安定の中国新聞。とりあえず財政危機の国の通貨が買われる理由を説明してくれ

ネタの宝庫として愛読している中国新聞。12月22日付けの社説も、期待を裏切らないメディアの病理を具現化した素晴らしいものでした。

【社説】政府予算案 財政再建投げ出すのか

一般会計の総額101兆4564億円の2019年度予算案を政府が閣議決定した。18年度当初予算の97兆円を大きく上回る過去最大の規模である。財政健全化は待ったなしにもかかわらず、歳出は膨らみ続ける。当初予算で初となる100兆円の大台を一気に突破した。

出典:中国新聞アルファ

「日本は財政危機ある」との巧妙なイメージ操作

「財政健全化は待ったなし」とはよく聞くフレーズですが、このフレーズ自体は何も意味しておらず、単に読者に有無を言わさず「 日本には財政健全化の道しかない」とのイメージを植え付ける意図しか感じられません。「財政健全化は待ったなし」は中国新聞と一部の識者の意見でしかなく、まったく逆の意見を持つ識者もいます。あたかもそれが前提事実として話を進める中国新聞からは、悪意しか感じられません。

この社説でもそうですが、「日本は財政危機にある」との理由として一般的に次ような理由をあげています。「当初予算で初となる(税収を大きく上回る)100兆円の大台を一気に突破」「新たな借金に当たる新規国債発行額は32兆6598億円と高止まり」 「19年度末の長期債務残高も1122兆円に積み上がっている」。

~兆円という派手な数字にインパクトがありますが、実はいずれの理由も「借金は悪い」という一般的な認識に基づいています。つまり財政再建の理由は、「借金が膨らんでいるから」という一面的なものでしかなく、逆に言えば「借金は膨らんでいない」「借金が膨らんでも問題ない」ことが証明できれば容易に覆せることになります。

政府の借金が膨らむ一方で民間の資産は増加し、国債の信認は盤石

「借金は膨らんでいない」 の証明は、「政府の借金が膨らむと民間の資産が膨らむ」という説明でできると思います。メディアは政府債務を「国の借金」としますが、国債が国内で消化される日本の場合、国債がいくら発行されようとも政府と民間を合わせた本当の意味での「国の借金」はチャラになります。 「日本は財政危機にある」ことを印象づけたい記事では政府の借金だけを強調しますが、同時に民間の資産が増えている事実は彼らにとって不都合な真実なのです。

家計金融資産 現預金の比率が5割以上

日本の各世帯が保有する金融資産の合計額は9月末時点では前年比2.2%増の1859兆円(速報値)。増加基調が続き過去最高額だが、多くの部分がほとんど金利の付かない預貯金に滞留する。消費や投資に比べ、倹約・貯蓄に重きを置く国民性に加え、バブル崩壊の経験や、将来への不安も原因とされる。長期デフレの下では実際、減価しない現金保有は理にかなっていたとの指摘も多い。

「借金が膨らんでも問題ない」 ことを証明することは困難ですが、「借金が膨らんで何が問題なのか」を考えると答えが見えてきます。個人の場合、借金が膨らんで問題になることは、借金を返済できず破産することです。破産したくないため借金の返済のために借金を重ね、借金額が増えると高金利でしか貸してもらえず、最後には元本だけでなく金利の支払いもままならず破産してしまいます。

一方政府の場合、借金がいくら膨らんでも、借金返済のために借金を重ねても、金利は一向に上がる気配さえなく、史上最低レベルで推移しています。それは政府にお金を貸したい人がいくらでもいることを意味します。市場は国債を求めています。借金がいくら膨らもうとも金利が低いという事実は、財政破綻論を展開したいメディアにとって不都合な真実なのです。

まとめ

リーマンショックの再来を彷彿とさせる、世界的な株安の局面が訪れています。株を離れた資金がどこに向かうのかといえば、比較的に安全資産とされる円や各国の国債です。一体、財政危機にある国の通貨や国債が買われることなんてあり得るのでしょうか?まず中国新聞やその他メディアは、「財政再建投げ出すのか」なんて偉そうなことを吐く前に、「 財政再建を投げ出した国の通貨と国債が買われる 」理由の説明を投げ出さないで欲しいものです。