いつもどこかであなたは見られている。公の場でのプライバシーは無くなるのかもしれない。

ぼくは125ccのバイクで通勤しています。バイクの良さは、低燃費(エコ)と(天候にも寄りますが)運転中の爽快さ、小回りの良さです。しかしそんな快適なドライブも、悪質なドライバーにより常に危険にさらされています。

例えば最近では、以下のような交通事故が起きました。記事にもありますが、事故ではなく殺人ですけど。

殺人適用 バイク追突死亡、40歳容疑者再逮捕 大阪府警

堺市で今月2日、乗用車に追突されたバイクの男性が死亡する事故があり、自動車運転処罰法違反(過失致傷)の疑いで現行犯逮捕された同市南区の警備員、中村精寛容疑者(40)があおり運転で故意に事故を起こした疑いがあるとして、大阪府警は4日、殺人と道交法違反(ひき逃げ)の容疑で再逮捕したと発表した。

このように、道路上でたまたま遭遇した車(ドライバー)により殺されるという、理不尽な社会にぼくたちは生きています。しかもこの殺人者、自分の車に搭載したドライブレコーダーに約1分間にわたりクラクションを鳴らしたり、パッシングをしたりする様子が映っていたといいます。自分の違法行為を録画しているというシュールな構図がありますが、たまたま事故になったため発覚する結果になりました。殺された被害者にとって不運としかいいようがありませんが、事故につながらなかったため不問に付される同様のケースは多いはずです。

あなたの運転は誰かに見られている

運転中はナンバープレートを晒しながら走っているため、そもそもプライバシーはありません。しかも最近はドラレコの普及率が高まっており、事故が発生すると映像が証拠として採用され、過失の割合を決める決定的な証拠になります。ドラレコ以外にも、路上には警察が設置したカメラがあります。かなり前の話ですが、大きな事故が発生した直後に車で現場を通過した日に、警察から電話で目撃情報の証言をさせられたこともあります。

英国では一歩進んで、ドラレコに映った悪質ドライバーを警察に通報できるシステムの運用が始まるようです。

悪質ドライバーを簡単に通報–車載カメラ映像をアップできるポータル、英で始動

英国で、車載カメラ映像をアップロードできる全国規模のポータルサイトが立ち上げられた。これによりイングランドとウェールズで車を運転するドライバーは、他のドライバーの行動を警察に直接通報できるようになった。

例えば以下のような先日遭遇した危険運転(信号無視・スピード違反)について、映像を証拠に警察に通報できるわけです。

遭遇した悪質ドライバー(白バン)

監視社会の強化には賛否両論あり、このようなシステムを悪用するようなケースも出てくるでしょうが、子どもを含む年間3000人台が不幸な事故で亡くなっているという状況を改善する効果があるのであれば、日本でも採用すべきだと個人的には思います。路上のような公の場で他人に危険を負わすような行為は、許すべきではないはずです。

このように、テクノロジーの進化により公の場でのプライバシーが晒される時代になりつつあるのは仕方がないにしても、ある特定の民族や主張をする人たちを抑圧する道具に使ったり、私的な場で不当に個人を監視したりするような社会であってはいけません。

危険人物を監視する中国政府とテクノロジーをDVに利用する近親者

中国では、公・私的な場所にかかわらず、常に監視されている人々がいます。中国政府に危険人物とされたウイグル族の中には、自由に外出もできない人々がいるといいます。

コラム:中国ウイグル族を苦しめる現代版「悪夢の監視社会」

中国北西部の新疆自治区に暮らすムスリム主体の少数民族ウイグル族にとって、逃げ隠れできる場所はどこにもない。監視対象の個人が自宅や職場から300メートル以上離れると、顔認識ソフトが自動的に当局に通報すると言われている。

中国のような一党独裁国家だからというわけでもなく、家族間や恋人に対するストーキングやDVにテクノロジーが利用される場合もあるといいます。

その発想はなかった、悪い意味で。家庭内暴力にスマートホームが使われるケースが増加中

便利の裏側にある闇。スマートホームで生活がますます便利になる一方で、便利さを逆手にとった問題も増えていきています。New York Timesによると、ドメスティック・バイオレンス(DV、家庭内暴力)にスマートホームを使が使われるケースが増えてきているとのこと。心理的なDVや監視などに悪用されているんだとか。

犯罪を抑制するために使われるテクノロジーもあれば、その逆も成立するということになります。民主主義が正しく機能していれば、権力が個人を抑圧する道具にテクノロジーを使うことは考えにくいのですが、独裁国家や立場の強さを利用してがテクノロジーを悪用するケースは想定すべきでしょう。

幸い日本では、特殊なケースを除き私的な場でのプライバシーは守られながら、街角のカメラが犯罪の抑止、または事件の解決に使われており、より良い社会のためにテクノロジーを進化させようという機運が高まっています。本来なら、「見られていなくても人は悪いことをしない」との性善説を信じたいところですが、人口減少が進む中効率的により良い社会を築くためには、公の場でのプライバシーがなくなるのは仕方がないことなのかもしれません。

まとめ

  • 悪質ドライバーによる事故が社会問題化している
  • ドラレコの普及率が高まり、事故の詳細が分かるケースが増えている
  • ドラレコや街角の監視カメラの映像が犯罪の重要な証拠になりつつある
  • 独裁国家や立場の強い人がテクノロジーを悪用し、個人の抑圧に使うケースも増えている
  • より良い社会を効率的に築くため、公の場でのプライバシーがなくなりつつある