金利上昇で財政が破綻すると予測する人たち。そろそろ間違いを認めてもいいのでは

個人の過去の恥部をさらけ出すのはためらわれますが、国益に反することをしている人に対しては積極的に攻撃すべきではないでしょうか?

いつか国債金利は上がると煽る人たち

野口 悠紀雄氏による、2013/11/05に掲載された記事です。

金利上昇がもたらす、悪夢のシナリオ デフレ脱却なら、日本の財政はどうなるのか

最も深刻な問題は、国債の利払いで生じる。(中略)14年度以降において、国債の平均利回りが一挙に2%、あるいは4%になるとしよう。その場合、一般会計の利払いは、図に示すように増加する。新金利が2%の場合には、18年度における利払い総額は20.3兆円と、現在の2倍以上になる。4%になった場合には、利払いは15年度で20兆円を超え、18年度には40.6兆円になる。話はこれで終わらない。国債残高の増加に伴って、利払いは、それまでより増加率が低下するとはいえ、18年度以降も増加を続ける。新金利が2%の場合であっても、25年度における利払い額は25兆円近くになる。新金利が4%の場合の25年度の利払いは約50兆円になる。つまり、現在の予算総額の半分近くになるのだ。これは、「悪夢のシナリオ」としかいいようがない。

野口氏が示した前提通りであるならそうなるのでしょうが、前提があまりにも非現実なため5年後の2018年9月末時点の現状とまったく違うもになっています。起こり得ない前提に基づいて予測する「悪魔のシナリオ」は世論をミスリードしかねず、国益に反する記事と判断せざるを得ません。

では本人は反省しているのかといえば、そうでもないようです。以下は野口氏による2018/06/25に書かれた記事です。

金利が上昇すると、国債の利払い費が増加して財政は破綻する

金利が高騰すると、国債の利払い費が増加する。そして、財政は破たん状態になる。(中略)いま仮に、17年度以降において、新規国債と借り換え債の平均利回りが一挙に3%になると仮定しよう。その場合には、17年度の利払い費は、予算額より約1・6兆円増加して10・8兆円となる。そして、22年度における利払い費総額は27・4兆円と、17年度予算の3倍近くになる。(中略)話はこれで終わらない。なぜなら、国債残高が増加していくからだ。それに伴って、利払い費は、それ以降も増加を続ける。新金利が3%の場合、23年度における利払い費は30兆円を超える。つまり、現在の予算総額の3分の1程度になるのだ。これは、「悪夢のシナリオ」としか言いようがない。

「悪夢のシナリオ」再び。年度と金額を変えただけのコピペ記事のようです。

金利が高騰する要素が見つからない

日銀の量的金融緩和により、10年国債の金利がマイナス0.1%からプラス0.1%のレンジ内に抑えられていました。しかし、国債市場の取引低迷と金融機関への悪影響を考慮し、2018年8月にプラスマイナス0.2%までは容認する調整がされました。それでも現時点で0.13%で取引されており、0.2%の上値を試すような動きさえ見えていません。

日銀が買いオペで金利の高騰を抑えているのは確かですし、いずれ買い取れる国債の量も限られてきます。そんな「Xデー」に金利が高騰するとの見方もありますが、それでも一気に1%以上に金利が上昇する可能性は少ないと思います。日銀は「テーパリング」ではないといいますが、日銀の国債買い入れ減は既に始まっています。それでも国債市場に混乱がみられないのは、国債の需要が高いことを示しています。

だから安心というわけでなく、企業の内部留保が過去最高レベルまで高まっているように、民間の資金需要が低いため国債しか投資先がないことを意味します。家計の金融資産も1800兆円と過去最高レベルにあり、しかもそのうち現金と預金の割合が約53%と、米国やユーロエリアと比較し日本人の貯蓄指向は異様に高いのです。米国は家計の金融資産約81.7兆ドルのうち現金・預金が約13%(約1200兆円)、ユーロは約24兆ユーロのうち約33%(1045兆円)ですから、日本の約53%(1006兆円)がいかに多いかわかります。そんな有り余るお金を、金融機関は企業以外のどこに投資しろというのでしょう?景気が本格的に回復し企業の資金需要が高まらない限り国債の需要は高いままなので、金利が高騰することはないでしょう。

出典:日本銀行

もし野口氏の言うように金利が2%から4%に上昇するとしたら、そのときはバブル期並みに家計が貯蓄指向を改め消費を増やし、企業が設備投資を増やすために銀行からお金を借り始めたことを意味します。その現象を好景気といい、GDPと税収が増えるため破綻どころか財政健全化の道がみえてきます。有り余る金融資産がある日本で金利の急上昇が起こる可能性はとても低いのです。そんな可能性の低い前提の基づく「悪魔のシナリオ」で世論をミスリードする人たちは、日本にとって悪害でしかないのです。

まとめ

「日本の財政は破綻する」「金利は高騰する」「ハイパーインフレになる」と主張してきた人たちは、いまだに間違いを認めていません。予測して5年後も起きなかった場合、間違いと認定されても仕方がないと思いますが、「いつかそうなる」と主張し続けることで間違いを先延ばししています。経済評論家のビジネスとはそういうもので、国益が損なわれようとも自分の予測の間違いを死ぬまで認めることはないのでしょう。仕方がないので受け取り側が情報リテラシーを高め、「いつか起こる詐欺はやめようよ」と指摘するしかないのかもしれません。