長期金利が再びマイナスに。破綻が危惧されるはずの国債がなぜ買われるのか?

長期金利が再びマイナスになっています。

長期金利、マイナスに=先行き不透明、1年3カ月ぶり

年内最後の取引となった28日の東京債券市場で、長期金利の指標である10年物国債の流通利回りがマイナス0.010%に低下(債券価格は上昇)した。2017年9月8日以来、約1年3カ月ぶりの低い水準。

市場は国債の破綻はあり得ないとみている

JIJI.COMのグラフでは、今年7月以降に金利が急上昇して、その後急激に下降しているようにみえます。

JIJI.COM

この上昇時期は、「金利が暴騰しているー」「住宅ローンの金利が上がって大変だー」みたいな記事がタケノコのように生えてきました。8月に書いた以下の記事でも説明しましたが、10年国債の過去10年の推移をみると、2018年の金利の変化なんてごくわずかしかありません。


出典:日本相互証券

重要なのは、「日本の国債発行残高はGDPの200%を超えており、破綻の危機にある」との認識が国民の間で広がっていることです。市場は10年先の国債を金利がほぼつかない(というかマイナス)状態でも買いたがっています。どうして破綻が危惧されているはずの国債が買われるのかを、メディアが報じないのかが大きな問題だと思います。

冒頭の記事に対するコメントでは、「日銀が国債を買い支えている」との意見もあり、確かにその一面はありますが、実質±0.2%の変動まで容認している日銀が今回介入したとは考えられません。バブル崩壊後、日銀の金融緩和のあるなしに関わらず、金利は右肩下がりに低下してきました。その理由は簡単で、民間に資金需要がないため、銀行は国債でしか有り余る銀行預金を運用できないからです。いくら政府債務が膨らもうとも、株や外貨、外国の国債より日本の国債の方が相対的に安全性が高いと市場はみているのです。

株価が低下すれば国債が買われ金利が下がる

今回のマイナス金利も、日本の株価が大幅に下がったことも影響しています。株価が下がるということは、株式市場から逃げるお金がどこか別の投資先を求めることになります。高い利率が魅力の新興国に向かうお金もあるし、リスクを避け絶対に破綻などあり得ない米国国債や日本国債も買われます。米中貿易戦争による景気減速が株下落の主因のように報じられていますが、米国債の利上げも株から国債へお金を流入させる要因になっています。それは、米国の株価と国債金利の動きをみれば明らかです。

NYダウ 6カ月の推移
米国10年国債利回り 6カ月の推移

まとめ

国債金利の推移をみるだけで、「日本は財政危機にある」との認識がどれほど間違っているのかが理解できるはずです。それなのに、ヤフコメなどをみると「日本は終わった」と思っている人の多さに驚きます。有効な手段があるにも関わらず、その手段の有効性を多くの人が理解していないため、政策に結びつかないという馬鹿馬鹿しい状況にあるのが日本の今です。

国民の意見なんて関係ない一党独裁の中国は、景気の減速に伴い「財政出動」と「減税」という有効で当たり前の手段をとろうとしています。彼らは、日本のバブル崩壊後の失敗から十分学んでいるのです。自ら手足を縛り荒波に飛び込もうとしている日本の現世代に、将来世代を巻き込むのだけは絶対避けなければなりません。