テクノロジーの進化の功罪。ネットサーチで丸裸にされるぼくたちの嗜好

昨日、2018年7月9日のラジオで、ネット検索でプライバシーが暴かれる危険性について専門家が解説していました。要約すると、Googleなどの検索エンジン運営会社は、日々ネット検索で大量に集まる個人データを活用することで、個人の嗜好をかなりの精度で特定できるまでになっている、というものです。

例えば、ネット検索でお酒の銘柄を調べることで、その人がお酒好きであることは分かりますが、直接お酒についての検索をしなくても、お酒に関連するワードを検索する頻度が高いことでもお酒好きであることを推測できるというものです。プライバシーを暴かれるのを嫌い、ネットを一切使わない生活をしている人たちもいるといいます。

論調としては、「一企業にプライバシーを握られることは不本意であるが、テクノロジーの進化は止められず、そのような企業に対して個人情報を悪用しないように監視することが重要」、といったものでした。一日のかなりの時間をネットを利用するぼくも、概ね同じような意見を持ちます。犯罪を犯すつもりでもない限り、ネット上で暴かれるプライバシーはそれほど重要なものでもないとの印象もありますが、一方でぼくの知らないぼくが暴かれるような気持ち悪さがあるのも正直なところです。

人を集められれば企業の営業をサポートし報酬を得ることも可能に

そんなプライバシー侵害とも思えるネット世界ですが、そのおかげで個人でもビジネスチャンスが生まれています。それが『Google AdSense』などの、コンテンツ連動型広告配信サービスです。

コンテンツ連動型広告配信サービスとは、個人や組織のホームページやブログにGoogleが提供す広告を配置し、サイトの内容や閲覧者の情報を元に関連する広告を表示するクリック報酬型のアフィリエイトです。クリック報酬型なので、クリック先の広告主と最終的に契約に至らなくても報酬が得られます。このブログもGoogle AdSenseを利用したいと申請しているのですが、なぜかいまだに審査に通りません。ちなみに、スマホ向け『nend』と『Amazonアソシエイト』には登録していますが、なにせビジターが少ないため収益に至っていません。今後、コンテンツの強化に尽力したいと考えている次第です。

サイトを訪問すると、「なぜか興味を引く広告が表示されているなあ」と実感されたことがあると思います。これも過去の検索から導かれる広告のため、本人の嗜好に応じたアイテムやサービスの広告が表示されるのです。

これまでの広告といえば、テレビやラジオ、新聞、雑誌など幅広いユーザーにアピールするため、スポンサーが高い広告費を支払って広告枠を確保していました。それがネットの広告サービスを利用することで、かなりの精度の高さで特定のターゲット層に広告を届けられるようになるためコストを抑えられます。また個人でも、人さえ集められれば広告から収益化を図ることができ、さらに充実したコンテンツを発信できるという効果があります。

これは、これまでのビジネスモデルが大きく変わる動きで、企業の営業や広告代理店の仕事の一部が個人へ流れることを意味します。個人の能力が高い人たちにとって、会社に属するよりスキルに応じた報酬が得られるようになる、真の実力主義の時代が訪れようとしているのです。

過激な行動に走るユーチューバーと人権抑圧のツールにもなるIT技術

人を集めるために有益なコンテンツを発信しよう」、という考えに至れば問題ないのですが、「過激・低俗なコンテンツ」で人の興味を引こう」、と考えてしまう人がどうしても出てきます。最近でも、迷惑行為で逮捕されたユーチューバーが話題になりました。

「元気な姿」中継しながら119番 容疑で常総の男逮捕 /茨城

常総署は2日、体調が悪いとうそをついて119番通報し、救急隊を出動させたとして、常総市向石下のインターネット配信業、森義之容疑者(36)を、偽計業務妨害容疑で逮捕した。森容疑者は当時、動画サイト上で自らの生活を中継しており、「元気」な様子も映されていた。容疑を認めているという。

このユーチューバーが日々何を配信していたのか具体的には分かりませんが、どうやら過激な言動を売りにしていたようです。チャンネル登録者は2万人ほどで、月に100万円も稼ぐこともあったといいます。このような迷惑行為をする人を見たいという願望があるのも人の性なのでしょうが、実社会に害が及ぶようであれば、やはりネット社会のデメリットと言わざるを得ません。

また、中国では2009年の暴動を教訓に、ウイグル族ITAIを駆使し抑圧を一層強めているといいう新聞報道がありました。ウイグル自治区ではウイグル語の使用が禁止され、中国共産党を賛美する歌の学習を強制されます。態度が悪ければ拷問され、思想改造を強要される施設の収容人数は数十万人規模に達するとみられています。もう、無茶苦茶です。

ウイグル族の住民は指紋や血液、DNAサンプルを「健康診断」として採取され、最近は個人の音声や虹彩データも取られ始めたようです。プライバシー侵害どころの話ではありません。中国では暴動の恐れがある全土で監視社会を強化していますが、ウイグル自治区が先進地となっているようです。ユーチューバーの悪ふざけが話題になる平和な日本の裏で、このような人権無視をした動きが着々と進められているのです。

そんな中国に対し、米国、日本、欧州から非難の声が高まっていないのが現実です。日本で「メディア規制法反対!」と叫んでいた言論の自由を大切にする人たちが、中国の本物の言論封殺に対してだんまりなのはなぜでしょう?

このようにテクノロジーの進化には功罪がありますが、確かに言論の自由が確保されていないとそのメリットが十分に国民全体に行き渡らないでしょう。日本でも安倍政権下で言論封殺が進んでいると主張する人たちもいますが、今回の震災でもデマがすぐに広まってしまう日本では、むしろ言論の自由が確保され過ぎているようにも感じます。

ありきたりな結論になりますが、行き過ぎた自由と不自由のバランスをとりながら、より多くの人がメリットを受けられるようなテクノロジーの進化が重要になります。それもこれも、民主主義が正常に機能している日本だから可能なことなのです。

まとめ

  • 検索エンジン大手の個人情報収集が懸念される
  • 今のところ、集めた個人情報はユーザーの利便性を高めるために利用されている
  • 検索エンジンのおかげで、個人が企業の営業の一部を担うことが可能に
  • 視聴者を集めるため違法行為に及ぶユーチューバーが社会問題に
  • 中国ではITやAI技術を監視や、ウイグル族の抑圧に利用している