自動運転車は危険?困難な安全性についての客観的な評価

テスラ自動運転機能オートパイロット」使用中に起きた死亡事故が話題になっています。世論としては、「自動運転は危険」とのイメージが大勢を占めているように感じます。一方でテスラは、オートパイロットの安全性を主張しています。

テスラが主張する「オートパイロットは一般の車よりも3.7倍安全」という主張をデータサイエンティストが詳細に分析

ドライバーに替わって自動車を走らせてくれる自動運転機能「オートパイロット」の使用中に事故を起こしてドライバーが死亡した事件を受け、テスラはこの機能によって死亡事故が起こる確率は低く、一般の自動車における統計データ「8600万マイルあたり1回(約1億4000万kmあたり1回)」に比べて3.7倍安全であると主張しています。

まずテスラのオートパイロットが、自動運転機能と呼べるかは微妙です。完全自動運転の5段階のレベルにおいては、オートパイロットはレベル2に当たります。ブレーキやハンドル操作を車が自律的にする段階にはありますが、まだ運転支援機能にとどまっているからです。

テスラの事故にしても、車がドライバーに操縦を促す警告を再三発していたのにドライバーが無視した結果、停車していた消防車に突っ込んだり、逆光の中走行したためカメラが車線の認識ができずに中央分離帯に衝突したりといったケースがあります。

あくまで運転支援機能との認識があれば、常にドライバーが注意を怠らないことで避けられたケースともいえそうです。テスラがユーザーに対し、センサーやカメラに死角があることを説明し、ユーザーが理解していたかどうかも大きな問題ではないでしょうか。

「オートパイロットは一般の車よりも3.7倍安全」は正しいのか?

個人的には、ユーザーが運転支援機能の限界を理解していれば、機能を実装していない車より安全性は高くなると感じます。反対に認識不足の場合は、運転に油断が生じることで危険性が増すとも予測できます。そういう意味では、運転支援機能搭載の車とそうでない車に乗車する場合で、心情に与える影響が違ってくる可能性があるため、あらゆる車種を含めた同じフィールドで安全性を測るのは難しいような気がします。

また記事の中で指摘されているように、「オートパイロットによる死亡事故発生率」を正しく評価するためには、オートパイロット機能がオンになっている状態で起こった事故の統計を取る必要があるのに、「オートパイロット機能を搭載している車両の総走行距離」をもとに数字をはじき出しているといいます。テスラ側はどうしても、自分たちにとって都合の良い方法でデータを出そうとするでしょう。テスラと専門家の間で見解が分かれるのは無理はありません。

しかし注目したいのは、アメリカのシンクタンク「ランド研究所」が2020年までに従来の車両と同じ程度かわずかに安全性が高い「部分的な自動運転カー」を世に送り出すことで、2025年に「完全自動運転カー」を送り出すことよりも5年間で16万人以上の人命を救うことにつながると、と提言している点です。

昨日も大阪で、小学3年生の女の子が大型トラックに巻き込まれる死亡事故が起きました。もしトラックに360度カメラが搭載され、女の子の存在を認識し警告を発する機能がついていれば防げた事故かもしれません。

客観的に評価を下す難しさ

ランド研究所は、自律車両が人間よりも20%優れているという統計的な確信を得るには、80億マイル(約120億km)以上の走行データをもとにした検証が行われる必要があるとしています。それだけ、物事の良し悪しを評価するのは難しいことなのです。

自動運転とは離れますが、食にかかわることでも常識が覆ることは珍しくありません。今、塩と高血圧の関係性についても見直されようとしています。

塩は体に悪いのか?

何十年にもわたって公衆衛生当局は人々に「塩分の摂取を控えるように」と促しています。塩分摂取を控えることは血圧低下につながり、その結果心臓病の発症率が低下すると考えられていますが、一部の研究者たちは公衆衛生当局によるガイドラインは非科学的なものであるとして、長きにわたって心臓病と塩分摂取の関係性を調べてきました。

血圧の高さやメタボの数値も怪しいものです。そもそもその人が健康であるかはその人の体が決めるわけで、標準値から外れているから病気とするのでは話が逆さまです。

「クリーン」というキャッチコピーも要注意です。

電気自動車は本当に「クリーン」なのか──EV普及の前に考えるべき「4つの問い」

各国がガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出すなど、電気自動車(EV)が一気に普及していく可能性が高まっている。だが実際のところ、EVは本当に地球や人間に優しいクルマなのだろうか?

少し考えればわかることですが、電気自動車が大量に走るようになれば電気消費量が増えます。そのためには化石燃料の消費量が増えるため、環境に悪影響です。太陽光発電にしても、パネルを作るために、太陽光による発電量より多くの電気を消費するとのデータもあります。

ちょっと話はそれましたが、これから自動運転車の開発が進むにつれて、自動運転車の安全性についての議論が活発化しそうです。そのときは感情論を優先するのではなく、その段階での技術の限界を周知することが、冷静な議論のために必要なのかと感じます。

まとめ

  • テスラのオートパイロット使用時の事故が話題になっている
  • テスラのオートパイロットは自動運転機能ではなく、運転サポート機能の段階にある
  • 事故を起こしたドライバーが、運転サポート機能の死角を認識していたのか疑問
  • テスラはオートパイロットの安全性の高さを主張するが、客観的に評価するのは困難
  • 自動運転車の安全性に関する議論では、感情論ではなく技術の限界を知ることが大切に