は多産を奨励し産児制限運動を弾圧。人口過剰の解決を名目に日本国外への移民政策や対外拡張政策を推進した。

戦前は人口過剰の解決のため国外への移民政策や対外拡張政策を推進したのが、今では人口減を理由に、移民受け入れを推進しようとしているのです。戦前の移民政策や対外拡張政策が、日本人排斥運動や戦争の火種となる新たな問題を生んだのは知るところです。

約1億2000万人の人口の維持が理想的と考えていたら人口減少は問題でしょうが、これまでの人口増が異常であり、今後の人口減に応じた社会システムの変革をしていこうという機運が芽生えれば、それほど悲観することでもないのかとも思います。

今の状態をキープしようとするから無理が生じる

人口減が問題と主張する理由は、主に消費者の減少と労働力不足に伴う経済の縮小をあげています。さらに付随する現象として、社会保障の維持が困難になることも。

机上の空論といえばそうなのですが、これらの問題は一人当たりのGDPを増加させることで解決できます。人口減少しても一人当たりの生産力を高めると所得が増え、さらに消費を増やすことで経済成長できるので税収も増えるからです。

論理的には可能なのですが、世界的にデフレ傾向にあるので現状では難しそうです。「景気は気から」という言葉があるように、人々が将来が明るいと確信すれば消費を増やし企業も設備投資をするようになるのですが、これだけ変化が激しい時代になると将来の不確実性が増し、消費や投資をしなくなります。

これは移民を受け入れ人口をキープ、または減少ペースを緩めれば解決できるということではなく、多くの国民が危機感を持ち、その場的な安易な方法ではなく根本的な問題解決をするという意識を持たない限り難しいのではないでしょうか。

例えば、人口減少する中、仕事だけでなく社会活動に参加していない人たちも数1000万人単位で存在します。その人たちが社会活動に参加するような社会システムにすることで、移民に頼ることなく人口減に対応できるはずです。移民に頼ることの危険性は、ドイツをはじめとする欧州で今起きている問題をみればわかります。

「生き残る種は強者ではない。極めて賢い者でもない。変化に最も柔軟に対応できる者だ」とのダーウィンの言葉があります。力や資金にものを言わせるのではなく、自ら変化に柔軟に対応するという意識の芽生えが必要にされているのだと思います。

まとめ

  • 日本では人口減に対応するため移民受け入れを進めようとしている
  • 人口減は確かに問題だが、人口増が問題だった時代もある
  • 世界的なデフレ傾向にある時代に、人口を維持したとしても根本的な問題解決にならない
  • 人口減だとしても、一人当たりのGDPの増加で多くの問題が解決できる
  • 社会参加率を高めるなど、人口減に応じた社会システムの変革で柔軟に対応すべき