好況時には交通事故が増える?見事に一致する交通事故死亡者数の増減と景気動向

急速に進む自動運転技術の開発に伴い、ドライバーの安全運転を支援する機能の普及が進んでいます。では、交通事故死亡者数が減少しているのかといえば、米国ではそうではないようです。その理由として考えられるのが、意外なものでした。

クルマの安全性が高まっているのに、米国では「死亡事故」が増えている──その意外な理由とは

衝突を防ぐ機能などを搭載した半自動運転車などが街を走るようになり、クルマの安全性はこれまでになく高まっている。しかし、米国ではここ2年ほど、死亡事故が増えている。その一因は景気の回復にあるという。

景気が良いと交通事故死亡者数が増えるのか?

米国の失業率は15年間で最も低く賃金もじわじわと上昇を続け、ガソリン価格もここ数年ほど低下したまま維持されてるそうです。そして交通事故死亡者数は、15年から2.6パーセント増加しています。

記事では仮説としてますが、米国の好況が人々の気持ちを明るくし外出機会が増えることで交通事故が増えるのでは、としています。では、景気が回復しているといわれる日本ではどうでしょう?

交通事故死者数の推移 出典:JIJI.COM

2017年の交通事故死亡者数は3694人で、過去最少を記録しています。しかし過去を遡ると、1万6765人が交通事故死したピークの1970年は、1955年から1973年まで続いた実質経済成長率が年平均10%を超える高度成長期の真っただ中でした。高度成長期の交通事故死亡者数は、戦争と同程度の多さだったため交通戦争と呼ばれるほどでした。

そして高度成長期を収束させたのは、1973年の第一次石油ショックでした。1974年は実質成長率がマイナス1.4%に落ち込んでおり、交通事故死亡者数も激減しています。当然ガソリン価格が高騰すれば、車の使用も控えるでしょう。交通戦争を終わらせたのは、不景気だったといってもよさそうです。

高度成長期が終わったとはいえ、1975年からバブルが崩壊した1990年代前半まで平均年5%程度で経済成長していました。その間交通事故死亡者数は一旦1万人を割り込んでいましたが、1988年に再び1万人を超え、第二次交通戦争と呼ばれる状況になりました。

その後、違反者に対する罰則強化や交通安全運動などにより交通事故死亡者数は減少し、1996年に1万人を割りました。そして無視できないのがバブル崩壊の影響と、消費税が3%から5%にあげられ平成不況が始まった1997年以降も交通事故死亡者数が減少傾向にあることです。

確かに罰則や取り締まりの強化、車の性能の向上などが大きな要因ともいえますが、景気が与える交通への影響も考慮する必要がありそうです。平成不況は現在も続いていると思われ、その特徴は企業は過去最高の業績をあげる一方で、実質賃金が低迷しているところです。1997年をピークに下げ止まりしている賃金では、積極的に車で旅行や外出を楽しむマインドに回復しないでしょう。

景気回復に備えた交通安全対策が必要

そう考えると、これから景気が本格的に回復基調になるとすれば交通事故が増加する可能性があります。さらに高齢者の増加に伴い、ブレーキとアクセルの踏み間違いや運転中の体調不良による交通事故も増加すると考えられます。

通車が保育施設に突っ込み運転の男性死亡 女性けが 子どもけがなし

22日午前、大阪・平野区で車が暴走して歩道にいた女性をはねたうえ、保育施設が入る建物に突っ込みました。子どもたちにけがはありませんでしたが運転していた男性が死亡し、はねられた女性がけがをしました。

毎日交通事故のニュースが飛び込んできます。その多くが、ブレーキアシストさえ搭載していれば防げるものではないでしょうか。現段階の運転支援技術でも、単純な運転ミスによる車の暴走を防げます。政府や自動車メーカーの取り組みはもちろん、ドライバー自身が安全運転の意識を高める必要がありそうです。

まとめ

  • 米国では、景気回復に伴い交通事故死亡者数が増加している
  • 日本では近年交通事故死亡者数は過去最少だが、高度成長期は1万5千人を超え交通戦争と呼ばれていた
  • 高度成長期が終わり、石油ショックで景気が低迷すると交通事故死亡者数も大幅に減少
  • バブル経済で再び1万人を超える第二次交通戦争に突入、平成不況以降減少傾向にある
  • 今後景気が回復するに伴い交通事故増加も予測されるため、運転支援システムの導入が急務