賃金上昇が加速。それでも長期データや国際比較で明らかになる経済政策の失敗

2018年8月8日

失業率が2%台まで下がり、企業業績が過去最高水準にあるにも関わらず鈍かった賃金上昇ですが、ここにきて加速する動きをみせています。

6月の給与総額、21年ぶり高水準 消費回復の兆しも

厚生労働省が7日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、基本給や残業代などを合計した1人当たりの現金給与総額は前年同月比3・6%増の44万8919円で、11カ月連続のプラスとなり、平成9年1月以来、21年5カ月ぶりの高い伸び率を示した。

20年前まで賃金が伸びるのは当たり前だった

2018年になってからの名目賃金の伸び率は高く、日本経済に明るい兆しがみえ始めたのは確かなので素直に喜びたいのですが、それでもやっとリーマンショック前の水準まで回復しようとしている程度です。以下は、この10年間の名目賃金の推移です。

名目賃金の推移 出典:NIPPONの数字

しかも、「21年5カ月ぶりの高い伸び率」といいますが、21年5カ月前の1997年1月から、名目賃金の低下が始まったのです。それまではバブル崩壊後の積極的な財政出動により経済が成長していたので、高い伸び率で賃金が上昇するのは当たり前だったのです。

名目賃金の推移 出典:NIPPONの数字

1997年は消費税が3から5%にあげられ、緊縮財政が本格化し始めた年です。それから継続してとり続けられてきた緊縮財政などが要因で、日本経済が成長できない「失われた20年」につながっているのです。そして、やっといま回復の傾向が見え始めたところで、さらに消費税を8から10%にあげようとしているのですから、正直、正気の沙汰とは思えません。

名目賃金の推移を他国と比較すると、日本の失策が明らかになる

20年間経済成長していないのは日本だけで、名目賃金の推移を他国と比較すると絶望的な気持ちになります。

名目賃金の推移国際比較 出典:首相官邸HP

2012年のデータと古いですが、日本の名目賃金は2012年から4%程度しか回復していないので、1995年と比較し景気回復しているとされる2018年でも約10%も低いのです。それに対し、米国は約1.8倍、欧州でも約1.5倍も賃金が上がっています。いかに日本がこの20年間、間違った経済政策を取り続けたのかがわかります。

日本が約20年間経済成長できず賃金上昇が低迷していたのは、バブル崩壊の影響で民間の消費や投資が低迷する中、政府まで緊縮財政で節約してきたことや、雇用の規制緩和などで正社員より低賃金の非正規労働者の割合が全体の約4割にまで高まったことなどが考えられます。

昨今の賃金上昇はアベノミクスの成果との声もありますが、2019年10月に控える2度目の消費増税、プライマリーバランス黒字化達成のための緊縮財政、外国人労働者受け入れ、残業規制などの働き方改革など、経済成長や賃金上昇を抑える政策を進めているのも安倍政権です。手放しで褒める気にならないし、今後も堅調に経済成長と賃金上昇が続くとは思えないのはぼくだけではないはずです。

まとめ

日本では約20年間経済成長できず、賃金も伸びず、インフレにもならない時代が続きました。そんなゼロ成長、デフレが当たり前になってしまった日本ですが、やっと賃金上昇が本格化する動きがみられます。しかし他国はバブル崩壊などを経験しながらも、当たり前のように経済成長を続け、約20年間で1.5倍以上賃金が上昇しているのです。経済成長、賃金上昇するのが当たり前で、この日本の失われた20年が異常だった、と気づかないことには今後の本格的な経済成長は難しいのではないでしょうか。

高橋洋一氏が正解だったと判断するのは時期尚早のような気がします。