自動運転車をめぐる最近の動向。人が技術を理解し使いこなせるかが大きな課題に

自動運転車開発の主導権を握ることで、将来の自動車産業のシェア争いに有利になることは確実です。そのため、既存の自動車メーカーだけでなく、IT産業など別業種からも続々と自動運転車開発競争に参入しています。日々開発競争の動きは激しく、「本当かよ」と思うような報道もありますが、最近気になった関連ニュースについてまとめてみました。

自動運転車開発をリードする国、メーカーは?

ぼくの印象では、米国では報道でよく目にするテスラUberが、日本では日産が自動運転車開発では一歩リードしていると思っていました。しかし、意外にも米国の老舗自動車メーカー、フォードGMが先行しているといいます。

「自律走行車レース」でトップを走るのは、グーグルでもテスラでもなかった:調査結果

自律走行車をいち早く人々に届けようとしている企業といえば、グーグル、テスラ、Uberといったシリコンヴァレーのテック企業を思い浮かべがちだ。だが、自動車の開発・製産・流通能力を総合的に評価した結果、フォードやGMといったデトロイトの巨人が、「自律走行車レース」でリードしていることがわかった。

自動運転車開発の評価チャート 出典: NAVIGANT RESEARCH

2社に続いて、ルノー・日産、ダイムラー、フォルクスワーゲンがトップ5を争っており、日本メーカーでは2022年までに人の手をまったく必要としないレベル5の実用化を目指す日産が抜き出ているのがわかります。というより、他の日本メーカーの出遅れが目立ち、心配になります。

さすがに米国における開発競争はスピード感があり、2019年にはGMが完全な自動運転者を投入するといいます。

GMが「ハンドルのないクルマ」を2019年に投入へ──ついに「本物」の自律走行車がやってくる

ゼネラルモーターズ(GM)が、2019年にハンドルもペダルもないクルマを投入する。ようやく走り出す「本物の自律走行車」は、当初は米国でタクシーのようなサーヴィスを展開することになるという。「所有」から「利用」へとクルマのあり方が変わるなか、GMにはどこまで勝算があるのか。

当初はタクシーのようなサービスに限定されるといいますが、一般人が所有して利用できる最初の完全自動運転車になる足掛かりになるのは確実です。一方で、GMの開発者が懸念しているように、不測の事態に対処できるかどうかの課題もあるといいます。特に、想定できないような人の困った習慣に基づいた事態は予測不可能で、今後も新たな問題が出てくると思われます。

また、テスラのイーロン・マスク氏は2018年8月には完全自動運転車が登場すると発言していますが、以前は6月までと明言していたのに先延ばししていることからも、信頼性にかけるところがあります。

「完全自動運転カーは8月に登場」とテスラのイーロン・マスクが発言

テスラの実用化されている「オートパイロット」はあくまで運転アシスト機能であり、基本的にドライバーが運転することが求められています。オートパイロットモード時の死亡事故は2件起きており、機能を過信したドライバーの過失が原因という面もあるため、「テスラ=危険」というイメージが付きまとうのは少し可哀そうな気もします。

自動運転車開発において避けられない問題

2019年にはドライバーレスのタクシーサービスに参入する予定のGMも懸念するように、自動運転車という新テクノロジーに、「」がどのように関わるのかが大きな問題になります。例えば自動運転車の開発段階で実用化されているブレーキアシスト機能ですが、次のような問題が出てきています。

自動ブレーキ十分に作動せず、昨年の事故72件

車や人を検知して、事故を未然に防ぐ「衝突被害軽減ブレーキ」(自動ブレーキ)が十分に作動せずに事故に至ったとの報告が昨年1年間で72件、国土交通省に寄せられたことがわかった。同省が自動ブレーキを巡る事故情報を集計したのは初めて。速度超過で作動が間に合わなかったケースなどがあり、同省は性能を過信しないよう注意を呼びかけている。

記事にもあるように、性能を過信したドライバーのブレーキ操作が遅れたことによる事故が多いのかと思っていましたが、実態は少し意外なものでした。

ブレーキアシスト機能は、2016年に生産された乗用車の66%(約248万台)に搭載されるまで普及しています。2017年に自動ブレーキのトラブル情報は計340件あり、分析したところ、自動ブレーキが十分に作動しなかった例は88件あり、うち72件が接触や追突などの事故につながっていたといいます。また、勝手に作動したケースも249件あり、うち10件が事故につながっています。勝手に作動するとはどういう状況なのか、詳しく知りたいところです。

どこまでが機械の問題で、人の過失はなかったのかまで分析できているのかは不明ですが、ブレーキ一つをとってもこれだけ複雑なテクノロジーと人との関わり合いから生じる問題があります。運転中は、瞬時にあらゆる場面で危険を避ける判断が求められます。むしろ、一切人の判断を排除した完全自動車が一斉に普及したほうが、過渡期に生じるであろう事故を減らせるような気もします。

しかしそんなことは不可能なので、メーカーは針に糸を通すような困難さを克服しながら、地道に進めていくことになるのでしょうが、ユーザーもテクノロジーに過信して自ら事故を誘発するようなことのないよう、自動運転車の機能の限界について理解する姿勢が大切になりそうです。

まとめ

  • 世界の自動運転車開発競争は、意外にも米国のフォードとGMが先行
  • テスラは2018年8月に完全自動車の実用化を宣言しているが、先延ばししてきた過去からも信頼性に欠ける
  • テスラのオートパイロットモード中の死亡事故は2件起きているが、ドライバーの過失の要素が大きい
  • ブレーキアシスト機能の普及は進むが、同機能を原因とする事故も増えている
  • 今後の開発競争では、テクノロジーと人の関わりから生じる問題の対処が大きな課題になる