逃走劇は面白いけど樋田淳也容疑者は悪質な犯罪者であることは忘れないように

2018年10月3日

大阪府の富田林警察署から逃走していた樋田淳也容疑者が、山口県周南市の道の駅で万引きの現行犯で逮捕されました。逃走生活は48日間、移動距離は約300kmに及びます。捕まったというニュースより話題になっているのが、容疑者の逃走中の振る舞いです。普段はサングラスをかけていたといいますが、お世話になった道の駅では素顔で記念撮影に応じるなど逃走犯を思わせない大胆さが人々の興味を引いています。

樋田淳也容疑者の生い立ちと犯罪

樋田淳也容疑者は小学生のころは児童会の役員を務めるなど、明るい性格で周囲に好かれていたといいます。それが中学生になったころから不良仲間とつるみ、深夜まで改造バイクで騒音を出しながら徘徊するようになります。

「口が達者で、立ち回りがうまい。ちょっとしたワルという感じだった」と過去に窃盗容疑で、樋田淳也容疑者を摘発したことのある大阪府警の元警察官は当時の印象をこう語ります。同警察官はそのときは「何とか示談にならないか」と父親が懇願していたのを覚えており、「息子のことを溺愛している感じがした」といいます。その父親が10年くらい前に亡くなってから、樋田容疑者の悪行に拍車がかかったとの証言もあります。

乗り物の盗みやひったくりをして、近所のガレージに盗品を運び込むといった犯罪を重ねていき、さらに2018年になってからはエスカレートし、5月2日には府警羽曳野署の駐車場で、ひったくりの証拠品を積んだ捜査車両が炎上した事件も樋田容疑者の関与が疑われています。捜査関係者によると、5月1日から同25日に盗品等保管容疑で逮捕されるまでの間に、樋田容疑者が関わったとされるひったくりや強盗、強制性交などの事件は40件近くに及ぶといいます。被害者はすべて女性で、10~20代の女性が中心といいますから卑劣な素顔が垣間見れます。

「ただ今、自転車で日本一周中」のプラカードを持ち、笑顔で写真撮影に応じる姿は好感さえ持てますが、見えないところで多くの女性が卑劣な被害に遭っていることを忘れてはいけません。道の駅に滞在している間、カキを素潜りでとったり、お世話になった支配人に置手紙を置いたりするエピソードが報道では強調されています。容疑者に対する誤ったイメージが世間に広がることを懸念しています。

性格で大きく変わる逃走生活

樋田容疑者が人々の興味を引き付けるのは、ぼくたちが逃走者から抱くイメージからかけ離れた行動をしていたことです。「自転車で日本一周中」と自らアピールし、注目を集める心理はいったいどういったものなのでしょう?「まさか逃走犯がそんな行動はしないだろう」という人々の思い込みの隙をついたものだとしたらかなりの知能犯だと思います。府警は、「自転車旅行者であることを大胆に装うことで、逃走の発覚を免れようとしていたとみて調べている」といいますが、同容疑者の逃走を防げず、結局最後まで自ら捕まえることができなかった無能な府警の見方なので怪しいものです。

ぼくの勝手なイメージですが、樋田容疑者の行動は彼独特の性格からくるものだと思います。自己中心的で思い込みの激しい性格なため、逃走を続けているうちに本当に自分が日本一周を目指す旅人だと思い込んでいたのではないでしょうか。お世話になった人への丁寧なお礼をみると、本当に感謝の気持ちがあったように感じます。一方で、食品や生活用品は万引きしていたされており、自己中心的な一面も垣間見えます。人懐っこい性格から自分の欲望を満たすためには人への危害をためらわない性格が同居する、多重人格者的な人格破綻者といってもいいかもしれません。

樋田容疑者は一時期、広島市の原爆ドーム付近で野宿をしていたいいます。広島県では奇しくも、約5カ月前に容疑者の逃走劇が繰り広げられていました。2018年4月8日、愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から平尾龍磨容疑者が脱走し、同30日に広島県警が広島市内で身柄を確保するまで逃走した一件です。

平尾容疑者は脱獄後、盗んだ車でしまなみ海道を北上し、その後広島県尾道市の向島に潜伏していると思われていましたが、夜中に泳いで陸まで渡り、広島市内まで移動していました。広島駅近くのネットカフェに滞在していたところ、客のひとりが「逃走犯に似た男がいる」と通報したことで逮捕につながりました。

詳細はわかりませんが恐らく逃走犯らしく(?)、人目を避けながらの神経をすり減らした逃走生活だったのでしょう。本人が「逃げるのがしんどかった」と供述しているといいます。まだまだ逃げる気満々だった樋田容疑者との対比が印象的で、性格の違いでここまで逃亡生活に違いが出るのかと思い知らされた2件の逃走劇でした。

まとめ

「逃走犯」は昔からエンターテイメントの題材になるなど、人々を引き付ける不思議な魅力があります。近年では英国人を殺害し、西日本各地を逃げ回った市橋達也の逃走劇のドラマ化や本人による手記が出版されています。ぼくもバイオレンスやアクション映画が好きなように、エンターテイメントとして非日常のストーリーを求めるのが一般人です。そのため、ついつい主人公に思い入れをしてしまう気持ちはわかりますし、私的にどのように捉えようが勝手なのですが、被害者を置き去りにして逃走犯を変に美化したり、面白おかしく報道するメディアの特性にも気づく節度は持っていたいものです。