成長確実なIoT市場。労働者や高齢者の体調の変化を見守るウェアラブル端末

昨今よく耳にするIoTInternet of Things:モノのインターネット)という用語ですが、実際にはどの程度普及しているのでしょうか?IoTとは、モノのインターネットの名前が示す通り、モノにインターネット接続機能を搭載すること意味します。モノに通信機能を持たせることで、モノの状態をスマートフォンなどの端末で確認できます。例えば離れた場所から家に設置した防犯カメラの映像を見ることができ、異常があればメールで通知することもできます。セキュリティ用途での普及は、かなり進んでいるようです。

IoT市場で成長が期待できるウェアラブル端末

ウェアラブル端末とは、身につけられる通信機能を有するモノのことで、代表的なのがスマートウォッチです。スマートウォッチのようにリストバンドタイプのウェアラブル端末で、脈拍センサーを活用し心拍数や血圧などのバイタルデータを測定できる機能が注目されています。そして、さらに高い精度の測定が期待されるのが、肌着として着用するタイプのウェアラブル端末です。そんなシャツ型ウェアラブル端末を開発した企業ミツフジが、先日放送された『ガイアの夜明け』で取り上げられていました。

着衣型ウェアラブルデバイス「hamon」 出典:ミツフジ

ミツフジは、銀メッキを施した特殊な繊維を使った抗菌・防臭作用のある衣類を開発・販売してきましたが、4年ほど前に同繊維を活用したウェアラブル端末「hamon」の開発に着手し、着実に売り上げを伸ばしています。ミツフジが扱うのは、ナイロンの糸に銀メッキを施した伸縮性の高い導電性繊維です。長年培われてきた高い技術で銀メッキ量を増やし、厚みが均一でムラのないメッキで高い導電性を得るなど、品質の高さで他社との差別化を図ってきました。

銀メッキ繊維を電極に使うことで、心臓が伸縮するときに生じる電気信号を正確に読み取り心拍数を測定します。また、心臓が収縮する間隔を測定することで心電波形を得ることができ、ストレス指数を導くことができます。これらのバイタルデータは装着したトランスミッターによりクラウドに送られ、世界中どこにいてもスマートフォンなどのアプリから確認できます。

建設や土木現場など過酷な労働環境において、労働者の体調を見守ることが求められています。労働者にhamonを着用させることで、仕事中の体調をモニタリングすることができます。特に、今年のような猛暑の日には熱中症のリスクが高まります。自分では大丈夫のつもりでも、目に見えないバイタルデータの変化をデバイスがキャッチし可視化することで、大事に至る前に休息をとるなどの対処ができるようになります。

社会全体で人手不足が加速する中、特に建設現場など過酷な労働環境では人が集まりにくくなっており、労働環境の改善が急務となっています。多少しんどくても根性で働くといった、これまでの働き方は通用しなくなっています。企業がhamonのような体調管理ウェアラブルデバイスで、労働者の体調に責任を持つのが当たり前になる時代になるかもしれません。

テクノロジーが変えるぼくたちの働き方と生活

IoT市場の成長が確実なのは、仕事や生活において「判断→通知→対処」というプロセスが多くを占めているからです。モノが判断と通信機能を持つことで、判断→通知をIoT技術が担うことができます。hamonは電力を供給する限り人の体調を365日24H監視を続け、本人より高い精度で判断し、異常があれば通知します。その後の対処は人の判断になりますが、例えば熱中症のリスクが高まっているのであれば、「水分補給」や「休息」のアドバイスまでしてくれます。さすがにブラックな経営者でも、バイタルデータに基づいたアドバイスを無視するわけにはいかないでしょう。ブラック経営者がIoTを導入する可能性は低い、という問題は残りますが。

製造現場でもIoTの導入は進んでいます。人の体調を判断するように、機械に搭載したセンサーやカメラが機械の状態をモニタリングし、異常があれば管理者に知らせることで、現場作業者を大幅に削減できるからです。この場合も現状の対処は人が担うケースが多いと思いますが、ゆくゆくはロボットが担うことになるでしょう。異常の中身(熱、音、動作)のデータが蓄積されますので、異常が起きた際AIで原因がほぼ特定できるようになります。原因さえ分かれば、ロボットなど自動化のシステム化も容易になります。ビッグデータ、AI、ロボットの普及が労働者の仕事を奪うとは、具体的にこのような過程を経ることになるのです。

まとめ

ぼくたちの働き方や生活は、既にテクノロジーの普及と共に変わりつつあります。「じゃあなぜ人手不足なんだ」との意見もあると思いますが、いまは普及の過渡期にあるため人手が必要とされており、これから本格的な人余り時代になるとの見方もあります。真相は今後明らかになると思いますが、普及のスピードはぼくたちのマインドにかかっているような気がします。経営者は安い労働力に頼らず設備投資を積極的に進めるマインドに、ぼくたちは普段から生活をより効率的、快適にするためには何が必要なのかを求めるマインドを高めることが、豊かな未来を実現するためのテクノロジーの普及を進めるのだと思います。