イタリアの政治不安から欧州金融危機再来か?間違っていた緊縮財政路線

イタリアの政治不安を発端に、欧州の金融危機のリスクが高まっています。

政局混乱、国債急落 12年以来最大の危機懸念

ユーロ圏3位の経済大国、イタリアの政治混乱が止まらない。3月4日の総選挙以降、欧州連合(EU)懐疑派政党が主導権を握る中で事実上の政治空白が続き、今秋にも再選挙が実施される見通しが強まっている。金融市場ではユーロやイタリア国債を売る動きが広がり、債務危機に見舞われた2012年以降で最大の混乱に陥る懸念が出てきた。

イタリア国債が売られ、昨日5月30に10年債利回りが2.91%まで上昇しました。ギリシャのデフォルト騒動があった2012年前後にはイタリア国債も暴落し、そのときの金利は7%まで上昇しており、再びデフォルトのリスクが高まっていると報じられています。

イタリア国債(10年)推移

財政健全化を進めても根本的な解決にならない

イタリアの政府総債務残高(対GDP比)は、2012年の危機以後も高い水準で推移しています。

イタリアの政府債務残高推移

これは、欧州の財政協定が財政赤字をGDP比3%以内にすると定めているため、緊縮財政でなんとか政府債務残高を増やさないようにしているからです。しかしその緊縮財政が、今回の政治不安を引き起こしているのです。

国民は反緊縮の政党を支持し、反緊縮議員が議会の過半数を握っています。それでも大統領は緊縮派の首相を指名したので、議会で信任されず再選挙になる可能性が高いのです。なぜ国民が反緊縮に動いているのかといえば、経済が停滞する中追い打ちをかけるように緊縮財政を強行しているため、国民の生活が苦しくなっているからです。実際にイタリアのGDPは低迷しています。

イタリアのGDP推移

ギリシャはもっと酷い状況にあります。超緊縮財政のおかげで財政黒字を実現しましたが、政府総債務残高(対GDP比)は180%と依然として高いままです。それもそのはず、GDPはピークより30%も落ち込み失業率は20%、若年層の失業率は45%まで悪化しているのです。

緊縮財政は根本的な解決策にならないばかりか、国民を貧困化させます。じゃあなぜそんなことをするのかといえば、EUを主導するドイツやフランスにとって、イタリアやギリシャ国民が貧困化しようが関係ないからです。彼らにとって重要なのは、貸した金をしっかりと返してもらうことだけなのです。

イタリアと日本の決定的な違い

イタリアは緊縮財政を強行している意味では日本と似ていますが、違いは反緊縮の政党が存在することです。日本ではなぜか与党も野党も緊縮支持で、本当に民主主義国家かと疑ってしまうような状況にあります。

またイタリアと日本が大きく違うのは、イタリアは自国通貨を持たないことです。EU圏の単一通貨ユーロを使っているため、独自の金融政策がとれないのです。もし以前のように独自通貨リラを持っていたら、金融危機になって通貨が暴落して一時的に不況になっても、通貨安で経済的恩恵を受けることができるため復活も早くできます。さらに独自通貨は自国の判断で発行できるため、柔軟な対応が可能になります。

なのでユーロを使い続ける限り、イタリアが緊縮財政から脱却したとしても経済成長できるかは不透明です。緊縮財政時よりかはましになるでしょうが、一方で政府債務残高も増えていきデフォルトするしか道がなくなるでしょう。そんな事情もあり、金融危機になるとユーロ離脱が現実を帯びて議論されるわけです。

そんな大きな違いがあるにもかかわらず、日本では来月決まる「骨太の方針」で、財政赤字を3%以内にするという欧州をモデルとした緊縮策が取り入れられようとしています。

イタリアやギリシャのケース、また20年来日本で続けられている緊縮財政の影響で止まってしまった経済成長という実害がありながら悪政を転換しようとしない日本。このままでは欧州と日本の没落は避けられそうにありません。

まとめ

  • イタリア発の欧州金融危機の再来が懸念されている
  • イタリアは2012年の金融危機以来の緊縮路線が政治不安の引き金に
  • イタリアは緊縮財政の影響で経済が低迷し、政府債務残高が高止まり
  • ギリシャはデフォルト後の緊縮財政で、GDPは30%減少し失業率は20%に
  • イタリアやギリシャと違い独自通貨で借金(政府の)をしている日本が緊縮財政をするのは間違い