無人ロボットで深海の海底地図つくり。まだまだ捨てたものではない日本の技術力

日本の技術力の高さが示された、うれしいニュースが届いています。

無人ロボットで海底地図つくり 世界大会決勝で日本チームが成功


無人ロボットで深海の海底地図をつくる世界初の大会の決勝ラウンドに日本チームが登場し、今週、ギリシャ沖の海底の地図づくりに成功して、来年3月の審査結果を待つことになりました。

チーム「KUROSHIO」が水深4000mの3D地図作成に成功

深海の海底地図を無人水中探査ロボットで作成する競技の名前は「Shell Ocean Discovery XPRIZE」で、月面無人探査を競うコンテスト「Google Lunar XPRIZE」と同じく Xプライズ財団が主催するコンテストです。日本からは海洋研究開発機構などの研究者でつくるチーム「KUROSHIO」が2015年にエントリーし、技術提案書審査とRound1を経て、決勝ラウンド(Round2)に進出する8組に選ばれていました。

決勝ラウンドでは、水深4000mまでの深海の超広範囲(100km2以上)に渡り、高精度(解像度:水平5m、垂直50cm 以上)な海洋底の3次元地図を作成する競技が行われ、難易度の高さから成功は難しいとされていましたが、KUROSHIOが見事成功させたそうです。 日本チームの中谷武志さんの「ロボットを切り離せないというトラブルもありましたが、最大限のパフォーマンスを発揮できトップ3に入る自信があります。」という言葉もあり、来年3月の結果が楽しみです。

無人による深海での海底地図作成を可能にする技術とは

Team KUROSHIOが採用した方法は、無人の洋上中継器(ASV)と複数の自律型海中ロボット(AUV)の連携・同時運用による超広域・超高速の海底マッピングです。

出典:海洋研究開発機構

洋上中継器(ASV)は、海中のAUVの位置情報・速度などを海上で計測し、得られた計測データを衛星通信などにより陸上に送信する無人の船舶型ロボットで、衛星通信による遠隔操作ができます。


出典:海洋研究開発機構

洋上中継器(三井E&S造船)
全長:5.3m、胴体幅:2.2m、胴体高さ:0.9m、重量:1800kg、速力:20kt(最大)

自律型海中ロボット(AUV)は、設定したルートに従って自律的に海中を調査するロボット。海中では電波がほとんど伝わらないため、水中音響により通信・測位などを行い、船舶よりも海底に接近できるため、高解像度のデータを取得できます。


出典:海洋研究開発機構

自律型海中ロボット「AUV-NEXT」(JAMSTEC)
全長:5.6m、胴体幅:1.8m、胴体高さ:1.7m、重量:2,300kg、速力:4.5kt


出典:海洋研究開発機構

自律型海中ロボット「AE-Z」(東京大学生産技術研究所)
全長:5.5m、胴体幅:1.4m、胴体高さ:0.9m、重量:550kg、速力:調整中

まとめ

民間による最初の月面無人探査を競うコンテスト「Google Lunar XPRIZE」においても、成功には至りませんでしたが日本チーム「HAKUTO」が好成績を収めるなど、 テクノロジーを競う世界大会で日本の存在感を示しています。日本では企業業績に短期的につながらない研究開発の予算が削られるなど、研究者・技術者にとって厳しい時代でしょうが、日本の技術力の高さを維持するため、また将来の成長エンジンに育てるためにも国を挙げてバックアップすることが大切だと思います。