家計に例えると既に破綻状態。なぜ日本の財政は破綻しないのかを考えましょう

講談社のWebメディア『現代ビジネス』で、以下の記事が掲載されていました。既存の出版社からも財務省が喧伝するいわゆる「国の借金問題」の間違いを指摘する情報が発信されるようになるとは、時代は変わったなあと感じます。

信じちゃいけない「国の借金を家計に例える」財務省のyoutube

「ユーチューバー」がもてはやされる昨今だが、財務省もYouTubeに公式チャンネルを持っていることをご存じだろうか。多くの動画は再生数3ケタ台と少ないが、このチャンネルに「日本の財政を家計に例えると、借金はいくら?」というタイトルの動画が上がっている。内容を見ると、月収30万円の家計でいえば、日本は毎月17万円の借金をし、5379万円のローンを抱えた状態だと表現されている。

動画はこちら。

動画は2018年7月4日にアップされたもので、「日本の財政を家計に例える」ことの間違いが指摘される中、よくも抜け抜けと同じレトリックを繰り返せるなあと逆に感心してしまいます。

日本の財政を家計に例える間違い

財務省は言います。日本の財政を家計に例えると、月収30万円の家計が毎月17万円の借金をし、5379万円のローンを抱えた状態だと。「いや、それだと既に破綻していますから」と突っ込んであげましょう。誰がそんな家計にお金を貸してくれるのでしょうか?もしどうしても家計に例えたければ、借金まみれの家計に超低金利でお金を貸してくれる金融機関を登場させる必要がありますが、そんな金融機関はありません。いくら借金残高が増えてもお金を貸してくれるのは相手が国だからであり、国と家計を同一視することの馬鹿馬鹿しさは簡単に理解できるはずなんですが。

財務省は動画で、「いつか破綻」すると国民を脅しますが、5379万円の借金がある月収30万円の家計がこれまで破綻しなかったのはなぜかを考える必要があります。武村正義元大蔵大臣が「財政危機宣言」をしたのは、1995年(平成7年)の村山内閣のときです。当時の公債残高は220兆円程度で、今では4倍近くにまで膨らんでいます。つまり家計に例えると、約1300万円ローンを抱える月収30万円の家計が、20年以上「いつか破綻する」と言われ続けながら5379万円まで借金を膨らませ続けてきたことになります。しかもその間金利は下がり続け、利払い費の負担が軽減していたのです。これを財務省はどう説明するのでしょう?

さすがに「いつか破綻する」と20年以上言われ続けてきた国民も財務省のレトリックに疑念を抱き始め、「破綻しないんじゃね」となってきたのが最近の動向です。

そもそも家計は資産超過

現代ビジネスの記事にもあるように、経済主体は「家計」、「企業」、「政府」に分かれ、2018年3月末でみると、家計部門は資産1829兆円、負債318兆円、企業部門(民間非金融法人企業)は資産1178兆円、負債1732兆円、一般政府部門は資産574兆円、負債1287兆円となっています。

財務省の言う日本の財政とは政府のことで、しかも負債の1287兆円だけに焦点を当てているに過ぎません。資産の574兆円についてはまったく無視しているのです。それぞれの経済主体の資産状況をみれば明らかですが、政府が貧乏で家計はお金持ちです。貧乏な政府の借金を、わざわざお金持ちの家計に例えるから話がみえなくなります。

3つの経済主体を合わせると、資産は3581兆円、負債は3337兆円となり、244兆円の資産超過になり、「国の借金」などが存在しなことがわかります。日本全体で資産超過しているということは、外国に資産を有していることを意味します。これまで財政破綻の危機にあった国は、外国に借金があり返済が困難になったから破綻のリスクが高まっていたのです。

以下は内閣府のデータから作成した、家計資産の推移です。

家計資産は年々増加し、中でも現金と預金が1000兆円に到達しようとしています。政府債務残高を減らすのは簡単です。増税をし、この巨額な家計資産を減らせばいいのです。しかしその結果、低迷する消費支出が益々冷え込み、経済は縮小していくでしょう。いまの経済状態の中政府債務残高を減らすことが、逆に将来世代が豊かになる機会を奪うことになるのです。

まとめ

財務省の動画に対する批判コメントや、財務省のレトリックの誤りを指摘する記事が増えている現状は、いわゆる「国の借金問題」の本当の姿が徐々に国民に広がっていることを示しているのだと感じます。しかし、これまで20年以上繰り返し刷り込まれてきた嘘を完全にひっくり返すのはかなり難しいのも事実です。特に、情報収集をテレビと新聞の既存メディアのみに依存している人たちの考えを変えるのはほぼ不可能な状況です。それでも地道に間違った情報を指摘していくとで、「日本国債が破綻する」なんて発言が恥ずかしくてできないような言論空間を作っていくことが必要なのかなと思います。

↓いまではあり得ないツーショット。財政破綻否定論では完全に一致してるんですけどね。。。