ホンダ 『アシモ』の開発とりやめ。進むロボットの実用化と激化する開発競争

ホンダが、2足歩行の人型ロボット「アシモ」の開発をとりやめていたことがわかりました。

ホンダ アシモの開発をとりやめ 研究開発チームも解散

大手自動車メーカーのホンダは、開発を続けていた2足歩行の人型ロボット「アシモ」の開発をとりやめていたことがわかりました。今後は介護支援などより実用的なロボット技術の開発に力を入れる方針です。

今後はアシモの開発で培った技術を活用し、より実用的なロボット技術の開発に力を入れる方針のようです。

介護現場で求められる支援ロボット

ホンダがロボット参入で狙う市場は、医療や介護現場で必要とされる支援ロボットのようです。生産年齢人口の減少と景気回復により日本全体で人手不足が進行する中、高齢化により特に医療・介護現場での人手不足は深刻化しています。また、医療・介護現場では重労働に割に賃金が低いなどの問題があり、離職率の高さも問題となっています。

介護支援ロボットで一歩先を行くのが、筑波大学発のCYBERDYNE社が開発したロボットスーツ『HAL(Hybrid Assistive Limb)』です。HALは装着することで身体機能を強化し、介護支援などに活用できるサイボーグ型ロボットです。このシステムの優れているのは、人の脳が出す信号を読み取り、装着者が考えて行動を起こそうとしている動きをサポートするところです。

HAL『腰タイプ』 出典:CYBERDYNE

腰に装着する『腰タイプは』、要介護者をベッドから車いすへと移動させるときなど腰部への負荷を低減してくれるので、介護者が女性や高齢者でも無理なく作業ができるようになり、離職率の高さが問題となっている介護現場の労働環境改善の一助となります。

初期費用を含むレンタル料が3年間で約290万円になるなどコストの高さが課題ですが、普及が進みコモディティ化することで様々な現場で生産性が高まることが期待されています。

大和ハウスの工場でも、同ロボットスーツを30台導入するという報道もありました。

ロボットスーツ「HAL®腰タイプ作業支援用」を全工場に導入

2018年4月10日より、CYBERDYNE株式会社(本社:茨城県つくば市、CEO:山海嘉之、以下:サイバーダイン社)が開発・製造するロボットスーツ「HAL®腰タイプ作業支援用」(※1)を全国9工場に計30台導入し、技術者の作業負担を軽減します。

激化する2足歩行ロボットの開発競争

平成12年に本格的な2足歩行ロボットの先駆けとして注目されたアシモですが、その後、他社もロボット開発に力を入れ、全体のレベルあがってきました。特に、ソフトバンクグループが買収した米国のボストン・ダイナミクスの『ATLAS』は、バク宙をしたり障害物を避けながら自律歩行をしたり、2足歩行ロボットとしては群を抜いたレベルの高さを示しています。その陰でひっそりと引退を余儀なくされたアシモは、厳しい時代の流れを感じさせます。

ばく宙をするボストン・ダイナミクスの「ATLAS」 出典: BostonDynamics

ソフトバンクグループといえば、いち早くロボット『Pepper』が家庭や店舗、教育現場で導入されるなど実用化が進んでいます。実用例は店舗での窓口案内や販売促進などが主で、クーポンの配布など単純な動きはできるようですが、どちらかといえば会話や情報提供など静的な働きに限定されているようです。

しかし、さらに進化したロボットの導入も近々実現しそうです。やはりボストン・ダイナミクスが開発した『SpotMini』で、建設現場で活用すべく実証実験が実施されました。

ボストン・ダイナミクスの「SpotMini」が竹中工務店・フジタと実証実験実施 2019年夏以降の本格活用に向け

株式会社竹中工務店と、ソフトバンクロボティクス株式会社およびソフトバンク株式会社の3社は、最先端のロボット技術を保有するBoston Dynamics社の四足歩行型ロボット「SpotMini(スポットミニ)」を世界に先駆けて建設現場で活用することを目指し、2018年6月に実証実験を実施したと発表した。

やはり建設現場での人手不足は深刻で、大幅な省人化や高効率化を実現するためにロボット導入の需要は高く、建設現場における自律的な巡回による進捗管理や安全点検などの業務へのSpotMini活用の可能性が検証されました。Pepperの静的な働きから、動的な働きへ移行する重要なステップになりそうです。

今後はホンダだけでなく、自動運転車が開発されることでカーシェアリングが進み、販売台数の激減が予測される自動車メーカーで、ロボット業界への参入が進むと思われます。人の作業の多くをロボットが代替えできると考えるとその市場は巨大で、さらに開発競争が激化することで適用範囲は広がりそうです。

日本は成熟社会なのでこれ以上成長できない」との声がありますが、成長できるかどうかは、ぼくたちがもっと便利でよりよい社会を求めるかどうかにかかっています。「もういいよ」と考える人が多ければ成長できませんが、便利な社会をつくるためにテクノロジーを社会の隅々まで普及させようという機運が盛り上がれば経済成長もできますし、人口減少にも対応できるのです。

自動車の運転や重労働、単純作業に従事する必要のない世界の到来は、そう遠くないのかもしれません。

まとめ

  • ホンダの2足歩行ロボット『アシモ』の開発がとりやめに
  • 一方で、ソフトバンクグループのボストン・ダイナミクスが開発した『ATLAS』の進化が進む
  • ボストン・ダイナミクスの『SpotMini』の建設現場での実証実験が行われる
  • ロボットによる動的な仕事への本格導入が近い将来始まる
  • ロボット市場は大きく、今後大手メーカーの参入が増え開発競争が激化する可能性が高い