「火器管制レーダー照射は通常の捜索活動」は苦しい言い訳。いずれにせよ韓国軍のレベルの低さが露呈

2018年12月24日

海上自衛隊のP1哨戒機が12月20日午後3時頃、日本海・能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国海軍の駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けました。日本側の「非常識な行為だ」との抗議に対し、韓国側は「通常の作戦活動だった」と反応するなど認識の違いが浮き彫りになっています。

日本側と韓国側の主張の違いとは?

韓国、日本と認識の差=十分な説明必要-レーダー照射

韓国国防省は21日夜、海上自衛隊機へのレーダー照射について、「通常の作戦活動中だった」と説明し、日本当局との認識の差を示した。日韓関係が冷え込む中で起きた問題だけに、十分な説明がなければ、韓国軍への日本側の不信感は収まりそうにない。


韓国海軍艦艇「クァンゲト・デワン」(971) 出典:防衛省

韓国の駆逐艦『クァンゲト・デワン』は北朝鮮の遭難漁船を捜索するためにレーダーを稼働させたとしており、船舶捜索のためのマニュアル通り、航海用レーダーと射撃統制レーダーをフル稼働していたといいます。一般レーダーよりも精密な火器管制用レーダーを稼働させていた際、哨戒機がその半径に偶然入ってきたとする韓国軍関係者の話を伝えています。また、当時、日本の哨戒機は韓国艦艇の上空を飛行するなど、むしろ「威嚇飛行」を行っていたとも主張しているようです。

確かに韓国側の主張だけを聞くと、通常の捜索活動をしている韓国の駆逐艦に対し、日本のP1哨戒機が威嚇的に接近してきたと捉えることができそうです。しかし一部韓国紙が韓国軍関係者の話として「火器管制レーダーは、攻撃実施前に攻撃目標の精密な方位・距離を測定するために使用するもので、広範囲の捜索に適するものではなく、遭難船舶を捜索するためには水上捜索レーダーを使用することが適当だ」と報じています。どうやら、北朝鮮の遭難漁船を捜索するために、火器管制レーダーを使うのが適切かどうかが重要な論点になりそうです。

今回の件に関し、海自幹部は「レーダー照射は(照準を合わせる)ロックオンと同じ。よほどの緊急事態でなければ、現場だけの判断で照射しない」と指摘しています。それだけに防衛省幹部は「照射は攻撃を前提にするもので、照射された側は対象から外れるよう急旋回などの退避行動を取る必要がある。非常識で、まったく理解できない」と述べています。

防衛省のHPでは、今回の件に関し次のような見解を出しています。

本件について、種々の報道がなされていますが、防衛省としては、20日(木)のレーダー照射事案の発生後、海自哨戒機の機材が収集したデータについて、慎重かつ詳細な分析を行い、当該照射が火器管制レーダーによるものと判断しています。その上で、火器管制レーダーは、攻撃実施前に攻撃目標の精密な方位・距離を測定するために使用するものであり、広範囲の捜索に適するものではなく、遭難船舶を捜索するためには、水上捜索レーダーを使用することが適当です。

射撃統制レーダー・火器管制レーダーとは

海上自衛隊の哨戒機から撮影された写真には、韓国駆逐艦「クァンゲト・デワン」の前後2基ある火器管制レーダー「STIR-180」のうち、後部の1基が哨戒機に向けられていることが分かります。(JSF 軍事ブロガーより)


哨戒機に向けられた火器管制レーダー 出典:防衛省

火器管制レーダーは、艦艇や航空機などから砲弾やミサイルを発射する直前に、目標の位置や速度を正確につかむために使用されます。自衛隊を含む軍事用の艦艇や航空機は、攻撃を回避するため、このレーダーで照射を受けた際にただちに感知する逆探知装置を搭載しています。

Wikipediaでは、射撃統制を以下のように定義します。

射撃統制とは、目標に対して効果的な射撃を行うために,観測具,照準具,測定具などの器材を用いて,目標の捜索・探知・捕捉・追尾から弾丸を発射するまで,人員及び火器を含めた器材の一連の動作をまとめること、とされる

つまり射撃統制レーダーは、攻撃の対象を捜索するために照射するもので、北朝鮮の遭難漁船を捜索するために使用したとの韓国側の言い分には無理があります。戦時中であれば、照射された側は無条件に照射元を攻撃するでしょう。戦時中でなくても、相手が中国軍やロシア軍、米軍であれば、即座に撃沈されてもおかしくありません。明らかに照射する側に問題があるからです。逆に言えば、相手が日本だから舐めてそのような行動をとってきたとも言えそうです。

まとめ

今回の件で、韓国側が故意に火器管制レーダーを照射したことを決して認めることはできないでしょう。そのことが著しく、韓国と韓国軍の地位を貶めることになるからです。一方で、「火器管制レーダーの使用は通常の捜索活動であり、偶然日本のP1哨戒機がその範囲内に入ってきた」との主張は、「器管制レーダーは、広範囲の捜索には適さない」「火器管制レーダーの照射は、船舶又は航空機に遭遇した場合には控えるべき」との国際常識に反していることになります。いずれにせよ韓国軍のレベルの低さを露呈することになりますが、よりダメージの少ない後者を選ばざるを得ない苦しい立場にあります。そいういう意味で、これまで韓国からの嫌がらせを黙認してきた日本が、韓国側の非常識な行為に対し声をあげるようになってきたことは歓迎したいと思います。