デフレから完全に脱却しないと賃金上昇を受け入れるのが困難な中小企業

最低賃金を引き上げる動きが出ています。

最低賃金 首都圏は1千円目前? 中小企業は悲鳴

今年度は最低賃金を全国加重平均で26円引き上げるべきだとの目安を、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会がまとめた。

目安通り26円の引き上げになると、全国平均で874円となります。もちろん最低賃金で働く労働者には恩恵がありますが、価格転嫁が難しい中小企業は事業を続けられなくなるとの指摘があります。ちなみに日本の最低賃金は国際的にみて決して高くありませんが、米国と同水準ということが意外でした。

出典: OECD 「Real minimum wages」

人手不足でも最低賃金しか払えない企業が存続する価値はあるのか?

働く側としては、この程度の賃金上昇を受け入れることのできない企業の存在価値に疑いを持たざるを得ませんが、このような企業が少なからずあるため老若男女問わず就業者が増え、失業率2.2%というほぼ完全雇用とされる数値を叩き出している現実があるのでしょう。

しかし、このような中小企業にも人手不足の厳しさが増しています。そのため、日本人労働者を確保できない上、賃金を上げたくない企業側から外国人労働者を求める声が高まっているのだと思います。まさに、ぼくのパート先もその構図が当てはまり、いまでは従業員の10分の1がミャンマー人の技能実習生です。最低賃金法は技能実習生にも適用されるので、彼らを使う中小企業は簡単に賃上げを受け入れらないのだと思います。

そんな中小企業を取り巻く厳しい事情があるのは分かりますが、やはり働く側としては、最低賃金でしか雇うことのできない企業に対し、単に経営者がケチか生産性が低いだけじゃないかとの疑念を持ってしまいます。そして、そんな企業は淘汰されるべき、との声にもある程度賛同してしまいます。

元凶はデフレ、BI(ベーシックインカム)が有力なソリューション

とはいえ、中小企業にも同情してしまいます。大企業を中心に企業業績は過去最高水準になっていますが、中小企業まで十分に恩恵が回ってきていないため賃金を上げられないという事情もあるからです。その大きな要因がデフレです。デフレからは脱却しつつありますが、インフレ率1%程度では完全に脱したとは言えないのが実情です。

デフレはモノやサービスの価格が下がることで、供給に対し需要が少ないため起こる現象です。じゃあインフレにするには量的金融緩和が必要という話ではなく、需要を増やさなければならないのです。賃金が上がらない一方で税金社会保険料が上昇する中、家計は消費を増やそうという気にはなりません。そのため政府は企業に賃上げを促していますが、余裕のない中小企業が廃業に追い込まれてしまい、失業者が増えるというジレンマを抱えています。

そんな八方ふさがりの状況を打開する手段として、BIに注目が集まっています。BIとは、すべての国民に生活するために必要な最低限のお金を配る制度のことです。BIが優れている点は、失業による所得減少などの将来不安が緩和されることで、国民全体に消費をしようという機運が高まることです。そうなれば需要は高まり、インフレに振れ景気の好循環が生まれます。

またBIは、人手不足・需要不足のいまだけでなく、AIやロボットの普及が進み大失業時代になるといわれる将来にも対応できます。AIやロボットが人の代わりに働く時代とは、失業者が増え需要が落ち込む一方で、生産能力が極限まで高まることによる超デフレ時代のことです。そのため、失業者でも満足な消費活動ができるBIが不可欠になります。BIが無ければ需要も低迷し、せっかくの生産設備が無用の長物と化してしまうでしょう。

まとめ

「最低賃金を上げられない、または最低賃金でしか雇えない企業は淘汰されてしまえ」、との声に同調しがちですが、その結果、失業者が増え需要が落ち込むので日本経済にとっては良くありません。そんな中小企業が多いのは、デフレから完全に脱却できていないのが原因の可能性が高いのです。デフレは供給に対して需要が不足している状態なので、BIの導入により需要を高めることが有効なソリューションとなります。またBIは、AIやロボットの普及が進み労働力が必要とされない大失業時代にも、デフレ対策として有効になると思われます。