生産年齢人口減少が怖くない理由。需要が増えれば経済成長し労働生産性は高まる

なぜ日本の労働生産性は低いのか?」とは、昔からよく議論されてきました。例えば、以下の記事もそうです。

生産性が低すぎる日本企業 仕事のムダを劇的に解消する「3つの質問」とは?

日本生産性本部が発表した経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の時間当たり労働生産性の調査結果(2016年)によると、日本は20位(46ドル)であり、G7の中で最下位となっています。米国(70ドル)やドイツ(68ドル)よりも30%以上も生産性が低いという情けない数字です。

1970年から先進7カ国中最下位だった日本の労働生産性

先述の記事でもそうですが、労働生産性が低いことが悪いかのように捉えられています。そもそも、労働生産性とはどのように算出しているのかをみていきましょう。

財務総合政策研究所は、労働生産性を以下のように定義します。

労働生産性とは、従業員一人当たりの付加価値額を言い、付加価値額を従業員数で除したものです。労働の効率性を計る尺度であり、労働生産性が高い場合は、投入された労働力が効率的に利用されていると言えます。

算出方法は、以下の通りです。

労働生産性(従業員一人当たりの付加価値額)=付加価値額/従業員数

付加価値額とは企業活動の過程で新たに加えられた価値のことで、人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益の合計になります。

日本の労働生産性は1970年から先進7カ国中最下位ということで、日本特有の企業の構造的な問題があるとか、算出方法の違いが国によって違うので国際比較に意味がないとか様々な議論があり、単純に日本は労働生産性が低いからダメだとも言えないようです。

ただ確かなのは、付加価値額が増えないことには労働生産性が上昇しないことです。このことは、バブル崩壊後に企業業績が悪化して以来、労働生産性の上昇が鈍化したことからも明らかです。

逆にいえば、日本が堅調に経済成長していけば付加価値額も増えるので、労働生産性は高まっていたということになります。

生産年齢人口の減少は、労働生産性の向上で対応できる

労働生産性の上昇率は高度成長期は8%、バブル期は3%、バブル崩壊後は1%前後で、経済成長率とほぼ相関関係にあります。経済成長すれば企業活動が活発になるため、当然です。昨今の労働生産性の低さは、日本が約20年間ほとんど成長していかなったことが大きな要因なのです。

高度成長期に労働生産性を8%も高められたのは、生産設備の機械化を進めたからです。日々テクノロジーは進化し、急速にロボットやAIが新たな労働力として普及していることを考えると、日本には労働生産性を高められる大きなポテンシャルがあるということになります。

問題は、バブル崩壊後に民間の需要が大きく落ち込み、さらに1997年から増税と緊縮財政が本格化し、政府まで支出を大きく減らしたことで日本が経済成長できなくなってしまったことです。もう一度言いますが、日本には労働生産性を高められるポテンシャルがありながら、国がそれを存分に引き出す政策をしてこなかったのが、日本が経済成長できなく、労働生産性が低い主要な要因なのです。

生産年齢人口減少が問題と広く認識されていますが、むしろ生産年齢人口が減少する中労働生産性を高めることで、一人当たりの所得が増え豊かになることが可能なのです。

ここまで認識できれば、いま日本に何が必要なのかがわかります。需要です。需要が低迷する中、労働生産性を高める方法はリストラしかありません。なのに政府がしようとしているのは、家計の需要をさらに減らす消費増税なのです。

それもこれも、「日本は財政危機にある」という間違った認識が発端になっています。日本には経済成長や労働生産性を高められるポテンシャルがありながら、自らそれを潰しているという馬鹿馬鹿しい状況にあるのです。

まとめ

  • 日本の労働生産性は1970年から先進7カ国中最下位
  • バブル崩壊後の労働生産性の上昇率は鈍化
  • 経済成長すれば労働生産性を高められるポテンシャルがある
  • 問題は民間需要が回復していないのに、増税や緊縮財政を進める日本政府
  • 経済成長さえできれば、生産年齢人口の減少も労働生産性の向上で対応可能