民間人初の月旅行に前澤友作氏が選ばれる。話題作りがビジネスになる時代

昨日、2018年9月18日、「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの社長、前澤友作氏が月周回飛行をする初の民間人になると発表されました。ついに、民間人による宇宙旅行が実現されようとしています。

前澤友作氏、スペースXのロケットで月へ ── 最初のシートをすべて購入

イーロン・マスク氏とスペースXは、同社初の月周回飛行の乗員を発表 ── 日本人起業家でビリオネアの前澤友作氏だ。「やっと、月に行く! と発表できた」と前澤氏は9月17日(現地時間)夕方、述べた。

既に民間による宇宙開発事業は始まっている

前澤氏を乗せるのは、ロケット・宇宙船の開発・打ち上げといった宇宙輸送(商業軌道輸送サービス)を業務とするスペースXのビッグ・ファルコン・ロケット(BFR)。イーロン・マスク氏が2002年に設立した、米国の民間企業です。

falcon 9 Rocket 出典:SPACE X

スペースXは打ち上げロケットのファルコン9やファルコンヘビー、そしてファルコン9で打ち上げるドラゴン宇宙船を開発しており、新興企業ながら低コストのロケットを武器に、商業衛星市場で大きなシェアを獲得しているといいます。NASAは、民間企業が開発した宇宙船をスペースシャトルの後継機とするために2010年に商業乗員輸送プログラムを開始し、スペースXの宇宙船「クルー・ドラゴン」やボーイングの新型宇宙船「CST-100 スターライナー」が有力候補となっています。

民間がロケットなどの開発に力を入れるのは、NASAの協力だけでなく宇宙ビジネスとしての商業的な将来性を見込んでのことです。現状では政府向けの仕事がメインですが、地球上にない資源やエネルギーの獲得、通信、測位、観測技術を向上させる衛星の打ち上げなど、新たなフロンティアとして宇宙の可能性に注目が集まっています。

今回の発表は宇宙旅行ビジネスの幕開けを感じさせるものであり、スペースXはさらにその先の火星探査や移住まで計画しています。今後の展開に目が離せない宇宙開発ですが、さすがに一般人が宇宙旅行を楽しめるまでになるには、コスト的にずっと先になりそうです。民間人初の宇宙旅行の費用は、700~1000億円との報道もあり、前澤氏が最初のシートをすべて購入したといいますから驚きです。下世話な話ですが、IT社長ってそんなに儲かるものなのでしょう?

月旅行も集客ビジネスの一環か

前澤氏が社長を務めるスタートトゥデイが運営する「ZOZOTOWN」はファッション専用のEコマースサイトで、売り上げはテナント形式で出店している店舗から手数料を得る「受託販売」が約9割を占めます。ビジネスモデルは仮想商店街の楽天市場に似ていますが、物流の仕組みが決定的に異なります。楽天市場では一部を除いて商品の発送は各店舗が行いますが、ZOZOTOWNは各店舗の商品を自社の物流施設で預かり、保管、写真撮影、梱包、発送までの一連の作業を全て代行します。食品などと違って消費期限のないアパレル専用のため成立するビジネスモデルといえそうです。

そのため、楽天市場の各店舗のシステム利用料が売上高の2~7%なのに対し、ZOZOTOWNの受託手数料率は約28%と高く、また受託販売がほとんどのため在庫を持つことによる売れ残りなどのリスクが生じないという特徴もあり、業界トップクラスの営業利益率30%台を維持しています。

ZOZOTOWNに出品するブランドにもメリットは大きく、ZOZOTOWNに集まる人たちの目に触れることで販売チャンスは高まり、しかも高度な物流機能を擁しているため自社で発送する手間も省けます。大手ブランドが独自のEコマースサイトを立ち上げるなど逆風もありますが、多くのブランドを取り扱うメリットを活かしたミックスブランドによるコーディネートサービス「WEAR」や無料の返品サービスなど、試着できないというEコマースのデメリットを補う独自のサービスで急成長を遂げてきました。

Eコマースビジネスに欠かせないのが集客力です。人をどれだけ集められるかが売り上げに直結します。前澤氏が月旅行に行くとの報道は、全世界を駆け巡りました。一気にZOZOTOWNの知名度が高まるとともに、潜在顧客が増えたはずです。2023年に月旅行に行くまで、前澤氏はメディアで引っ張りだこになり、ZOZOTOWNへの集客効果は計り知れません。以前から前澤氏は、剛力彩芽との交際やプロ球団取得に名乗りを上げるなど話題を提供してきました。それらの行動もビジネスの一環として利用してきた感があり、根っからの商売人との印象を持ちます。

まとめ

好き嫌いはあるでしょうが、民間人の宇宙旅行という新しい時代の訪れと、その第一号に話題のIT社長が全シートを買い占め、6~8人のアーティストを招待するというストーリーは世界的にインパクトを与えるものになっています。また帰還後も、アーティストたちが宇宙旅行をテーマとした作品を発表するといいます。デフレマインドが20年以上続き、節約が当たり前になった日本では批判が聞こえてきそうですが、個人的には世界中に夢と勇気を与える(ちょっと臭いかな)勇気ある行動として応援したいと思います。