インフレになるまで必要な積極的な財政出動。ボランティアには報酬を学校にはエアコンを

今年の猛暑は例年になく厳しく、甚大な被害に見舞われた西日本豪雨の復旧作業に従事する人たちの体力を容赦なく奪っています。そんな猛暑の中黙々と作業をされている人たちには、本当に頭が下がります。と同時に、復旧作業をボランティアに頼らざるを得ない日本の現状に腹立たしく思います。それもこれも、ありもしない「財政危機」という財務省とメディア主導で流布される妄言が原因であり、本当に日本は情報先進国なのかとの疑念を持ってしまいます。

出典:中国新聞

ボランティアには報酬を、全学校にはエアコンを

日本は財政危機にあるとの認識が広く共有されていますが、家計と企業の貯蓄が巨額に積みあがっていることも何となく理解されていると思います。そのことが意味するのは、日本政府の借金が巨額な一方、民間の貯蓄も巨額にあることです。政府と民間のどちらも借金まみれであれば問題ですが、日本全体で見ればバランスしており、しかも日本は世界最大の対外純債権国なので「借金大国」ではなく「お金持ち国家」なのです。

いまお金持ち国家日本に必要なのは、「どんどんお金を使うこと」です。それは、1997年の消費増税を始めとする緊縮財政による節約が本格化してから、日本の成長が鈍化し、デフレ化が進んだことからも明らかです。そのときから、日本に必要なのは節約ではなく、散財だったのです。

それもこれも「日本は財政危機」という間違った認識のため、「お金を使う」という選択肢が排除されてきたのが原因のわけですが、資本主義はお金を使い成長することを前提としています。この20年間で進められてきたのは資本主義の否定ともいえそうです。

いま求められているのはお金を使うことですから、ボランティアには報酬を(その時点でボランティアではなくなってしまいますが)、いま問題になっている学校のエアコン問題では、全学校に無条件で設置してあげればいいのです。

インフレにならない限り、政府がお金を使う制約はない

「じゃあ、政府は無制限にお金やモノ、サービスをどんどん国民に提供すればいいのか?」という話になりますが、デフレ下ではそれが可能なのです。「でも政府の借金が膨らむじゃないか」との根強い意見はありますが、逆に質問しますが、通貨発行権のある政府の借金が拡大して何が問題なのでしょうか?「とにかく借金は駄目だから」という理由で、政府の借金返済に賛成している国民がほとんどではないでしょうか。

実は、政府がお金やモノ、サービスをどんどん国民に提供することで問題になるのは、モノやサービスの価格が過度に上昇するインフレだけなのです。例えば、ボランティアに報酬を渡すことである地域の食材が足りなくなり、価格が上がることは住民に不利益になるので問題になります。また、学校にエアコンを設置することでエアコンが不足し価格が上がり、一般消費者に悪影響が出てくれば問題になります。

しかし適度なインフレは、いま政府がインフレ目標2%を目指しているように、経済成長にとって不可欠な要素になります。徐々にインフレになることで消費や設備投資が促され、企業業績が上向き賃金も上昇します。だからデフレ下では、政府は借金を増やしても問題ないのです。適度なインフレになり経済回復しても政府が借金を増やし続けたらインフレが加速しますので、そのときは政府は増税などで緊縮財政を実施し過熱を抑えることが可能となり、財政健全化の道筋がみえてくるはずです。

「日本は財政危機にある」という誤解さえ解ければ、日本がいまやるべきことが見えてきます。単に現実に従うだけで、災害復興は劇的に進み、子どもや親たちが安心できる学校環境を提供できるのである意味幸せな境遇にある日本ですが、ゆがんだ情報のためにそれもままならないというふざけた状況にぼくたちは追いやられているのです。

まとめ

  • 日本では災害からの復旧をボランティアに頼っている
  • 日本では財政不足を理由に、学校のエアコン設置が進んでいない
  • 実は日本には財政問題はなく、消費と投資が不足するデフレ問題が深刻
  • デフレ下では政府はお金をどんどん使っても問題にならない
  • むしろ適度なインフレになるまで、お金を配ってでも復旧作業を進め、エアコンを学校に設置するなど積極的な財政出動をすべき