サラリーマンは消費増税に賛成すべき?いまの経済状態ではどんな増税もすべきでない

2018年10月4日

ある識者のツイッターで、「消費増税に反対するサラリーマンはバカ」との書き込みをみました。まあ、言いたいことはわかります。反対の声が大きいため消費増税がなかなかできず、少子高齢化により増える社会保障費を賄うために、勤労者の給与から天引きされる社会保険料の負担が増えているとの主張なのでしょう。それはまさに財務省と同じ主張です。

なぜ所得税や法人税ではなく、消費税の引上げを行うのでしょうか?

今後、少子高齢化により、現役世代が急なスピードで減っていく一方で、高齢者は増えていきます。社会保険料など、現役世代の負担が既に年々高まりつつある中で、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます。

しかし、5から8%への消費増税分の8割が借金返済に使われておりし、また10%にあげる際は教育無償化にも使われるため、消費増税が社会保障費に確実に使われる保証はありません。消費増税をするからサラリーマンの負担を減らそうという話には決してならないと思いますし、そもそも消費増税が国民経済に与える悪影響は認識されており、国単位で考えれば決して賛成できるものではないはずです。

消費増税で落ち込む個人消費

消費増税により消費が落ち込むことは、これまでの消費増税の結果をみれば明らかです。

出典:NIPPONの数字

これだけ株価が上昇し雇用環境が改善しているのに、家計最終消費支出は2014年の消費増税で落ち込んでから徐々に回復傾向にはありますが、そのペースは非常に遅くなっています。もし消費増税をしていなかったら、いまより確実に消費は増えていたはずです。確かに消費増税の分だけ税収は増えていますが、消費が落ちたことによる景気の押し下げ効果で、法人税や所得税に悪影響があったことは容易に想像できます。果たして、消費増税により全体の税収がアップしたと本当にいえるのでしょうか?

消費増税が与える法人税と所得税への悪影響

では実際に、消費増税が法人税と所得税に影響を与えているのかを確認しましょう。

一般会計税収の推移 出典:財務省

消費税が3から5%になったのが1997年、5~8%になったのが2014年です。確かにそれぞれの消費増税分の税収は増えています。しかし1997年以降の法人税と所得税の落ち込みは顕著です。アジア通貨危機などの影響も考えられますが、消費増税の影響がないとするには無理があります。2014年以降の法人税と所得税も、伸びか鈍化しているように見えます。

財務省は次のように主張します。

ここ10年くらいで見ると、所得税や法人税の税収は不景気のときに減少していますが、消費税は毎年10兆円程度(注)の税収が続いており、税収が経済動向に左右されにくく安定した税と言えます。

そこには、消費増税が与える法人税と所得税への悪影響を全く考慮していないことがわかります。消費増税に賛成するサラリーマンにも同じことがいえます。消費増税による景気や企業業績への悪影響が、サラリーマンの待遇を悪くする可能性があることも考慮する必要があるのです。自分たちの負担が増えなければそれでいい、と利己的に考える人が増えているのが、いまの日本の低迷を招いた原因のひとつではないでしょうか。

まとめ

そもそも日本に財政問題はありません。政府債務のみを「国の借金」として注目していますが、「誰かの負債は誰かの資産」という原則がある限り、国の借金が増えていることは国内の誰かの資産が増えていることを意味します。デフレ崩壊以降、日本では家計も企業も消費や投資をしなくなったため、恐慌に陥らないために政府が借金を増やすしか方法がありませんでした。しかも、その政府まで支出を減らしているので長く景気低迷が続いています。景気が良くなれば家計と企業が消費や投資を増やすので、自然と政府の借金は減っていきます。増税を考えるのは、景気が完全に回復基調に乗ってから行うのが正しい経済政策なのです。