2050年には誰もが空を自由に飛べる時代に。「空飛ぶ車」開発のための官民の取り組み

大好きな漫画『宇宙兄弟』の舞台は2025年で、兄弟で宇宙を目指す物語です。そこで描かれる自動車のデザインは未来的ですが、自動運転車の普及が進んでいないことを残念に思っていました。また14巻に、お兄ちゃんの南波 六太が「子どものときは、車が空を飛んでいる未来を想像していた」的な発言をしてた場面があります。2025年には自動運転車も「空飛ぶ車」も登場していないわけですが、そんな漫画では描かれていない未来が2020年代にも実現するかもしれません。

2050年には誰もが空を自由に飛べる時代に

「空飛ぶ車」なんて現実味のないような話に聞こえますが、日本政府と民間を交え開発を進めようという動きがあります。

「空飛ぶクルマ」の実現を目指す–空の移動革命に向けた官民協議会がスタート

空飛ぶクルマが街の中を飛び交う世界ーーそんなSF作品のような未来へ向けた取り組みが、日本でも加速している。8月30日、都内の会議場にて、「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催された。

そこで提示されたロードマップは、2020年デモフライト、2023年~発売開始、2026年~先進国での量産開始、2030年~新興国での量産開始というものです。参加者のひとつCARTIVATORは、2050年までに誰もが空を自由に飛べる世界を作ることを目標とするといいます。

我が国において構想・研究開発が進められている“空飛ぶクルマ”の一例 出典:経済産業省

協議会に参加したドローンスタートアップ特化型投資ファンドDrone Fundは、「ドローン前提社会を作る」という方針で設立されたといいます。25メートル四方のスペースで垂直離着陸が可能な大型ドローンによる拠点間物流や、ビル屋上から発着するドローンタクシーといった構想を上記のイラストとともに発表しました。

前述したCARTIVATORは、トヨタ自動車などの出資によりドローン開発を目指す有志団体で、「意のままに移動できる自由」「一秒でも速く移動できる自由」「道路がなくても移動できる自由」といった自由を実現し、「2050年までに誰もが空を自由に飛べる世界を作ることが目標だ」と語っています。

未来の乗り物として開発競争が激化する自動運転車ですが、その先の「フライングカー」の開発に本気で取り組んでいる省庁や民間団体があることを頼もしく思います。

南波 六太の提案する「空飛ぶ車」の安全システム

「空飛ぶ車」が技術的に可能だとしても、道路のない空間を自由に動き回れる乗り物ですから、その安全性の確保が大きな課題となっています。その解決のヒントとなるようなストーリーが『宇宙兄弟』で描かれていたので、紹介したいと思います。

南波 六太は、自動車設計会社「ミラクルカー」で「空飛ぶ車」の開発に取り組んでいました。しかし、弟の日々人を侮辱されたことから上司に頭突きをし、退職を余儀なくされてしまいます。その後、日々人の後を追うように厳しい競争を勝ち抜き宇宙飛行士となることができましたが、実際に宇宙に飛び立つまでに更なる競争が待っており、最初のタスクとして月面走行用ローバー開発という地味な業務に携わることになります。

日々人が乗るローバーがクレーターに落ちるという事故があったことから、NASAからは「落ちないローバーを作れ」という無茶な要求が突き付けられます。そこで役に立ったのが「空飛ぶ車」の開発の経験で、六太は空での安全性を確保するためフロントガラスにARで路面や標識を表示させるアイデアを提案していたのです。空での共通インフラをフライングカーすべてが共有することができれば、路上と同じような秩序を保つことができます。しかも移動可能な空間が路面より広く自由度は高く、フライングカーの最大のメリットである「渋滞なし」を損なうこともありません。

月面走行ローバーに同システムを採用することで、突然現れるクレーターを避けるルートをフロントガラスに表示できるので、落下のリスクをかなり低減できます。月面のデータは、JAXAが開発した月周回衛星「かぐや」が取得したものを使います。見事六太のアイデアは実用化されることになります。

まとめ

AR機能を搭載したフロントガラスには、これから開発されようとしているフライングカーの安全確保、またはナビゲーションシステムとして有効性の高いアイデアだと『宇宙兄弟』を読んだとき感心しました。フライングカーに限らず、普通の車でもフロントガラスにあらゆる情報をARで表示できるシステムは実際に開発が進んでいるようです。知らない間にテクノロジーは劇的に進化しています。自分たちの生活を豊かにするため、世の中にはどのようなテクノロジーが発達しているのかを知る姿勢が大切になります。