人手不足でも鈍い賃金上昇。消費増税と外需の縮小で日本経済は再び不況へ

2018年5月30日

日本では相変わらず人手不足が続いています。

完全失業率、4月は2.5%で変わらず 有効求人倍率1.59倍で横ばい

総務省が29日発表した4月の完全失業率(季節調整値)は2.5%、厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率(季節調整値)は1.59倍となり、いずれも前月から横ばいだった。

一方で、非労働力人口は前月から6万人増の4235万人だったといいます。非労働力人口の数%でも労働市場に参加してくれれば人手不足は一発で解消します。

4235万人のうちの数%は、働けるにもかかわらず仕事をする意思を持っていません。そのような人たちは、失業者には含まれません。その理由はさまざまでしょうが、賃金も大きな理由だと推測されます。

高齢化などの要因もあり単純に比較できませんが、景気の良かった1985年(昭和60年)の労働力率は63%と現在より3%高かったのです。

労働力人口及び非労働力人口の推移 出典:厚生労働省

人手不足でも鈍い賃金上昇

以下は、2012年1月から2018年3月までの実質賃金の推移です。失業率が減少しつつあり、新規雇用者は賃金が低い傾向にあるという理由もありますが、実質賃金は低迷しています。2018年3月に急回復しているのが希望です。

実質賃金推移 2012年1月~2018年3月 出典:NIPPONの数字

とはいえ、1990年からの推移をみると下げ止まりしている状態だとわかります。この状況から判断すると、賃金上昇を伴わない人手不足ともいえそうです。

実質賃金推移 1990年~2018年3月 出典:NIPPONの数字

2018年3月の賃金上昇の傾向が続くことで非労働力人口の数%が労働市場に参加しようとし、人手不足が緩和するかもしれませんが、そう簡単にはいきそうにありません。

安い労働力にアクセスできる間は企業は賃金をあげない

人手不足状態を放っておけば、企業は人手を確保するために賃金を上げざるを得なくなります。しかし政府がやろうとしていることは、外国人労働者の受け入れ拡大です。

新たな在留資格 技能実習後、5年就労可 政府、来春創設へ 労働力確保狙う

政府は、5年間を上限に日本国内で就労できる新たな在留資格を設ける方針を決めた。最長5年間の「技能実習」を終えた外国人や一定の技能を身につけた外国人が対象で、人手不足に悩む建設や農業、介護などの5分野での労働力確保が狙い。

既に雇用の規制緩和は進められ、企業は非正規労働者を雇いやすくなっており、今では雇用者の約4割にまで非正規労働者が増えています。昨今の就業者数増加は、以下のデータが示す通り若者、女性、高齢者がけん引しています。それが悪いとはいいませんし仕方がないと思いますが、企業はできるだけ安価な労働力を求めているのです。

年齢階級別就業者の推移
年齢階級別就業者の推移 出典:総務省統計局

家族を養い、企業や社会の中核を担うべき中間層の就業者数の伸びは鈍いです。企業が賃金が高くなる中間層の雇用を避け、安価な労働力を求めている間は賃金の改善も鈍くなると推測します。

しかも景気に悪影響があると認識しているにもかかわらず、2019年10月に消費増税が実施されます。IMFは、好調な世界経済をけん引してきた米国と中国の減速を予測しています。そんな状況で、賃金をあげてでも人を確保する余裕のある企業はほんの一部にとどまるはずです。

アベノミクスでは、円安・株価により輸出企業を中心に恩恵を受け、わずかではありますがGDPも成長してきました。しかし、外需頼みの経済成長は不安定です。疎かにしてきた内需は消費増税により、さらに低迷しそうです。

人手不足という賃金上昇と設備投資増加による経済成長のチャンスを、安倍政権は失策により潰そうとしています。そのツケを払わされるのは国民と将来世代のなのです。

まとめ

  • 人手不足は続いているが、非労働力人口の数%を労働市場に戻せば解決できるレベル
  • 現在の約60%の労働力率は1990年より3%程度低い
  • 労働力率の低さは、実質賃金の低下が要因では?
  • 外国人労働者や非正規雇用者の増加が実質賃金低下の要因では?
  • 消費増税と世界経済の失速で日本経済は低迷すると予測され、今後の賃金の伸びは不透明