投機対象になってしまったビットコイン。仮想空間の通貨として登場した仮想通貨

昨今、ビットコインを代表に関心が高まっている仮想通貨ですが、ほぼ投機対象としてしかみられていない残念な状況になっています。

サイバー空間の通貨として登場した仮想通貨

ビットコインの価格高騰で注目され始めた仮想通貨ですが、その誕生は古く、デジタルキャッシュ社が創業した1989年まで遡ります。創業者のデビット・チャームは、当時としては最先端の匿名性・利便性・安全性を備えたeキャッシュの開発者です。

そもそもデジタルキャッシュと呼ばれる仮想通貨が開発されたのは、国家と離れた理想的なサイバースペースにおける通貨としてでした。結局、国家の統制から完全に独立したサイバー空間の創設は実現していませんが、仮想通貨は国が発行する通貨とは別の新たな通貨として存続することになります。

仮想通貨の代表とされるビットコインは、2008年に発表されたサトシ・ナカモト氏のビットコイン論文が基になっています。ビットコインは「国家を信用するな」というリバタリアンの理念の実現する通貨として登場し、その価値は国の信用ではなくブロックチェーンなどのイノベーションで可能になった暗号化による証明に裏打ちされます。

しかし、国の関与できない通貨として登場したビットコインですが、キプロスの金融危機の際、タックスヘイブンのロシアマネーや、中国の富裕層のお金がビットコインに換金されることでその存在が注目され、国家から独立するという理想とは遠く離れたものになり、いまでは利益ありきの投機対象としての側面が強くなっています。ちなみに、現在のビットコイン取引の半分以上が、日本人によるものといいます。そう考えると、ビットコインバブルの終焉も近いのかもしれません。

仮想通貨はデフレを避けられないシステム

では、仮想通貨はどのように発行されるのでしょう。一般的な通貨は国の中央銀行が発行しますが、仮想通貨はマイニング(採掘)というコンピューター上の難解な数理処理をする報酬として入手できます。しかし、マイニングができるのは一部の人に限られるので、普通は取引所を通じて入手します。これは金や銀の採掘とほぼ同じシステムで、金属貨幣をモデルとしています。

じゃあ、無制限にマイニングできるのかといえばそうではなく、仮想通貨には発行上限があり、発行量が増えると採掘が難しくなります。ビットコインの上限は2100万BTCで、2140年に上限に達するといいます。金や銀も埋蔵量に限界があるのと同じですが、金属貨幣の場合採掘技術の発達で採掘量が増えるため貨幣の価値が下がるリスクがありますが、仮想通貨にはそれがありません。

そのため、価値が担保された優秀な通貨として見られていますが、ハッキングで盗まれたり、投機性が高く価格が高騰するというデメリットもあります。また、一般的な通貨も仮想通貨も、需要が増えると希少性が高まるため価格が上がりデフレになるのは同じですが、中央銀行が基本的に無制限に発行できる通貨であれば発行量を増やし、デフレを解消することができます。しかし仮想通貨は発行上限が決められている限り、デフレを解消できないという運命は避けられません。

それは金に紐づけて貨幣の価値を担保していた昔の金本位制と同じです。金本位制の時代は貨幣需要が高まっても貨幣を増やすことができなかったためお金の価値が上昇しデフレになり、世界大恐慌に陥りました。金本位制をやめることで恐慌から脱することができたのですが、仮想通貨も金本位制と同じ落とし穴に嵌らないような対策が必要なのかもしれません。

まとめ

仮想通貨は理想的なサイバースペースの通貨として登場しましたが、いまではすっかりと投機対象としてしか認識されていません。完全に国の関与が届かない仮想空間を作る試みは潰えましたが、残った仮想通貨が今後どのような立ち位置を確立していくのか興味があります。仮想通貨が本当にぼくたちの利便性を高める実力を発揮するのは、投機対象という本来の目的から離れてからになるでしょうが、ビットコインに関する本が投資目的で溢れている現状ではまだまだ先のようです。