経済成長は自然にできる。ほとんど知られていない当たり前の経済法則

「日本は成熟社会に入り、さらに人口減少のため経済成長できない」という言説がまかり通っています。経済学者と称する人たちがメディアでそう解説すれば、多くの一般の人たちは信じるでしょう。しかし、それは大きな間違いだったのです。

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成熟社会でも人口減でも経済成長できる

約20年間成長が止まっている日本でも、安倍政権下では年1~1.5%程度は経済成長してきています。「成熟社会で人口減になると経済成長できない」と信じる人は多いと思いますが、そんな日本でも近年は世界的に景気が良かったため、輸出で経済成長することができたのです。とはいえ、GDPに占める輸出依存度はそれほど大きくないため、輸出だけで経済成長するには限界があります。一方、グローバル化が進んでいてもGDPに占める内需は6割と依然として高く、経済成長にはやはり内需(国内消費)が大きく影響しているのです。

成熟社会になり、ほぼ高額な家電などの生活必需品が全世帯に行き渡り、かつ低価格化・少子化も進んでいるため家計の消費は増えないだろうとの見方もあります。しかしそれは話が逆で、経済成長が鈍化し所得が増えず、また税金や社会保障費の負担増のため将来不安が増し、所得を抑えざるを得ない状況であることがより消費減の現実を表しています。好調な輸出で企業業績が過去最高に伸びる中、所得へ十分反映されないことが内需拡大の重しになりました。世界経済が好調なうちに、輸出と内需拡大の両輪で経済成長できていたら、日本も他の先進国並みに2%以上の経済成長ができていたはずです。

政府・企業・家計が借金をしてこそできる経済成長

国とは、普通に運営できていたら経済成長するものです。健全な資本主義では、経済成長を見込み企業が先行投資(借金)することで市場に出回るお金が増え、さらなる経済成長を誘引します。借金が膨らみ経済成長が過熱するとバブルになり、一時的に調整で鈍化します。そのサイクルを繰り返しながらも経済成長していくのが国の本来の姿で、20年もほぼ経済成長できない日本は資本主義が機能していない異常な状態なのです。

借金が膨らみバブルになり、それが弾ければ企業は投資を一斉に抑えるため、代わりに政府が公共事業や社会保障の充実などで支出を増やし、景気を下支えします。史上最悪のバブル崩壊を90年代前半に経験した日本は、経済対策のセオリー通り財政支出で急激な景気悪化を抑えてきました。しかしその途上の1997年、消費増税と緊縮財政で政府の借金を減らしたため、その後20年のほぼゼロ成長が続いているのです。

借金と経済成長は表裏一体なので当然の結果です。民間と家計が借金をしなければ、政府しか借金をする経済主体はありません。他国が日本より高い伸びで経済成長しているのは、民間と家計が借金をして投資や消費をしているからです。一方で、政府も金利が高まり民間の投資を阻害しない程度で借金を増やしています。それでも経済成長すればGDPと税収が伸びるため、政府債務の対GDP比率が減り特に問題視されません。

いわゆる「国の借金」といわれる政府債務の対GDP比を下げるためには、経済成長してGDPを増やすのが適切な方法になります。今の日本のように、消費増税と社会保障の負担を増やせば消費が落ち込むためGDPが伸び悩み、政府債務負担は増大します。どうしてもその方向でいわゆる「国の借金」を減らしたいのであれば、国民の貧困化、防衛力や購買力など国力の低下も覚悟しなければなりません。それを認識した上で国民が納得すれば仕方ありませんが、どうも根本的な経済の法則を理解しないまま増税と緊縮財政に賛成している人が多いようで不安になります。

まとめ

増税と緊縮財政の末の財政健全化の結果は、今のギリシャを見れば一目瞭然です。失業率は高止まりし、GDPはピークより大幅に下がりました。GDPが減ることは、国民全体の所得が減ることを意味します。そんな状態で手に入れた財政健全化ですが、将来の不安がより増しただけです。「借金を減らすことで将来にツケを残さない」とはよく聞くスローガンですが、実は借金(政府債務)を返すことで将来の子たちが貧しくなるのです。自国通貨を持たず家計貯蓄が少ないギリシャは借金返済しか選択肢しかありませんが、日本は過剰な家計貯蓄があり、自国で発行できる自国通貨で借金できる恵まれた環境にあります。とりあえず、そんな豊かな国がギリシャのように、無理矢理借金を返済してはいけないことを理解する必要がありそうです。