AIで9割が失職?せめて生きている間に起きることを予測して欲しい

現代の人たちは、生きている間に何かとんでもないことが起こるのではないか、と不安を感じながら生きています。その一因は、メディアで自信満々に未来を予測する人たちがもてはやされてるからではないでしょうか。

例えばこの人。

photo:『予告犯』 堀井(モデルは堀江氏といわれている)

堀江貴文、AIで失職するであろう人々に「遊んで暮らすべき」

11月11日よりWOWOWプライムでスタートする『連続ドラマW パンドラIV AI戦争』(毎週日曜 22:00~ 全6話 ※第1話は無料放送)のトークイベントが5日、都内で行われ、脚本家の井上由美子、実業家の堀江貴文が登壇した。

AIで9割が失職し、失業者が遊べる時代はいつ到来するのか?

堀江貴文氏の著書、『10年後の仕事図鑑』では「AIで9割の人が仕事を失くす」と予測しており、同氏は「(仕事ができる)1割は狭き門なんだから、そんなことを考えるのは無理。90%になって遊んで暮らすべきですよ。」という持論を展開しています。

著書を読んだわけではないのですが、堀江氏はいつそのような時代が訪れると予測しているのでしょうか?AIやロボットが人の代わりに働くようになり、失業者が増えるという予測はよく聞きますが、無くなるのはAIやロボットでもできるルーチンワークがメインで、働き方が大きく変わることで生まれる新たな仕事が増えるとの見方もあり、堀江氏が主張するような極端な未来がくるとはにわかには信じられません。

そもそも、自信満々に未来を語ることをビジネスにしている人と詐欺師の境界線はあいまいです。堀江氏のような発言に影響力を持つ人が未来を予測することで、生き方をそれに合わせて変える人も多いのではないでしょうか。例え同氏の予測した未来が生きている間に訪れなかったとしても、「いつか起こる」と言い続けることで間違いにはならないのです。それは、「いつか日本は破綻する」と数十年言い続けて、セミナーで稼ぎ、日本の明るい未来を信じられない人たちを量産してきたエコノミストと同じではないでしょうか?

堀江氏は言います。「僕はWOWOWを買収しようとしたんですが、その話が流れました。フジテレビを買収してやろうとしたことは、サブスクリプションサービスへの移行だったんです。当時は理解されませんでしたが、アマゾンが近いことをしていますよね。民放はこういう良質なドラマを作れないし、くだらないバラエティーが多い。」

ぼくはあまりテレビを見る方ではないのですが、たまたま観た最近の民放ドラマが面白かったので、今では毛嫌いせず色々な民放ドラマを観るようになりました。だから堀江氏の「民放はこういう良質なドラマを作れないし、くだらないバラエティーが多い」との発言には違和感があります。実際に一時期凋落が顕著だったフジテレビのドラマの劇場版『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』の興行収入が92.1億円を突破し、実写邦画歴代5位を記録したとの報道があったばかりです。現実を正確に分析できない同氏が、確かな未来を予測できるとは到底思えません。

未来を予測するのであれば現実的なソリューションも添えて欲しい

AIやロボットの導入が進めば、人手不足の解消に向かうという未来に対しては同意できます。堀江氏が「失業者は遊んで暮らせばよい」との発言の真意は分かりませんが、AIやロボットの導入で極度に高まる生産性に対し、失業者の増加で需要が減ることに対するソリューションだとしたら、こちらも納得できます。同氏はBI(ベーシックインカム)の導入を推進していますが、生産年齢人口すべてが働けるだけの仕事量はなくなるため、国民が生きていける生活レベルを保証するためにも不可欠な政策だとぼくも思います。

堀江氏が移民の受け入れや消費増税に対しどのようなポジションをとっているのか分かりませんが、もし失業者が増える時代の到来を予測しているのであれば、どちらにも反対の姿勢をとるはずです。人手不足を理由に移民を受け入れても、近い将来にAIやロボットの普及が進めば、首を切られるのは移民からです。彼らに対し「もういらないから帰って」と言えるのでしょうか?それができなければ税金から失業手当や、はたまたBIで生活を保証していくのでしょうか?

また、生産性が極度に高まる未来では、消費する存在が大きくなります。消費されなければ生産しても意味がないからです。そんな大切な消費行動に対し、罰則を与える消費税を課すなんて理にかなっていません。

まとめ

堀江氏の極端な意見がメディアを賑わすのは、報じる側と受け取る側の責任もあると思います。本人は発言を裏付けるデータや現実的なソリューションを説明しているのかもしれませんが、報じる側と受け取る側が期待しているのはそんなことではなく、「未来はこうなる」と断言するワンフレーズだけなのではないでしょうか。もしくは、「詳しいことは本を読んでね」というビジネス戦略なのかもしれませんが。時代の激動期にあるとみられる今でも、生活を一変させるほどの変化が直ぐに訪れるわけではありません。怪しい予言者の極論に惑わされず、着実に今の生活を送ることが大切です。