国交省がガイドラインを発表。自動運転が引き起こす人身事故がゼロの社会の実現

国土交通省は9月12日、自動運転車の安全技術ガイドラインを発表しました。

自動運転車の安全技術ガイドラインの策定 ~自動運転車の開発が一層促進されます~

これにより自動運転車を開発するメーカーが安全性の確保のために目指すべき方向性が決まり、開発ペースが促進されることが期待されます。

自動運転車の安全技術ガイドラインにより策定されたのは、レベル3・4の自動運転車が満たすべ安全性に関する要件です。自動運転車の安全性についてまだ固まっていない国際基準に先んじて国内で安全基準を設けることで、国際競争力を高める狙いもあるようです。

ガイドラインが目標として設定するのは、「自動運転システムが引き起こす人身事故がゼロとなる社会の実現を目指す」ことといい、とても意欲的で好感が持てます。

システムが主体的に運転をするレベル3・4における安全要件とは

自動運転は、1~5段階にレベル分けされており、運転支援や特定条件下での自動運転が可能なレベル1・2はドライバーが主体的に運転をしますが、レベル3からは条件付きとはいえ、システムが主体的に運転を担うことになります。

出典:国土交通省

量産モデルで世界初の自動運転レベル3を実装したことで注目される『アウディA8』ですが、各国の法整備が追い付かないため、現状は自動運転レベル2搭載車両として販売されています。政府全体で目標にするのが、2020年までの高速道路での高度な自動運転(レベル3以上)の市場化、限定地域における無人自動運転移動サービス(レベル4)の実現です。さらに2025 年を目途に、高速道路における完全自動運転(レベル4)の市場化などを目指すとしています。

今回策定された安全技術のガイドラインはレベル3・4を対象にした日本独自のものです。自動運転車が満たすべき車両安全の定義を、「自動運転車の運行設計領域(ODD)において、自動運転システムが引き起こす人身事故であって合理的に予見される防止可能な事故が生じないこと」と定め、自動運転車の安全性に関する以下の要件10項目を提示しています。

① 運行設計領域(ODD)の設定

② 自動運転システムの安全性

③ 保安基準等の遵守等

④ ヒューマン・マシン・インターフェース(ドライバー状態の監視機能等の搭載)

⑤ データ記録装置の搭載

⑥ サイバーセキュリティ

⑦ 無人自動運転移動サービス用車両の安全性(追加要件)

⑧ 安全性評価

⑨ 使用過程における安全確保

⑩ 自動運転車の使用者への情報提供

過疎化対策としての自動運転に期待

限定地域とはいえ、2020年までに無人自動運転移動サービス(レベル4)の実現が見えていることは、過疎地域の限界集落に住む人たちの希望になります。ぼくの住む地域でも、バスの便数減少や廃線による移動サービス不足は深刻です。過疎地域のバスはどうしても赤字路線になってしまい、補助金に頼る運営になってしまいます。自動運転車両の導入の初期費用は高くなりますが、ドライバーの人件費がかかりませんので運営コストを大幅に削減できます。また、物珍しさからの集客力アップや、便数を増やし利便性を向上することによる売り上げの向上や移住の増加などの相乗効果も期待できます。

個人向けの乗用車で上記の10項目の要件を満たすことより、公共の移動サービス車両だとルートも限定的なため、運行設計領域(ODD)の設定をはじめ、安全性を確保する対応がとりやすいはずです。例えば追加要件⑦にもあるように、設定された ODD の範囲外となった場合や自動運転車に障害が発生した場合など、自動運転の継続が困難であるとシステムが判断した場合において、路肩などの安全な場所に車両を自動で移動し停止させるMRMの設定や、運行管理センターから車室内の状況が監視できるカメラや音声通信設備の設置など、安全システムを幾重にも設定することで安心して利用できるようになります。

恐らく政府は東京オリンピックの選手や運営スタッフの移動手段として移動サービス車両を導入する予定でしょうが、その後は都心部だけでなく過疎地域にも普及することを期待してます。

まとめ

今回、安全な自動運転車開発のためのガイドラインが示されたことは、実用化に向けた大きな一歩になるはずです。しかし、これら10要件を満たすためにはまだまだ障壁が多く、一般の自動車が自動運転車に切り替わるまでにはかなりの時間が必要だと感じます。それでも公共移動サービスからの自動運転化で実績を積み重ね、まだ根強く残る自動運転車に対する不信感を徐々に取り除くとこで、できるだけスピーディに普及が進むことを期待しています。