ぼくたちは搾取されている?お金儲けが悪いとはいわないけれど

日本では経済成長できない期間が20年以上続いている(正確には近年1%程度は成長している)ためか、資本主義に対して懐疑的な見方が表面化しています。世界的に先進国でも成長率が鈍化しており、その一方で富裕層の資産が急速に伸びています。公平な再分配機能が働いていないのは明らかで、資本主義とは何かを見直す動きもあると聞きます。

お金、現金

これから社会主義的な政策への転換はあるのか?

資産をあまり持たない労働者階級の所得は給料が主なため、GDPが伸び悩んでいる中、起業してリスクを取らない限り資産を増やすことが難しくなっています。資産家といえば、給与所得が増えなくとも株や土地などの資産価値が高まれば、資産から生じる所得が増えるため益々豊かになり、労働者階級との格差は広がり、さらにその資産は子孫に引き継がれますので、生まれながらに格差が固定化されることになります。

この状況から脱するためには、フランスの経済学者ピケティ氏が提唱するように、相続税を上げることでしか対処できないように思います。もしくは世界的な戦争や災害で資産価値が消滅してしまえば、みんなが貧しくなり公平な社会が訪れるかもしれませんが、それは社会にとって不幸なことになります。

格差が広がり固定化することで、大部分の労働者階級は十分な消費ができなくなります。そのことで国の経済成長が鈍り、国力を落とすことになりますが、国政に影響力のある資産家たちへのデメリットはそれほど大きくないので、国民全体が豊かになるような政策への方向転換をしようという動きが広がっていないのが今の状況ではないでしょうか。

かつては中産階級とされていた層の凋落も始まっていますが、国民全体としては弱肉強食の新自由主義を是とする資本主義から、より平等な社会を実現しようという声が盛り上がっているわけでもありません。そのような声はたまにメディアで露見するだけで、具体的な政策がとられることはありません。やはり今でも、「自由競争」、「自由貿易」、「小さな政府」という新自由主義的イデオロギーが正しいとの認識が主流ではないでしょうか。

搾取して、されて当たり前の資本主義

基本的に資本主義は、企業が労働者から搾取して成り立ちます。その搾取する割合が高いほど、企業は利益を増やすことができます。そんな経営者にとって、デフレ社会は儲けやすい環境になります。給与を増やさなくても労働者が確保できます。普通に同じ内容の仕事をさせれば生産性は年10%程度は上昇しますから、本来であれば給料も10%あげてもおかしくないはずです。

搾取される側も、転職をして一から慣れない仕事をするのは抵抗があります。デフレから脱却しない限り、余程のスキルがない限り中途採用で満足できる給料をもらい、年々昇給することは難しいでしょう。約20年デフレが続いていますから、この搾取構造が固定化して、搾取する側もされる側も当たり前に感じるようになってしまっているのではないでしょうか。

ぼくも今でもそうですし、一時期は本当にひどい搾取に悩まされました。英語と機械メンテナンスのスキルをフルに発揮し、一人で海外出張をし産業機械の据え付けからトレーニングまでこなしていた時期でも、アルバイト程度の給与しかもらっていませんでした。会社側もそれが異常なことだとは思っていなかったようで、それなら個人で直接仕事を請け負った方がまし、と考えたのが今の仕事を選んだ理由です。

しかし個人で家族を養えるだけの仕事を請け負うには限界があり、日中はパートで配送の仕事をしています。配送の仕事はシンプルで、給料も増えなければ仕事量もそれほど増加しません。暇な時間はできるだけ自分のために使い、搾取のスパイラルから多少は外れることができるメリットがあります。

まとめ

「搾取」なんて普段の生活で言ってしまうと、きっと誰もピンとこないでしょう。雇う側は、「雇ってやってる」という意識が強く、雇われる側も「雇ってもらっている」という意識が強いのが日本の労働環境の特徴です。まず、その意識から抜け出さないことには日本の経済はなかなか好転しないし、公平な社会を実現しようという機運は盛り上がらないのではないでしょうか。