ネット通販が鈍い物価上昇の原因?所得が増え消費欲が高まれば物価は上がります

日銀は短期のインフレ率2%目標が達成できないと判断したのですが、その理由として構造要因について言及し始めました。以下は、2018年6月21日に掲載された記事です。

焦点:日銀の物価分析、構造要因にメス 物価2%に一定の時間も

日銀は、7月末に公表する新たな「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」に向け、好景気にもかかわらず、鈍い物価上昇の要因について分析を進めているが、企業の生産性向上に向けた取り組みや、流通形態の変化など構造的な要因がポイントになりそうだ。日銀内での議論がそのような展開になれば、物価2%目標の実現に一定の時間が必要になる可能性が出てくる。

日銀は量的金融緩和を実施するにあたり、2年でマネタリーベースを2倍に増やすことで、インフレ率2%を達成する「トリプル2」を宣言していました。ところが5年以上かけて3倍以上マネタリーベースを増やしたにもかかわらず、インフレ率は1%程度で推移しています。

マネタリーベースを増やしてもインフレにはならないことが実証され、「デフレは貨幣現象」との仮説が間違いだったことが証明されたました。デフレが貨幣現象だとしたら、構造要因があったとしても貨幣量の調整だけでインフレに持っていくことは可能なはずです。

お金、現金

インターネット通販が物価を押し下げる?

日銀は構造要因として、インターネットを介した通信販売の拡大や、ドラッグストアとスーパーの競合などを挙げています。このうちネット通販について、「インターネット通販の拡大に伴って、消費者物価(除く生鮮食品、エネルギー)の伸び率が0.1─0.2%ポイント程度押し下げられる」としています。

インターネット通販の物価押し下げ効果を測定することが可能なのかは分かりませんが、感覚的には理解できます。欲しいものがあったとしたら、インターネットで検索すれば最安値のショップが簡単に検索できますから。

一方で、インターネットで簡単に買い物ができるようになったため、消費が増える効果があるはずです。例えば昨日ぼくはトラックで配送中、庭の大きなビニールプールで遊ぶ親子を見ました。その5分後、ぼくはamazonで衝動買いをしてしまいました。

日銀の主張する構造要因ですが、このような消費行動の拡大による物価上昇の要因にだってなり得るのです。

結局は価格は需要と供給で決まる

物価を決めるのは貨幣量ではなく、構造要因も確かに左右するのでしょうが、結局は需要と供給の関係で決まります。流通形態がどうであれ、モノが不足すれば価格は上がります。物価が上がらないのは消費が低迷する中、世界中で供給力が高まっていることがもっとも大きな要因です。

そこまで理解できれば、いま日本に必要なのは消費を増やすことだと分かります。しかし日本では、企業の最高業績が続いているのにかかわらず賃金上昇が鈍いため、家計の消費がまったく増えていません。むしろ、税金や社会保険料の上昇のため、消費を抑える傾向が続いています。

「日本が成熟してモノが行き渡っているから消費が増えない」と主張する識者もいますが、単に所得が増えないから将来に備えて貯蓄を増やしているためで、買いたいモノがあっても我慢しているのが現状ではないでしょうか?ぼくも余裕さえあれば、3Dプリンターや家電、車のアクセサリー、DVD、CDなど買いたいものが山ほどあります。しかしいつの間にか、節約のため我慢する生活に慣れてしまったのです。

まとめ

日銀が量的金融緩和の限界を認めたのは前進ですが、構造要因にメスを入れるといっている段階では、インフレ率2%の実現はまだまだのように思います。民間企業に安売りを止めるように要望を出すとでもいうのでしょうか?平均概念の需給ギャップを基準にしているから、需要が不足しているという結論に至りません。「デフレは貨幣現象」、「失業率3.5%で完全雇用」、「量的金融緩和による副作用の拡大」など、日銀は日本を衰退させる間違った判断や施策を取り続けてきました。今度は「物価が上がらないのは構造要因」という的外れは論理展開をしようとしているのです。