電気自動車は次世代カーの主役になるのか?独自の路線を突き進むマツダ

電気自動車といえば、CO2を排出しないエコカーというイメージがあります。日本では日産のリーフが有名で、他のメーカーからも今後新たなモデルが続々投入される予定ですが、欧米と比較すると開発ペースは遅いように感じます。しかし意外にも、日本や欧米の生産台数を大きく上回るのが中国だといいます。

勢いが止まらない。中国の電気自動車生産、他国の合計を上回って1位に

Atlasの調査によれば、2017年に中国では59万5000台の電気自動車が生産されました。これはアメリカの20万台、ドイツの14万6000台、日本の9万8000台などを圧倒する数値。さらに製造台数だけでなく、車両の購入台数でも中国はぶっちぎりの1位となっています。

そんな次世代カーの主役とみなされている電気自動車ですが、長い充電時間の割に短い航続距離や、充電ステーションの数が十分でないなど、乗り越えなければならない課題が山積しています。また、ゼロエミッションといいますが、電気を作るプロセスで多くのCO2を排出しているわけですから、決してエコとは言い切れません。今後ユーザーが増えることでそれらの問題は徐々に解決していくと思われますが、近い将来ガソリン車と総入れ替えするという段階には至っていません。

効率的なエンジン開発にこだわるマツダ

ぼくの地元広島県の自動車メーカーマツダは、世界的な電気自動車ブームとは別の方向を走っています。内燃機関の燃費効率の徹底的な改善にこだわり、従来のパワーを犠牲にすることなくより少ない燃料で走行できるエンジン開発を進めてきたのです。2019年には新たに開発したガソリンエンジン『スカイアクティブX』を投入する予定です。同エンジンはガソリンを自己着火させる圧縮着火技術を採用した世界初の量産型エンジンで、従来より最大3割の燃費改善を実現したといいます。

次世代エンジン『スカイアクティブX』 出典:マツダ

効率的なエンジン開発にこだわるのは、前述した通り現段階では電気自動車が決してエコな車ではないからです。マツダは、「火力発電所がある限り電気自動車は不要」とまで言い切ります。それと、大手自動車メーカーと比較し開発費用が乏しいため、電気自動車という王道で勝負していては敵わないという事情もあります。このような話は日本のモノづくりの姿勢をよく表しており、合理的な思考が優先される欧米や中国とは違うように思います。それが「ガラパゴス化」と揶揄される要因になりますが、決して無駄な努力で終わることはないのです。

マツダといえば、世界で初めてロータリエンジンを採用した自動車の量産化に成功したことで有名です。ロータリーエンジンの生産は2012年に生産が終了しましたが、トヨタの次世代電気自動車の発電用エンジン(レンジエクステンダー)として復活することになりました。同装置を搭載することで、電気自動車の航続距離を伸ばすことができるのです。

またトヨタはマツダとの協力体制を強化し、マツダの生産方式を学ぼうとしています。電気自動車は普及段階にあり生産ロットが少なく、トヨタの苦手な効率的な少量生産を学ぶ必要があるためです。トヨタといえばカイゼンで有名ですが、そのトヨタでさえマツダの技術力と効率的な生産体制に一目置いているのです。

電気自動車の本格導入前に活躍するハイブリッド(HV)システム

電気自動車が普及しているとはいえそのスピードは遅く、2035年でも割合は1割程度だと予測されます。マツダの効率的なガソリンエンジン開発もそれを見越しての戦略であり、各メーカーともより燃費の良い自動車開発にしのぎを削っています。その動きは二輪車にも広がり、ぼくが愛用する125ccスクーター『PCX』のHVタイプが発売されます。

HONDA『PCXハイブリッド』 出典:ホンダ

HVは電気モーターがエンジンを補助するシステムで、燃料を多く使う始動時や低速時にモーターで走行することで燃費が飛躍的に高まります。PCXはガソリンモデルでも1リットル当たり50kmと燃費が良いのですが、HVの採用でさらに良くなるだけでなくスロットル操作の反応も良くなり、走行性も高まるといいます。

今ではどのメーカーでも新車にHVモデルを投入するなど、広く普及されてきたハイブリッドシステムですが、今後は電気による走行時間を増やすプラグインハイブリッド(PHV)の普及も進むと思われます。電気による航続距離が50kmを超えるPHVモデルがあるなど性能は高まっており、かつ電気がなくなってもガソリンで走行できるメリットは大きく、現段階では電気自動車より利便性が高いといえそうです。

また今後の電気自動車の普及段階で、新たな技術革新により次世代カーの勢力図が変わってくる可能性も排除できません。そんな中、国をあげて電気自動車の開発・生産に突き進む中国の動きはリスクが高いといえそうです。いずれにせよ、電気自動車が本当のエコカーと呼べるようになる前に、再生可能エネルギーの割合が飛躍的に高まる必要がありそうです。

まとめ

  • 次世代カーの有力候補は電気自動車で、開発競争が激化する中、中国が生産台数でトップに
  • 電気自動車はエコとのイメージがあるが、電気を作る段階でCO2を排出している
  • マツダは効率的なエンジンの開発でエコを追求する、独自路線を進む
  • 電気自動車の普及が広がる前に、エコなガソリンエンジンとHV・PHVの組み合わせが有力なエコカー候補に
  • 将来再生可能エネルギーの割合が比較的に高まれば、電気自動車の普及は飛躍的に進む可能性も