量的金融緩和の限界。リフレ派の中からも財政出動を求める声が

一時期もてはやされた「リフレ派」と呼ばれるリフレ政策を主張する人たちですが、いまでは嘲笑の対象となってしまった感があります。それもそのはず、「2年でマネタリーベースを2倍に増やせば、インフレ率2%を達成できる」という触れ込みだった異次元の金融緩和が、約5年半でマネタリーベースを3倍以上に増やしたのにインフレ率が1%にも満たない状況なのですから。

2014年4月まで伸びていた消費者物価指数

第二次安倍内閣が誕生した2012年12月から、消費者物価指数(コアコア)は順調に伸びていました。それが2014年4月の5%から8%の消費増税後は下落に転じ、数年前から下げ止まりはしたものの低迷した状態が続いています。

消費者物価指数の推移 出典:NIPPONの数字

デフレは貨幣現象」というリフレ派の主張が正しければ、消費増税後も金融緩和を続けていけば堅調に物価が上昇するはずですが、そうならないのは「少なくとも日本の現状では、リフレ政策では物価上昇は期待できない」ということになると思います。「国債の買い取り量が足りない」と諦めの悪いリフレ派は主張しますが、当初の「2年でマネタリーベースを2倍に増やせばインフレ率2%が達成できる」というコミットメントを果たせなかった結果がすべてではないでしょうか。

リフレ派の中からも財政出動を求める声が

本人はリフレ派と呼ばれることに抵抗があるかもしれませんが、安達 誠司氏から財政出動の拡大を求める記事が最近アップされていました。

インフレ率が上がらない今、「財政拡大」を検討すべきだ 早急に企業のデフレマインド払拭を 

日本でなかなか物価が上昇しない理由として、「賃金が上がらない」点がよく指摘される。だが、2018年1-3月期の雇用者報酬(GDP統計と同時に発表される居住者の報酬総額)は名目で前年比+3.1%、実質で同+0.9%増加している。これは90年代半ば頃と同じ増加率であり、その意味では日本人の給料は、全体でみると「そこそこ」増えていると思われる。

難しいことを書いていますが、要は「過去最高水準の企業業績に対し、賃金上昇に十分に反映されていないから物価上昇が鈍い」と主張しており、ぼくもまったく同感です。そして、以下の結論でまとめています。

そう考えると、企業の売上増につながる国内需要の拡大によって企業にとって国内の売上高拡大という「パイの拡大」を期待させるような経済政策としては必要なのではないかと考える。その意味では、財政拡大は検討に値する政策であろう。

まったく同感です。安達氏には詳しないので過去の主張は知りませんが、ざっとネットで見る限りでは昔から財政拡大に反対しているわけではないようです。そして、リフレ派と一括りにされていても、中には金融緩和だけでデフレ脱却ができると主張する人もいれば、金融緩和と積極的な財政出動のパッケージを主張する人もいます。

そもそもアベノミクスは、金融緩和と機動的な財政出動のパッケージを約束していたはずです。「機動的な」の解釈が曲者で、公共事業関連費ひとつをとっても民主党時代より金額的には増えていますが、ピークの1997年からここまで減らされているのです。

公共投資の推移 出典:NIPPONの数字

これでバラマキとか批判される人もいますが、今年続発する自然災害の被害の大きさを目の当たりにしても、公共事業をもっと削れと主張できるのでしょうか?

まとめ

不幸にも、2018年は豪雨、台風、大地震と自然災害が続いています。被害が拡大したのは、公共事業費の削減と無関係とするには無理があります。実際に、豪雨で決壊した小田川の堤防の危険性は以前から指摘されていましたが、予算の都合などで工期が先延ばしされてきたといいます。遅きに失した感はありますが、実際の被害が出て「国土強靭化」の必要性が認識されるようになってきました。公共事業が命を守るだけでなく、デフレ脱却・経済成長の切り札となることを知れば、いまやらない選択肢はないはずです。